2025年10月21日に発売の『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
全体的には厳しめの評価が並んでおり、ノワール調の物語や脳内の相棒キャラクターには魅力があるものの、RPG要素の大幅な削減や単調なクエスト設計が大きく足を引っ張っています。購入の参考になれば幸いです。
闇夜のノワールに酔いしれたかったが、RPGの血は抜かれていた




この『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』は、前作から約20年ぶりとなるシリーズ続編で、雪に覆われた夜のシアトルを舞台にヴァンパイア社会の陰謀に挑むアクションRPG……のはずでした。主人公Phyreの脳内に同居するMalkavianクランの探偵Fabienとのノワール調の掛け合いや、派閥リーダーたちとの緊張感ある会話劇は確かに光っています。ただ、装備もステータスもインベントリもないRPGというのは、ちょっと看板に偽りありと言われても仕方がないかもしれません。
サブクエストの大半はお使い作業の繰り返しで、NPCのAIは目の前で仲間が倒されても見て見ぬふり。前作のファンが愛した「クランごとにまったく違うゲーム体験」という最大の魅力も、本作ではほぼ消え去っています。ノワールの雰囲気とFabienというキャラクターだけでは、このゲーム全体を支えきれなかったというのが正直な印象です。
育てる楽しみがない——RPGの骨格を抜かれたヴァンパイア
本作最大の問題は、RPGとしての根幹が根こそぎ削ぎ落とされていることです。ステータス割り振り、武器・防具の装備、通貨、インベントリといった基本要素がまるごと存在しません。手に入るのは数種類の回復・バフ用ポーションとスキルポイントだけ。ハッキングや説得といった非戦闘スキルもなく、能力はすべて戦闘用のアビリティに限られています。
しかもプレイヤーが一度にセットできるアビリティは4つだけで、序盤の数時間で自クランの能力は最大まで強化できてしまう。他クランの能力をアンロックすることは可能ですが、それは単なる横滑りの選択肢であって、ゲームを進めても「自分が強くなっている」という感覚がまったく得られません。経験値や通貨という概念すらないので、成長のモチベーションを保つのがかなり難しい構造になっています。
お使いクエストと「行ったり来たりシミュレーター」
メインクエスト以外のサイドクエストの大半が「指定の場所に行って荷物を回収する」「匂いを辿って標的を倒す」という単調なパターンの使い回しです。物語的な背景も薄く、報酬もXPやアビリティ解放ポイントのみ。終盤にはクエストを無視したくなるほどの疲労感がある、という声も少なくありません。
さらに、マップは狭いにもかかわらずファストトラベルが未実装。クエストのたびに同じエリアを何度も往復させられます。「無意味な行ったり来たりシミュレーター」と揶揄されるほどで、ゲームプレイ時間の半分は移動で水増しされている感覚になるかもしれません。
殴って殴ってまた殴るだけの戦闘と間抜けなAI
ヴァンパイアの超常的なスピードが災いして、特に狭い通路での戦闘では敵も味方も速すぎて何が起きているのか把握できなくなります。戦闘時に発動する「魚眼レンズ効果」が画面を見づらくし、当たり判定も不正確。結果的にボタン連打の泥沼になりがちです。
落ちている武器を直接装備できず素手で戦うしかないため、後半のタフな敵やボス戦ではダッシュと回復を繰り返しながら殴るだけのカオスな乱戦を強いられます。ボスのHPは無駄に多く、攻撃パターンも大味。RPG的なレベル上げによる救済措置もないので、フラストレーションが溜まる場面は少なくありません。
「マスカレード」の掟が機能していない世界
NPCのAIもかなりお粗末です。ステルス中に敵の目の前で仲間を倒しても、数秒間警戒するだけで元の位置に戻ってしまう。街の歩行者をヴァンパイアが暗い路地に誘い込んで血を吸っても警察はスルー。ベンチに座っていたビジネスマンが突然意味不明なことを叫びながら追いかけてくるなど、状況にそぐわない異常な挙動が日常的に発生します。
