PlayStation、デジタルゲームを「所有していない」と法廷で主張へ
デジタル版ゲームを購入したユーザーが、そのゲームを「所有」しているのか、それとも利用許諾を得ているだけなのかが、ソニーを相手取った集団訴訟で争点になっています。ソニーは、合理的な消費者であればデジタル購入によってゲームの所有権を得られないと理解しているはずだと主張しているとのことです。ディスクを使わない将来へ進もうとする同社にとって、購入画面の表示と利用規約の分かりやすさが問われる問題になっています。
4人の購入者がソニーを提訴
6月18日、4人の顧客が、自分たちと同じ立場にあるユーザーを代表してソニーに対する集団訴訟を申し立てました。原告側は、デジタルゲームを購入した際に、通常の商品と同じように所有権を得られると受け取るのが自然である一方、実際にはソニーがいつでも取り消せる限定的なソフトウェア利用権しか与えていないことを、購入者に明確に伝えていないと訴えています。
問題視されているのは、購入手続きで「今すぐ購入」や「購入を確定」といったボタンを押させる設計です。原告側は、こうした表現が商品を買い取る取引だと受け止めさせる可能性があると主張しています。ゲームを自分のライブラリーに追加する操作であっても、サービス側の判断によって将来的に利用できなくなる可能性があるなら、その点を購入前に理解できる形で示す必要があるという考えです。
ソニーは利用規約を根拠に反論
Game Fileの報道によると、ソニー側は「合理的な顧客なら、デジタルで購入したゲームを所有していないことを理解している」と反論しています。PlayStationのエンドユーザーライセンス契約にも、ソフトウェアは販売されるのではなくユーザーにライセンスされるもの、仮想コンテンツも所有物ではなくライセンスされるものだと記載されているとのことです。
ソニーにとっては、購入前に利用規約へのリンクを提示していることも反論材料になります。しかし、規約は膨大な分量で内容も複雑です。デジタル商品の所有権に関する説明は数千行に及ぶ文書の中に埋もれており、購入画面では小さな文字で表示されるため、ユーザーが見落としやすいと原告側は指摘しています。
カリフォルニア州法との関係
訴訟では、デジタル商品の販売に関するカリフォルニア州法との整合性も焦点になります。同法は、合理的な人が無制限の所有権を得られると理解する「購入」や「買う」といった言葉を、デジタル商品に対して企業が使うことを制限しています。そうした表現を使う場合、購入者が所有権を得るのではなく、利用ライセンスだけを受け取ることを、明確かつ目立つ形で示さなければならないとされています。
そのためソニーは、購入手続きの時点でライセンスに関する説明へ簡単にアクセスでき、ユーザーが見逃さない状態だったことを示す必要があります。単に規約を用意してリンクするだけで十分なのか、購入ボタンの近くに明示しなければならないのかが、今後の法的な判断に関わることになります。
物理ソフト終了方針の直後に説明メール
8月下旬、ソニーは利用規約とデジタル商品の扱いを説明するメールをユーザーへ送信しました。デジタルコンテンツが所有物ではなくライセンスであることを改めて伝える内容とみられますが、同社が2028年からPlayStation向けの物理ゲームソフトの生産を停止する方針を示した後だったため、送信のタイミングにも注目が集まりました。
ソニーは、将来的な訴訟を避けるためにユーザーへライセンス契約を読み直してもらう意図でメールを送った可能性があります。一方で、物理ソフトからデジタル販売へ移行する方針が進むほど、購入者が何を得ているのかを購入時にどこまで明確に説明するかは重要になります。今回の訴訟は、デジタルゲームの「購入」という言葉と、実際に与えられる利用権の違いをめぐる問題として、PlayStation全体の販売モデルにも影響する可能性があります。