← 最新記事一覧

『Onimusha: Way of the Sword』は現代版God of Warとして復活する

2026年09月04日 | #ゲーム | IGN

『Onimusha: Way of the Sword』は現代版God of Warとして復活する

長く休眠していた鬼武者シリーズの復活作は、過去作の単純な再現でも、侍版のResident Evilでもありません。『Onimusha: Way of the Sword』は、近年のGod of Warから現代的なアクションアドベンチャーの設計を取り入れつつ、ボス戦にはSekiro: Shadows Die Twiceの緊張感を組み込んだ作品として、カプコンが得意とする「過去作の再生」を別の形で示しています。原文筆者は、本作がカプコンの成功法則を鬼武者に適用した例だと分析しています。

カプコンが続けてきた過去作の再構築

カプコンにとって、ここ10年は非常に大きな成功が続いた時期です。同社の売上上位10作品はすべて過去10年以内に発売されており、その流れの出発点として挙げられているのが2017年のResident Evil 7です。シリーズの原点に立ち返りながら、当時のゲーム体験をそのまま再現するのではなく、現代のプレイヤーに通用する形へ作り替えたことが、後の成功につながりました。

Resident Evil 7では、過度に派手な方向へ進んでいたResident Evil 6からシリーズを立て直すため、当時のホラーゲームが持っていた強みを研究しています。Frictional GamesのAmnesia: The Dark Descentが生み出した恐怖や、主観視点によって視界を制限する圧迫感、PTのような単純な通路を悪夢の舞台へ変える構成を取り込みました。その一方で、カプコンが1990年代から培ってきた迷宮のようなマップ設計を組み合わせ、シリーズらしい探索と戦闘を残しています。

Monster Hunter: Worldも同じ考え方で作られた作品として紹介されています。西洋で人気を集めていたオープンワールド形式を採用しながら、現代のオープンワールドにありがちな過剰な要素をそのまま持ち込むことはせず、あくまで「狩り」に焦点を合わせました。その結果、シリーズの基本を保ったまま間口を広げ、カプコンで最も売れた作品になったとされています。

原文筆者によれば、カプコンの強みは流行している要素を借りること自体ではありません。外部の作品がなぜ支持されたのかを見極め、その魅力を自社IPの性格に合わせて再構成する点にあります。本作も、過去の鬼武者をそのまま復活させるのではなく、現在のアクションゲームに求められる要素を選び取って設計されています。

Resident Evilではなく現代版God of War

鬼武者シリーズは、2001年のOnimusha: Warlordsから2006年のDawn of Dreamsまで、PS2時代に4作品が発売されました。その後はリマスターやスピンオフを除くと約20年にわたって新作が登場していません。初期作品は、固定カメラとプリレンダリングされた背景を使う構成で、これは初期のResident Evilとよく似た形式です。

とくにOnimusha: Warlordsは、ひとつの城を中心に扉を開け、謎を解き、回復アイテムを使いながら生き残るゲームでした。Resident Evilの共同制作者であるShinji Mikamiも開発に助言しており、シリーズの出発点にはサバイバルホラーの影響が色濃く残っています。シリーズが進むにつれてホラー要素は薄れていきましたが、鬼武者を2020年代に復活させるなら、Resident Evil 2のリメイクのように過去作を再構築し、侍と幻魔を組み合わせる方向も考えられました。

しかし、本作が目指したのはその形ではありません。原文筆者は、むしろSony Santa Monica Studioによる現代版God of Warへのカプコンなりの回答だと見ています。主人公の宮本武蔵は、京都を舞台に多数の能力を使いながら敵と戦い、道中では環境を利用した複雑な謎解きにも挑みます。狭い隙間を通り抜ける場面や、よく話す肉体を持たない助言者など、近年のアクションアドベンチャーを思わせる仕掛けも盛り込まれています。

戦闘だけでなく、作品全体のトーンも過去作から変化しています。武蔵は、Nathan Drakeを思わせる軽口を連発する人物として描かれ、表情豊かな顔の演技もコミカルな場面に使われます。顔のモデルには、黒澤明作品でも知られる俳優Toshiro Mifuneが用いられています。