街を歩くNPCは同じ顔の使い回しが多く、入れる建物やインタラクトできるオブジェクトも極端に少ない。ヴァンパイアの掟である「マスカレード」を隠れ蓑にするという設定が、システムにまったく落とし込まれていないのは致命的かもしれません。背景のセットに置かれた「段ボールの人形」のように生気がないという表現は、なかなか的を射ていると思います。
ただ、光る部分もあります
脳内の探偵Fabienとの掛け合いは本物の魅力
厳しい評価が続きましたが、物語面の魅力は確かに存在します。主人公Phyreの脳内に同居するMalkavianクランの探偵Fabienは、レイモンド・チャンドラーの小説のようなハードボイルドな語り口で状況を解説してくれる存在。『サイバーパンク2077』のジョニー・シルバーハンドのように、時にユーモアを交えた相棒として物語を牽引しています。
シアトルのヴァンパイア社会(Camarilla)における会話は「3次元チェス」と表現されるほど、過去の行動やプレイヤーの態度が複雑に絡み合う頭脳戦。派閥のリーダーたちとの対話では、不用意な一言で相手を怒らせる緊張感があって、パズルを解くような駆け引きが楽しめます。手動セーブがなくオートセーブの頻度も低いため、会話の選択はやり直しがきかない一発勝負。この緊張感は人によってはむしろプラスに働くかもしれません。
過去に遡ってFabienとして事件を調査する探偵パートも独特で、死んだ猫や色目を使ってくるファイルキャビネットといった無生物と会話して手がかりを得るシーンは、Malkavian特有の「狂気」が活きていて声優の見事な一人芝居も相まって高く評価されています。ノワールジャズのサウンドトラックと声優陣の演技(特にFabien役)も極めて高いレベルで、雰囲気づくりの面ではしっかり仕事をしている。
屋根を飛び回る爽快感とヴァンパイアの暴力美学
ゲーム開始直後から強大な力を持つ「エルダー」として、超人的なスピードでのダッシュ、建物の換気管を使った壁登り、屋上から屋上への長距離ジャンプや滑空が可能です。この流れるような空中移動は、『スパイダーマン』や『バットマン:アーカム』シリーズを彷彿とさせる爽快感があります。
テレキネシスで落ちている銃を空中で連射させたり、透明化して背後から首を折ったり、敵をマインドコントロールして同士討ちさせたりと、自分の有利な状況を作り出した時の爽快感は大きい。ステルスアビリティが上手く噛み合った瞬間は、「『バットマン ビギンズ』の波止場での戦闘」のようなヴァンパイア体験が味わえます。ただし、この爽快感を安定して得られるのは限られたシチュエーションだけ、というのが難しいところですね。
雪が降りしきる夜のシアトルの街並みも視覚的に美しく、豪華なCamarillaのペントハウスからゴス音楽が鳴り響くダイブバー、薄汚い路地裏まで、ダークな「World of Darkness」の世界観は見事に構築されています。
「最強のヴァンパイア」は成り上がりの物語を殺したのか
最も評価が分かれているのが、主人公が最初から超人的な力を持つ「エルダー(長老)」として設定されている点です。ダッシュや滑空による圧倒的な機動力と暴力で敵を蹂躙できる爽快感を評価する声がある一方で、前作のような「新米ヴァンパイアからの成り上がり」を期待していたファンからは、成長の余地がなくパワーファンタジーとしての面白みに欠けるという批判が出ています。「開始直後から頂点捕食者」という設定は、RPG要素の欠如とも絡み合って、ゲーム全体を通じた成長曲線を平坦にしてしまっているのかもしれません。
もうひとつの大きな論点は、本作を「RPG」と呼べるのかどうか。RPG要素を排除して物語とアクションに集中する設計を「リラックスして楽しめるアクションアドベンチャー」として評価する声もあります。ただ、前作がカルト的名作となった最大の理由——クランごとに根本からプレイスタイルが変わる圧倒的なロールプレイの自由度——は完全に失われている。本作ではクランの選択がわずかな会話の差と初期能力の違いにしかならず、他クランの能力も簡単に習得できてしまうため、リプレイ性が消えてしまっています。あるレビュアーの「面白いくらいに歯抜けなノワール・フィクション」という表現は、この作品の立ち位置をうまく言い表しているかもしれません。
