Bloober Team SAより2025年9月5日に発売された、PlayStation 5、Xbox Series X/S、Switch2、PCに対応のSFサバイバルホラー『Cronos: The New Dawn (クロノス:ザ・ニュー・ドーン)』のメディアレビュー総まとめページです。
総合評価
SCORE
77
Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。
90 | 80 | 70 | 60 |
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神ゲー | 良ゲー | 凡ゲー | 問題あり |
本作は、優れた雰囲気、厳しい難易度、そして徹底した資源管理を特徴とする、純粋なサバイバルホラー体験を提供する作品として評価されています。Steamでのレビューも「非常に好評」と、プレイヤーからは概ね肯定的に受け止められています。
この評価の根拠は、終末後の未来と1980年代のポーランドを行き来する、説得力のある物語にあります。実在の工業地区をモデルにした退廃的でグロテスクな世界が、美しいビジュアルと優れたサウンドデザインによって表現されています。そして、常に弾薬やアイテムが不足する状況と、敵が死体を吸収して強化される「マージ」システムが、ゲーム全体の緊張感を作り出しています。
具体的なゲームプレイでは、主人公の動きは意図的に重く、回避操作もないため、戦闘は常に慎重な立ち回りを要求されます。限られた資源をどう使うか、例えば敵の「マージ」を防ぐために貴重な燃料で死体を焼却するかといった戦略的な判断が常に問われます。しかし、難易度設定が存在しないため、一部のプレイヤーには過度に難しく感じられる可能性があります。特に、チェックポイントの間隔が非常に長く、死亡すると数十分の進行が失われることがある点は、不満点として指摘されています。また、三人称視点の戦闘やセーフルームの仕組みが他の有名作品を強く意識していることや、時間操作という特徴的な要素が十分に活かされていないという意見も見られます。
結論として『Cronos: The New Dawn』は、その雰囲気、困難な戦闘、そして成熟した物語によって、サバイバルホラーのファンにとっては価値のある体験です。一方で、その容赦のない難易度、システム面での独自性の不足、そして一部の技術的な問題点も存在する作品であるという事実が確認できます。
評価ポイント
本作で最も評価されているのは、ビジュアル、世界設定、サウンドデザインによって作り出される優れた雰囲気です。東欧のブルータリズム建築とレトロフューチャー技術が融合した、荒廃した1980年代ポーランドのディストピア世界は見事に表現されています。不気味で不吉な感覚を常に感じさせる環境描写、そしてうめき声や内臓が鳴るような音響効果を駆使したサウンドデザインは、プレイヤーを終始緊張させ続けます。これらの要素が、プレイヤーを絶望的な廃墟都市の恐怖へと引き込み、記憶に残る体験を生み出しています。
- 実在の工業地区をモデルにしたリアリティのある世界
- ゲームの舞台となる都市は、ポーランドのクラクフに実在する工業地区「Nowa Huta」をモデルにしており、この設定が世界に現実味を与え、ゲーム体験全体の質を高めている。1980年代のポーランドという歴史的背景が忠実に再現されている。
- 少ない資源を管理する緊張感
- 弾薬や回復アイテムといった資源が極めて少なくなるように設計されており、プレイヤーは常にストレスと緊張感にさらされる。アイテムの在庫管理とやり繰りが常に課題となり、プレイヤーは常に弱い立場に置かれるため、エリアを注意深く探索する動機にもなっている。
- 意図的な制限が生み出す手応えのある戦闘
- 主人公が着ているスーツは重く、回避操作ができないため、戦闘の緊張感が意図的に高められている。武器には通常発射とチャージ発射があり、強力なチャージ攻撃は準備に時間がかかるため、安全な状況と資源の温存を考えた戦略的な判断が求められる。
- 敵の死体をめぐる独自の「マージ」システム
- 敵は倒された仲間の死体を吸収して「マージ」し、より強力な個体へと変異する。これを防ぐには燃料が限られている火炎放射器で死体を焼却する必要があり、貴重な資源をいつどこで使うかという判断が緊張感を生む独創的な要素となっている。
- マップがないことによる探索への集中
- ゲームにはマップがなく、目標への大まかな方向が示されるだけなので、プレイヤーは自身の方向感覚を頼りに進む必要がある。これにより、周囲の環境を常に意識して探索に集中するようデザインされている。
- 探索によって進行が有利になるレベル設計
- 探索をすることで、弾薬や材料だけでなく、武器の拡張やスーツのアップグレードに必要な「コア」といった報酬が見つかる。アップグレードを手に入れるたびにプレイヤーは着実に強化されていくため、探索にはやりがいがある。
- 環境を通じて語られる物語
- 派手なアクションシーンに頼らず、環境の様子、メモ、オーディオログ、血で書かれたメッセージなどを通じて、事件の背景や世界の謎が間接的に語られていく。これにより、人類の運命をめぐるSF物語の骨子が構築される。
