Paradox Interactiveより2025年10月22日に発売、PlayStation®5、Xbox Series X/S、PCに対応する一人称視点アクションRPG『ヴァンパイア:ザ・マスカレード – ブラッドラインズ 2』のメディアレビュー総まとめページです。
多言語を日本語へ翻訳してからの編集になっているためゲーム用語など一部異なる場合があります。
総合評価
SCORE
64
Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。
| 90 | 80 | 70 | 60 | 50 |
|---|---|---|---|---|
| 神ゲー | 良ゲー | 凡ゲー | 低評価 | 爆弾持ち |
『ヴァンパイア:ザ・マスカレード – ブラッドラインズ 2』の評価は、メディアによって大きく分かれています。テーブルトークRPGの豊かな設定、魅力的な主人公(PhyreとFabien)、雰囲気のある都市描写といった強みを持つ一方で、技術的な不安定さやRPGとしてのシステム不足といった弱点を併せ持つ作品であると示されています。
評価されている点として、まず物語とキャラクター描写が挙げられます。100年の昏睡から目覚めた主人公Phyreと、彼女の頭の中にいる探偵Fabienの「二人一体」の設定が核となっています。また、ネオンが光り雪に覆われたシアトルの街並み、特に細部まで作り込まれた屋内環境の雰囲気は高く評価されています。戦闘に関しても、ヴァンパイアの能力を使った素早い近接攻撃や、屋根を飛び移る機敏な移動アクションは楽しめるとされています。
しかし、複数の技術的な問題とデザイン面の課題も指摘されています。PlayStation 5版では、パフォーマンスモード(60 FPS)でもフレームレートの低下やカクつきが頻繁に発生し、クラッシュも報告されています。また、オープンワールドのシアトルはメインクエスト以外にやることが少なく、空虚に感じられるとの意見があります。RPG要素は前作より大幅に削られており、多くの会話選択肢が物語に大きな影響を与えない「選択の幻想」に留まっていると見られています。さらに、主人公の能力が使えないFabienの探偵パートは、移動が退屈でゲームのテンポを妨げているとされています。
魅力的な物語と世界観を持つアクションアドベンチャーであると同時に、パフォーマンスの問題や、期待されたRPGとしての要素が不足している点が示されています。
評価ポイント
本作で最も評価されているのは、優れた雰囲気と環境描写です。特に開発元の強みとされる、美しく印象的な屋内環境の描写が際立っています。主人公Phyreのアパートのような屋内空間は、月光が差し込み、ロウソクや本の山、古びたウィジャ盤といった細かな物で溢れています。これにより、実際に生活しているかのような感覚が強く表現され、強烈な雰囲気を生み出しています。また、屋外の雪に覆われネオンが光るシアトルの街並みも、暗く、ナイフで切り裂くような張り詰めた雰囲気を持ち、世界設定の本質を見事に描き出しています。
- 雪とネオンが作る光のコントラスト演出
- ネオンの光が雪に拡散する様子や、暗い路地、秘密めいた屋上での出会いには、『ブレードランナー』を思わせる懐かしさが漂います。
- 現実のシアトルに基づいたロケーション
- 描かれる現代のシアトルには、実生活に即した楽しい特徴がいくつかあります。特に、街の有名な地下街の入り口など、現実の場所から明らかに影響を受けたロケーションが存在します。
- 密度の高い室内空間の設計
- 多くの都市部の室内環境は密度が高く、グロテスクでありながらも、そこでの(非)生活の痕跡を感じさせます。
- 会話の分岐が及ぼす政治的な影響
- 複数の吸血鬼クランによる覇権争いや、それに伴う社会の混乱と複雑な政治に焦点が当てられています。一本道ではない対話システムが導入され、様々な人物に取り入るかどうかを選び、物語を別の方向へ進める重要な決定が可能です。特にゲームの後半では、プレイヤーの行動が物語に与える影響がより具体的になり、裏切りや同盟といった大きな決断がストーリーに反映されるのを簡単に確認できます。
- 周回プレイで感じられる物語の変化
- 物語には多くの異なるエンディングが用意されており、ゲームを新たに始めるたびに物語が実質的に変化します。途中で行う多くの重要な選択がどのエンディングに到達するかを決めるため、もう一度プレイして物事がどう変わったかを確認できます。
- PhyreとFabienの「二人一体」の主人公
- 主人公は、エルダーヴァンパイアのPhyreと、彼女の体内にいる探偵Fabienという「二人一体」の構造です。2人のヴァンパイアが独自の動機を持って同じ体に住もうとする、型破りな「バディムービー」のような設定は非常に興味深いものです。Fabienは、Phyreが眠っていた間に発展した技術や社会の流行を教え、冒険を通じて世界を理解するための情報を提供します。
- Fabienを操作する探偵パート