オープンワールドのサイズ感も意見が割れていて、5つのエリアに絞られたコンパクトなマップを「適度」と肯定する声と、探索したくなる秘密やインタラクティブな要素が詰め込まれていない「死んだ背景」だと批判する声があります。前作のロサンゼルスのような「街全体がひとつの汚れたキャラクター」として生きている感覚はなく、クエストマーカーからマーカーへと移動するだけの空間になってしまっているという指摘ですね。
メディアレビュー紹介
高評価メディア
PC Gamer — 78
主人公Phyreと脳内に棲みつく探偵Fabienによる、ヴァンパイア版バディ・コップ劇が最高に面白い!RPG要素やサイドクエストの薄さは否めないが、各クランの探り合いやMalkavianの精神操作を駆使した1920年代の捜査パートは極上のノワール体験だ。陰謀と殺人に満ちた熱狂的な物語である。
→ レビューを読む4P.de — 75
現代のシアトルで目覚めた主人公Phyreと、脳内に棲みつく探偵Fabienとの掛け合いが極上のミステリーを生む!探索範囲は小規模だが、各クランの思惑が交錯する会話の駆け引きは、まるで「3次元チェス」をプレイするようなスリルだ。The Chinese Roomの卓越した語り口が光るヴァンパイア体験である。
→ レビューを読むCOGconnected — 72
ハードボイルドな探偵小説と吸血鬼の融合が見事だ!雪に覆われたシアトルの陰鬱な雰囲気の中、脳内の探偵Fabienによるレイモンド・チャンドラー風の渋いナレーションが物語を極上に引き立てる。お使いクエストなどの欠点はあるものの、秀逸な脚本と声優の熱演が、ヴァンパイアファンの心を確実に満たしてくれる。
→ レビューを読む
低評価メディア
Eurogamer — 40
RPGとしてもアクションとしても極めて中途半端な失敗作だ。主人公は序盤から最強のままで成長の余地がなく、サイドクエストは無意味なおつかいに過ぎない。シアトルの街は段ボールの書き割りのように生気がなく、ただ指定場所を往復する苦痛が続く。声優の演技は光るが、ゲーム体験としては完全に空虚で期待外れである。
→ レビューを読むGame Rant — 70
物語の出来は本年最高クラスだが、ゲーム部分はひどく生焼けだ。前作の魅力的な舞台とは対照的に、本作のシアトルは無味乾燥で陳腐である。サイドクエストは無意味なおつかいの連続で、プレイヤーの創造性を奪う窮屈な成長システムがアクションの足を引っ張る。傑出した脚本に対し、ゲーム体験の粗さが致命的な欠陥だ。
→ レビューを読むCOGconnected — 72
秀逸な設定にもかかわらず、単調な「おつかい・討伐」クエストの連続が没入感を削いでしまう。主人公が最初から強すぎるためRPGとしての成長の喜びは薄く、さらにボス戦の理不尽な難易度スパイクがプレイヤーをひどく苛立たせる。素晴らしい世界観を持ちながら、未発達なシステムが足裏の小石のように常に付き纏う一作だ。
→ レビューを読む
まとめると
- 脳内に住む探偵Fabienとのノワール調の掛け合いと会話劇の駆け引きは本作最大の魅力
- ノワールジャズのサウンドトラックと声優陣の演技は高水準
- 雪に覆われた夜のシアトルの街並みは視覚的に美しい
- ステータス・装備・インベントリなどRPGの根幹が根こそぎ削除されている
- 序盤数時間で能力が頭打ちになり、成長の実感がまったく得られない
- サブクエストの大半が単調なお使い作業の使い回し
- ファストトラベル未実装で同じエリアの往復が苦痛
- 近接戦闘はカオスなボタン連打に陥りやすく、ボス戦も大味
- NPCのAIがお粗末で「マスカレード」の設定がシステムに活きていない
- クラン選択や派閥との交渉がエンディングにほぼ影響しない
- 最初から最強のエルダー設定は爽快だが成長の余地を奪っている
製品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2 |
| ジャンル | アクションRPG / 一人称視点 |
| 開発 | The Chinese Room |
| 発売日 | 2025年10月21日 |
| 世界観 | World of Darkness |








