『バイオハザード』は当初Sweet Homeのリメイクとして企画されていました。
2026年10月05日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
カプコンの三上真司氏らが『バイオハザード』の開発に費やした期間は、合計27カ月です。その間、企画は何度も見直されました。1996年のPS1版発売から30年がたった今も語り継がれる、開発をめぐる7つのエピソードを紹介します。
7. 3D空間を目指すも、背景は2Dに
開発初期の『バイオハザード』は、当時盛り上がりを見せていた3Dゲーム市場を意識し、3D空間と高精細な3Dキャラクターを使う構想でした。実際に動かすことはできたものの、処理が重く、快適に遊べる状態ではありませんでした。
そこでチームは、2Dの事前描画背景を使う方針に変更しました。これにより、より細かな背景表現と動作の軽さを両立できました。ハードの制約に合わせたこの判断は、『バイオハザード』シリーズやサバイバルホラーを特徴づける要素になりました。
6. 実写映像の撮影は難航
三上氏は、オープニングとエンディングに実写映像を取り入れ、当時のハリウッド大作のような雰囲気を目指しました。しかし、撮影は苦労の連続でした。
出演者には、当時日本に住んでいたアメリカ人が起用されました。演技経験はほとんど重視されず、撮影に参加できて、費用もあまりかからない人が選ばれたといいます。この映像は、その後10年間に発売された各バージョンの土台になりました。一方、国によっては映像が大幅に規制されたり、白黒に加工されたりしました。
ジル役の女優は「Inezh」という名前だけが知られており、撮影当時は19歳でした。撮影中に蚊に刺され、つらい思いをしたそうです。映像は味わい深いほど大げさですが、完成までの道のりは険しく、『バイオハザード』はESRBの「Mature」指定を受けた初期のゲームの1つとなりました。
5. 子どものゾンビは登場しなかった
『バイオハザード』には血や暴力の生々しい描写が数多くありますが、三上氏は敵のデザインに一線を引いていました。チームはプレイヤーを襲う恐ろしい敵を次々と考案し、ハンターや、ゆっくり歩くおなじみのゾンビはシリーズの定番になりました。
さらにゾンビの種類を増やす案もあり、その中には幼い子どもだとはっきり分かるゾンビも含まれていました。三上氏はすぐにこの案を退け、「このゲームでも刺激が強すぎる」と判断しました。この判断は、制作中に下された決定の中でも特に優れたものの1つといえるでしょう。
4. ドアの演出でロード時間を隠した
PS1には優れた機能がある一方、部屋を移動する際の読み込みには時間がかかりました。ハリウッド映画のような勢いを保ち、ゲームへの没入感を損なわないため、開発チームはロード中の表示を見せずに済む方法を考えました。
そこで取り入れたのが、ドアが開く3Dアニメーションです。部屋から部屋へ移る間にこの演出を挟むことで、読み込み時間を隠しました。プレイを中断させず、スペンサー邸を実在する場所のように感じさせる工夫でもありました。
3. ストーリーは大きく書き換えられた
三上氏の初期脚本では、ジル・モリソン、Beam Murcurio、Gelzer、Deweyの4人が主人公でした。物語の終盤で、彼らはサイボーグの超兵士だったと明かされる予定でした。
カプコンは三上氏を信頼していましたが、脚本には納得していませんでした。そこで岩男潤子氏と嵯峨康之氏が脚本の変更に加わり、内容を大きく練り直しました。ジル・モリソンはジル・バレンタインとなり、Beam、Gelzer、Deweyは大部分が削除されました。BeamとGelzerの要素は、クリス・レッドフィールドとバリー・バートンに引き継がれました。
また、狂科学者を追う物語は、アルバート・ウェスカー率いる特殊部隊の隊員たちを中心とする形に改められました。現在の『バイオハザード』を象徴する要素の多くは、脚本の執筆が進んでから加わったものです。
2. 始まりはSweet Homeのリメイク企画
開発初期、カプコンは1989年に日本で発売されたホラーRPG、Sweet Homeのリメイクとして『バイオハザード』を作ろうとしていました。Sweet Homeは、同名の実写映画と連動したメディアミックス作品の一部でした。
カプコンはSweet Homeの権利を失い、三上氏らに独自の作品を作る余地を与えました。ただし、Sweet Homeの要素をできるだけ取り入れるよう求めていました。両作を比べると、似たパズルの構成、外界から隔絶された屋敷、限られた資源、迫り来る恐怖といった共通点が見て取れます。権利を更新できなかったことがなければ、『バイオハザード』はPS1の一風変わった単発作品になっていたかもしれません。
1. 実写出演者の素性は今も謎が多い
オープニングとエンディングの実写映像では、役を引き受けてくれる出演者が次々と起用されました。経歴はほとんど問われず、役に合う人を集めることが優先されました。小規模で人目につきにくい撮影だったこともあり、若い出演者をめぐってさまざまな謎が残りました。
ジル役の女優は「Inezh」とだけ紹介され、本名や経歴は長年明かされませんでした。彼女を探そうとする人も現れましたが、素性が一部判明した後も、本人は表舞台に出ることを避けています。その謎は、長くゲーム界の都市伝説として語られてきました。
ほかの出演者についても、本名が分からない人が多くいます。情報の多くは噂や誤報にとどまっていますが、いまだ正体が判明していない出演者がいることも、30年前のこの作品が残した奇妙な歴史の一部です。