- Phyreが眠っている間、Fabienの記憶がプレイ可能な探偵パートとして現れ、操作キャラクターが切り替わります。これらのパートでは戦闘がなく、ゆっくりとしたペースの探偵要素が採用されており、開発元の伝統的な作品のようにも感じられます。Fabienとしてのプレイは、まるで操作できるノワール映画のようで、戦闘や隠密行動のセクションからの良い息抜きとなり、Fabienというキャラクターをより理解するのに役立ちます。
- テレキネシスを使った戦闘
- プレイヤーはエルダーヴァンパイアとして、テレキネシス(念動力)を使って敵を引き寄せたり、銃器を含む彼らの武器を奪ったりできます。近くの物を掴んで敵に投げつけたり、コンボ攻撃のために敵を引き寄せたりすることも可能です。敵のライフルやバットを奪い、それを敵に対して使う感覚は飽きさせません。
- 高い機動力による自由な移動
- 主人公が場所から場所へ移動する方法は、建物間を飛び移り、屋上を走り、街中を滑空する感覚があり、満足感があります。高速移動や長距離ジャンプの能力は、人目から隠れて屋上を登り、目的地まで走ったり、跳んだり、滑空したりする最適な方法となり、戦術的な幅を広げます。開発者は、プレイヤーに力を与え、非常に機敏な存在であると感じさせることに成功しています。
- ステルス(隠密)と正面戦闘の両立
- 本作は戦闘とステルス(隠密行動)の両方を備えたRPGです。プレイヤーは静かに忍び寄り、素早くダッシュし、地面や高い場所から敵を倒すことができます。戦闘への出入りも極めて迅速に行えます。「ポゼス」のような能力と隠密攻撃を組み合わせることで、正面からの戦闘と隠密行動の両方のアプローチを楽しめます。
- 原作の伝承(設定)に忠実な物語
- ヴァンパイアが人間の前で力を使うことを禁じる協定である「マスカレード」がゲームのデザインに組み込まれており、プレイヤーはゲーム世界での振る舞いに注意する必要があります。不死社会の不文律(伝承)を掘り下げることが好きなファンは、この作品が描き出す多くの部分を楽しめるでしょう。物語は緊迫感があり、終始、伝承に正確なまま構築されています。
- 個性的で多面的な主要キャラクター
- 主要なキャラクターたちは皆、興味深く、しっかりと描かれています。多くのキャラクターは多面的で、プレイヤーは彼らをより深く知りたいと感じるでしょう。例えば、貴族的なナルシストでありながら人間的な部分や哀れさも感じられるLou Grahamや、タフな態度を維持しようとしながらも権力の上昇に苦悩するRyongのように、キャラクターは類型化されながらも進化し、より多面的です。
不評ポイント
PlayStation 5およびPS5 Pro版では、フレームレートが著しく不安定で、ゲームプレイに支障が出ています。特にオープンワールドでの敵との遭遇、シーンの切り替わり、パルクールでの移動中に、頻繁に大きなカクつき(スタッター)やフレームレートの急激な低下(時には一桁台まで落ち込む)が発生します。パフォーマンスモード(60 FPS目標)でも目標値が維持されることは稀で、画質モード(30 FPS目標)もスムーズさに欠け、実用的な選択肢になっていません。加えて、ゲームがクラッシュしてPS5のホーム画面に戻されることも時折報告されており、全体的な洗練度が不足しています。
- PS5/PS5 Proでのフレーム低下と入力遅延
- 多数の敵と遭遇する際にはVRR(可変リフレッシュレート)を破綻させるほどの低下が見られます。さらに、最長で約1秒近く続く大規模なカクつきが頻繁に発生し、入力遅延がアクションを妨げます。クラッシュも頻繁で、ある筆者はPS5で約7回発生したと報告しています。
- 品質/パフォーマンス両モードの実用性不足
- 30 FPSの品質モードは、カクつきがひどく、まともなモーションブラーもないため、実質的に実行可能な代替手段ではありません。また、建物を出入りする際にフレームレートが完全に低下することが報告されています。
- 活気に欠けるオープンワールド設計
- シアトルのオープンワールドは「がらんどうで、ほとんど無意味」と評され、メインやサイドクエスト以外に面白いことや見るべきものが不足しています。実際の偶発的な出来事や予期せぬイベントが欠けています。マップが小さく、ランダムな市民は通りを徘徊し、静止しているNPCは同じ定型文を繰り返すため、世界は殺風景で生命感がないと感じられます。
- ファストトラベル不在による往復疲れ
- ファストトラベル機能がないため、以前訪れた場所への移動が大変な作業となり、探索意欲を削ぎます。特に、高速移動能力を持たないファビアンの回想シーンで目的地の間を徒歩で移動することは「全くの苦痛」であり、ゲームのテンポを損なっています。
- RPG要素の削減と「選択の幻想」
- 本作はRPG要素が「厳しくそぎ落とされています」。多くの会話選択肢が与えられますが、約15時間のプレイ時間で本当に重要な決定はわずか2〜3個にすぎません。自分の行動の結果を目にする機会は稀であり、プレイヤーが違いを生み出していると思わせる「選択の幻想」だと評されています。
- 会話分岐の影響力不足
