『Marvel’s Wolverine』日本で600件超のスキャンを実施し4つのバイオームを収録
2026年09月02日 | #ゲーム #発売 | PlayStation.Blog EN
『Marvel’s Wolverine』の開発初期、Insomniac Gamesはゲーム内の環境をより具体的かつ現実感のあるものにするため、日本各地で大規模なロケーションスキャンを実施しました。東京から上越、妻籠宿・馬籠宿、京都を巡る今回の調査では、雪山や竹林、都市部、地下駅、寺院など、地域ごとに異なる環境のデータを収集しています。最終的に600件を超えるスキャンと5.6TBのデータ、約19万枚の写真が記録されました。
日本各地を巡る大規模な調査計画
今回の訪日調査は、現地へ向かう数カ月前から準備が進められていました。開発チームはオンライン上で候補地を調査し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの日本チームからも協力を得ながら、移動ルートと撮影対象を検討したとのことです。環境チームは制作中のレベルに必要なアセットやバイオームを細かく洗い出しており、限られた日程でできるだけ多くの要望を満たせるよう、各地を結ぶルートが組まれました。
訪問したのは東京、上越、妻籠宿・馬籠宿、京都、そして東京へ戻る行程です。通常のスキャン旅行では、現地間の移動を減らして撮影時間やデータのバックアップ時間を確保し、トラブルの可能性を抑える方針が取られていました。しかし日本で必要とされた環境は複数の地域に分散していたため、今回は過去の調査よりも長距離の移動を前提にした計画になったと説明されています。
チームは日本の高速道路を移動しながら、車窓から地形や景観を観察しました。記事では、移動中にさまざまな形状について議論したり、サービスエリアの自動販売機で見慣れない飲み物を試したりしたエピソードも紹介されています。こうした移動時間も、各地域の特徴を把握する機会になったようです。
雪山から地下駅まで異なる環境を記録
ロケーションスキャンの目的は、単に現地の写真を撮ることではありません。岩、樹皮、舗装、苔、金属、看板、土といった表面を高解像度で記録し、ゲーム内で再利用できるアセットとして構築します。建物や壁などは、複数の場面で組み合わせられるモジュール式の素材に変換することも想定されています。
上越周辺の山岳地帯では、雪や石、樹皮、地表の植生など、寒冷地特有の自然素材に焦点が当てられました。冬の気候によって素材がどのように変化し、雪や冷気が地面や建物にどのような痕跡を残すのかも重要な観察対象になっています。単純な形状だけでなく、表面の摩耗や汚れといった細かな違いまで記録することで、現実の場所に基づいた環境表現を目指しました。
竹林では、植物そのものに加えて、植生が重なり合う様子や、竹が密集することで生まれる空間のリズムを収集しました。現地では、文化や地域に根ざした構造物も調査されています。たとえば、独特な形状の竹製の雨どいは、その土地ならではの建築や生活の知恵を示す資料として記録されました。
都市部では、道路や壁、歩道、公共インフラ、街角の細部をスキャンしています。日常的に使われる場所に生じた傷や汚れ、素材の経年変化など、汎用的なアセット集だけでは再現しにくい情報が収集されました。地下の鉄道駅では、地上の都市とは異なる床や壁の素材、接合部、空間の構造を対象にし、交通施設を思わせるゲーム内アセットの制作に役立つデータを得たとしています。
スキャンデータだけではない現地調査の成果
開発チームが持ち帰ったのは、3Dアセット用のスキャンデータだけではありません。場所の形状、テクスチャ、物体の大きさ、建築物同士の関係性を把握するため、追加の写真資料も大量に撮影しました。寺院では建物の細部や装飾を記録し、山や竹林では自然物の配置や密度を確認しています。
こうした現地調査は、ゲーム内に実在する場所をそのまま再現するためだけに行われたものではないとのことです。本作には架空のロケーションも登場しますが、実際の地域で建物がどのように設計され、素材がどのように使われ、時間や天候によってどう変化するのかを知ることで、アーティストは説得力のある環境を組み立てられます。開発元は、現実の観察を土台にすることで、汎用素材を並べただけではない、場所の背景を感じられる世界を作れると説明しています。
600件超のスキャンと5.6TBのデータ
日本での調査結果について、開発チームは4つのバイオームにまたがる600件以上のスキャンを実施したと報告しています。チームが歩いた距離は合計で100マイルを超え、約20ポンドのスキャン機材を持ち運びながら作業する場面もありました。撮影された写真は、追加の資料写真を除いても189,589枚に達しています。
記録された環境は、雪に覆われた山岳地帯、地下鉄の駅、竹林、日差しを受けた都市の道路、郊外の寺院など多岐にわたります。収集データの総容量は5.6TBに及び、開発チームはこれらを持ち帰ってゲーム用の素材や参考資料として整理しています。一方で、長時間の移動と屋外作業のなかで、ケーブル2本とプラスチックケース1個、スマートフォンの背面ガラス1枚が破損したことも明かされました。
日本での経験を本作の環境制作へ反映
開発元によれば、日本でなければ得られなかったアセットや資料があり、現地に赴いたことで、場所の成り立ちや素材、文化的な細部への理解も深まったとしています。世界各地で行われた他のスキャン旅行と合わせ、こうした調査は本作の環境をより具体的にし、現実のインスピレーションに対する理解と配慮を反映するための基盤になるとのことです。
『Marvel’s Wolverine』はPS5向けに9月15日の発売を予定しています。今回収集された日本の環境データが、実際のゲーム内でどの場面やアセットとして登場するのか、今後の映像や情報で確認できるかが注目されます。