初期の鬼武者にも、当時のゲーム作品にありがちな大げさで意図しない笑いはありました。これに対して本作では、カプコンがそのコミカルさを意識的な作風として押し出しています。英語音声では、武蔵や幻魔が奇妙に英国風の雰囲気を持つように演出されており、原文筆者はこれを偶然の違和感ではなく、狙って作られたユーモアだと分析しています。もちろん、シリーズの出発点にあった暗さや恐怖も残されていますが、本作にはプレイヤーを笑わせようとする明確な意図があるとのことです。

ボス戦に組み込まれたSekiroの緊張感

本作で最も大きく変わった部分は、剣戟アクションです。原文筆者は、過去の鬼武者にも楽しさはあったものの、剣術そのものには大きな深みがなかったと指摘しています。新たな副題にふさわしい作品にするには、戦闘の根本的な見直しが必要でした。そこで取り入れられたのが、FromSoftwareのSekiro: Shadows Die Twiceから学んだ仕組みです。

ただし、本作はソウルライクではありません。とくにボス戦では、敵の攻撃を受け流すパリィが重要な武器になります。相手の刀のリズムを読み、攻撃を正確に合わせて体勢を崩し、攻撃の機会を作ることが基本です。敵のスタミナを削ってから大きなダメージを与え、その後に再び間合いとリズムを組み立て直すという流れが、戦闘の中心になります。

攻撃を連打して体力を削り切ることはできません。敵から距離を取ればスタミナを回復されてしまうため、攻撃と防御のバランスが求められます。限られた回復手段、複数の段階に分かれた戦闘、目まぐるしく変化する攻防も加わり、敵ごとに異なる攻撃パターンを見極めて対応しなければなりません。派手な技を繰り返して押し切るのではなく、相手に応じて使う手段を選ぶ設計です。

一方で、ソウルライク作品に特徴的な要素は取り入れていません。篝火のような拠点、世界のリセット、経験値などの資源を失う仕組みは存在せず、通常の敵は比較的倒しやすいとされています。毒沼のような、プレイヤーを長時間苦しめる環境も登場しません。そのため、ボスだけが道中で大きな難所になる構成ではあるものの、FromSoftware作品のように全体が苛酷な体験になるわけではありません。

ボスに敗北して再挑戦する場合も、長い道のりを毎回やり直す必要はないとのことです。原文筆者は、何度目かの挑戦になってもボスまでの移動で余計に疲弊しない点が、難しい戦闘への苛立ちを抑えるうえで重要だと評価しています。Sekiroの緊張感を借りながら、鬼武者の遊びやすさを損なわないよう調整されているわけです。

鬼武者復活が示すカプコンの判断

カプコンは、外部の人気作から要素を取り入れる際、そのまま模倣するのではなく、自社作品に必要な部分だけを残してきました。Monster Hunter: Worldは広い環境を導入しながら、オープンワールド作品にありがちな水増しを避けました。Resident Evil 7はAmnesiaやPT、Alien: Isolationの影響を受けつつも、戦闘を完全に捨てず、プレイヤーに銃を持たせています。それがResident Evilらしさに必要だったためです。

本作でも、God of Warのような派手な近接戦闘、Sekiroのようなパリィを軸にしたボス戦、現代的な環境パズルや軽妙な会話を取り入れながら、シリーズを別のゲームへ変えてしまうことは避けています。通常の敵を過度に強くせず、ソウルライクの資源喪失システムを採用しなかったのも、その判断の一部です。サバイバルホラーの緊張感と、アクションアドベンチャーの爽快さを同時に成立させようとしています。

本作がResident EvilやMonster Hunterの復活作と同規模の商業的成功を収めるかは、現時点ではまだ分かりません。ただ、原文筆者は、長く眠っていた侍ゲームを現代向けに再設計するというカプコンの手法が、今回はうまく機能していると見ています。プレリリースデモは短期間で多くのファンを獲得し、批評家からもほぼ一様に高く評価されているとのことです。鬼武者が本当に復活を果たせるかは今後の展開にかかっていますが、少なくとも本作は、過去作の再利用ではなく、シリーズの新しい立ち位置を探るための復活作になっています。