- 会話の選択肢は、態度の違いがあるだけで実質的には同じことを言っている場合が多いです。「Tolly loved that」のような関係性へのフィードバック表示もほとんど何の意味も持ちません。選択した会話は相手の応答に影響を与えるだけ(色付けをするだけ)で、次に会った時には「すべて忘れられている」ことがほとんどです。
- ファビアン回想の冗長さとテンポ断絶
- ファビアンの回想シーンは「病的に長く、犯罪的に退屈」であり、ゲームの勢いを何度も殺し、周回プレイの価値(リプレイバリュー)を完全に破壊しています。ファビアンは高速移動能力を持たないため、プレイヤーはすでに殺風景なシアトルを目的マーカー間を何度も歩かされ、この部分は「時間を浪費させるための訓練」だと感じられます。
- 探偵パートの形骸化
- ファビアンの探偵パートでは「プレイヤーの主体性が皆無」です。手がかりの発見は、すべての会話選択肢を選び、超能力を使って人や物体に情報を「吐かせる」ことになります。この超能力は開発者が決めた特定のポイントでしか使えず、答えを単純に示してしまうため、探偵作業が安っぽくなり、選択の意味も薄くなっています。
- 近接戦闘の粗さと依存度
- 近接戦闘は速く激しい一方、時に「少し雑」に感じられ、バグのある攻撃やうんざりするフィニッシャーアニメーションがあるとの指摘があります。基本的な近接戦闘だけでは「極めて退屈な事態」になるため、超能力やテレキネシス(念動力)が、この「比較的ありふれた戦闘システム」に面白味を与えるために不可欠です。
- 遠距離敵のバランス不均衡
- 銃を持った敵は対処が「悪夢」であり、特にショットガンやSMGを持つ敵は、ほとんど警告なしにプレイヤーを抑え込み、戦闘のストレスを増やします。ゲーム終盤では、戦闘が当初の設計から「圧倒的な射程武器を持った敵の大群」による物量戦へと崩壊し、バランスが悪くなります。
- ステルスビルドの不利
- ステルス(隠密)は敵の数を減らす方法として機能しますが、ゲームはしばしば強制的な正面戦闘を優先します。隠密に特化した氏族を選んでも、近接戦闘専用のボスや物量で押し寄せる敵に直面するため、隠密主体のプレイは成立しにくいです。
- 育成・カスタマイズの浅さ
- 氏族の選択は主に戦闘のプレイスタイルを決めるものですが、ストーリーの第2章までにその氏族の能力がすべてアンロックされてしまいます。そのため、ゲームの大半でキャラクターの成長がほとんど感じられません。スキルツリーは「スキルライン」に近く、「お粗末」だと評されています。
- 血集めの反復作業化
- 他の氏族の能力を得るには特定の血を集める必要がありますが、そのための吸血作業(誰かを暗い場所に連れ込み、血を飲んで立ち去る)を何度も繰り返す必要があり、「少し反復的」に感じられます。この作業は「周回」のようで、NPCを誘い込むために同じ定型的なセリフを何十回も言う必要があり単調だと報告されています。
- 単調で薄報酬なサイドクエスト
- サイドクエストは「信じられないほど基本的」で、主に配達や敵の掃討が中心です。報酬は「実質的に存在しない」と言えるほど薄く、得られる経験値も、すべての任意スキルをアンロックする目的がなければ「ほとんど価値がない」とされています。
- NPC/世界との相互作用の希薄さ
- オープンワールドにいる人々は、主人公に「血を吸われるための容器」以上になりにくい存在です。一般のNPCは「明らかに繰り返されるクローン」のように感じられ、振る舞いが画一的で、彼らとのユニークな会話機会は非常に限られています。
メディアレビュー
- Metro GameCentral[80]
- Everyeye.it[80]
- Gamer.no[80]
- PlayStation Universe[75]
- GameGrin[75]
- GameSpew[70]
- GameSpot[70]
- Game Informer[70]
- DBLTAP[70]
- GIGA[60]
- Push Square[40]
- TechRadar Gaming[30]
- GameSpot[67]
- GameWatcher[63]
- PC Gamer[62]
- Polygon[60]
- GamesBeat[60]
製品情報
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| タイトル (日本語) | ヴァンパイア:ザ・マスカレード – ブラッドラインズ 2 |
| タイトル (英語) | Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2 |
| ジャンル | アクションRPG, 一人称視点, ステルス, アドベンチャー |
| 開発元 (Developer) | The Chinese Room |
| 販売元 (Publisher) | Paradox Interactive |
| 発売日 | 2025年10月22日 |
| プラットフォーム | PlayStation 5, Xbox Series X/S, PC |
| プレイ人数 | 1人 |
| 日本語(インターフェース) | 対応 |
| 日本語(字幕) | 対応 |