- 進行するにつれて面白さを増す物語
- 物語はゆっくりと始まるが、緊張感と複雑さを増しながら展開していく。主人公の役割や事件の原因が徐々に明らかになる過程には驚きがあり、困難を乗り越えて先に進む動機付けとなっている。
- 物語と能力強化が分岐する「エッセンス」システム
- 「エッセンス」を対象から抽出するかどうかの選択は、対象の生死に関わる倫理的な判断であり、物語の分岐点となる。同時に、エッセンスは主人公に特殊な能力ボーナスを与えて強化するため、物語とゲームプレイの両面で周回プレイの価値を高めている。
- 安定した動作による快適なプレイ
- PS5での動作は非常にスムーズで、カクつきなどは発生しない。激しい戦闘中にわずかなフレームレートの低下が見られることはあっても、ゲーム体験を損なうほどではなく、技術的な安定性が緊張感のあるプレイを支えている。
不評ポイント
本作には難易度設定がなく、一部のプレイヤーにとっては過度に難しく骨の折れる体験になる可能性があります。特に、戦闘におけるチェックポイントの配置が厳しく、時には数十分の進行が無駄になるほど容赦がないため、プレイヤーの不満を招いています。さらに、弾薬や回復アイテムといった資源が極端に少ないことや、主人公の動きが重いことも合わさり、生存が運に左右される安易な戦闘が起こりやすい点も批判されています。また、マップが存在しないことも、ゲームの難しさと苛立ちを大きくしています。
- ゲーム進行の遅さと後半の単調さ
- ゲームのペースはやや緩やかで、クリアまでにかかる時間(約15〜20時間)が必要以上に長く感じられる。特に後半は、単調な作業の繰り返しになる可能性がある。
- 回避操作がなく機敏さに欠ける戦闘
- 主人公の動きは意図的に重くされており、回避(ドッジ)操作がない。これにより敵の攻撃を素早く避けることが難しく、戦闘における機敏さが欠けている。
- 安易な待ち伏せや強制的なダメージを受ける敵配置
- 敵が壁の中など避けられない場所に配置されており、視界に入った瞬間に攻撃してくるため、体力の損失が確定してしまうことがある。また、鍵を見つけた時や部屋を出ようとする時に敵が現れるなど、待ち伏せの仕方が陳腐である。
- 曖昧で理解しにくい物語
- 物語は説明不足な部分が多く、ゲームの大部分で目的がはっきりと示されない。また、終盤に全く場違いな宗教的な要素が唐突に加わり、物語の理解を妨げている。
- ギミックの活用不足
- タイムトラベルや重力操作といった本作の特徴的な能力が、パズルなどに十分に活用されておらず、その可能性を完全には発揮できていない。特に重力操作は、単に探索の幅を少し広げるだけの要素にとどまっている。
- 単調で代わり映えのしない背景
- 背景はコンクリートや鉄板、変異した肉塊でできた廊下が延々と続く。場所が変わっても「バイオマスに覆われた茶色の廊下」という見た目が支配的で、視覚的な変化に乏しい。
- 煩雑なインベントリ管理
- インベントリのスペースが非常に限られており、銃、弾薬、鍵などすべてが容量を圧迫するため、頻繁にセーフルームのアイテムボックスへ戻り荷物を整理する必要がある。序盤は特に資源が不足しがちで、常に不十分な状態で戦闘に臨むことになる。
- 技術的な問題と独自性の欠如
- プレイ中にゲームがクラッシュして進行状況が失われる、壁にキャラクターがめり込むといった技術的な問題が報告されている。また、他のサバイバルホラーゲームから要素を借りてきているように感じられ、独自の強みがなく記憶に残りにくいという意見もある。
メディアレビュー
- Gamereactor UK[90]
- Loot Level Chill[90]
- Shacknews[90]
- Atomix[90]
- Carole Quintaine[90]
- DualShockers[90]
- GameSpew[90]
- Gamesurf[90]
- GamingBolt[90]
- Gaming Nexus[90]
- TheGamer[70]
- DBLTAP[70]
- Saudi Gamer[70]
- IGN Brasil[70]
- Het Nieuwsblad[70]
- GameOver.gr[70]
- GameMAG[70]
- PlaySense[65]
- Push Square[65]
- GameReactor[60]
製品情報
項目 | 概要 |
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タイトル (日本語) | Cronos: The New Dawn (クロノス:ザ・ニュー・ドーン) |
タイトル (英語) | Cronos: The New Dawn |
ジャンル | サバイバルホラー, アクション, SF |
開発元 (Developer) | Bloober Team |
販売元 (Publisher) | Bloober Team SA |
発売日 | 2025年9月5日 |
プラットフォーム | PlayStation 5, Xbox Series X/S, Switch2, PC |
プレイ人数 | 1人 |
日本語(インターフェース) | 対応 |
日本語(字幕) | 対応 |