『End of Abyss』レビュー:複雑な地下施設を切り開く探索が大きな達成感を生みます
2026年09月30日 | #レビュー | DualShockers
『End of Abyss』は、探索による成長と緊張感のある戦闘が魅力のメトロイドヴァニアです。道を切り開くために手間をかけるからこそ、新たなルートや強化アイテムを見つけたときの達成感が際立ちます。筆者は短めの冒険を最後までプレイし、その出来の良さに驚かされました。移動や進行には強い苛立ちを覚える設計もありますが、それを踏まえても、ジャンルのファンに勧められる作品です。
不気味な地下施設と、語られなさすぎる物語
本作は、Tarsier Studiosを離れた開発者たちが設立したSection 9 Interactiveの第1作です。Resident EvilやLittle Nightmaresを思わせる恐怖表現を、メトロイドヴァニアの探索に組み込んでいます。
主人公は戦闘技術者のCel。謎めいた地下施設の深部を調査する任務に就き、行く手を阻む異形の怪物と戦いながら、施設や奥底からささやきかけてくる奇妙な機械の真相を探ります。
ただし、物語を詳しく語ることにはあまり力を入れていません。会話の少ない短いカットシーンと、周囲の風景や配置によって謎を示す構成です。開発者の多くがLittle Nightmaresの最初の2作品に携わっていたこともあり、あのシリーズと同様に、環境そのものから事情を読み取る語り口になっています。
筆者はこの見せ方を気に入り、結末にも興味を持ちました。一方で、説明があまりに曖昧なことには不満も残っています。拾えるメモは施設の背景を補足するものの、主に先へ進むための手掛かりとして使われます。数少ないNPCも、現在の目的を繰り返すことが多く、知りたい情報を十分には語ってくれません。
施設の景観は見事で、世界には濃密な雰囲気があります。それだけに、もっと背景を知る機会が欲しかったところです。物語がここまで奥に引っ込んでしまうと、その存在自体を忘れかねません。
行き止まりを突破する喜びと、鍵の使い方
本作は、メトロイドヴァニアの仕組みを特に強く押し出しています。届かないはしご、まだ開けられない扉、特定の道具が必要な壁など、進行や探索を止める障害が至る所にあります。その多さに圧倒され、苛立つ場面もありました。
それでも、必要な道具を手に入れて道が開けたときの喜びは大きなものです。たとえば、壊せそうなのに壊せなかったひび割れた壁は、C4に相当するExplosive Chargeを入手すると突破できるようになります。その先にはスーツや体力の強化、武器、重要な鍵などが待っています。
施錠された扉も非常に多いのですが、鍵の扱いには工夫があります。1本の鍵で複数の扉を開けられるため、入手した瞬間にいくつもの探索先が生まれます。キャラクターの強化や移動のしやすさにつながる扉をまとめて開放できるので、鍵を見つけること自体が大きな報酬になっています。
複雑なマップと移動の負担が探索を長引かせます
優れたマップ構成は本作の魅力ですが、その広さと複雑さは負担にもなります。一般的なファストトラベルがないため、道に迷ったり進路を見失ったりすると、同じエリアを何時間も行き来することになりかねません。
エリア間を移動する列車はありますが、利用できる場所は各エリアに1か所だけです。そこへたどり着くまでにも、入り組んだ広いマップを移動する必要があります。
筆者は、目的地点へ向かおうとしても施錠された扉や通れない道に阻まれ、3時間も進路を探したことがありました。ようやく見つけた小さな通気口を通り抜けることで、先へ進めたといいます。プレイヤー自身の判断に任せる姿勢は好ましいものの、もう少し手掛かりがあってもよかったと感じさせます。
この問題は、周囲をスキャンして重要なアイテムや場所、扉、レバーなどを記録する仕組みでも表れます。部屋でスキャンを忘れると、通路を開くレバーがあるのに行き止まりだと思い込み、その部屋を探索候補から外してしまう可能性があります。結果として、長時間の往復につながります。
筆者は、スキャンできる対象がある部屋ではスキャナーを点滅させたり、音や表示で使用を促したりする仕組みがあれば、この問題を減らせると考えています。スキャナーの重要性を保ちながら、進行に必要なものの見落としを防げるためです。
それでも、探索の喜びは苛立ちを上回っています。苦労して開けた扉の先で強化アイテムを手に入れたり、ようやく目的地への道を見つけたりしたときの満足感は格別です。誘導の少なさには改善の余地がありますが、自力で解決できると信頼してくれる設計には魅力があります。
正確な射撃が生む、追い詰められる恐怖
戦闘は見下ろし視点のツインスティック方式です。基本武器のピストルは弾数が無限で、右スティックで敵の方向を狙って撃ちます。操作の説明だけなら単純ですが、敵はふらついたり、急に向きを変えたり、突然飛びかかってきたりするため、狙い続けるのは簡単ではありません。この不規則な動きや戦闘の感触は、Resident Evilを思わせます。
通常の敵には体力ゲージがなく、正確に当て続けても、弾倉1つ分を撃ち切るまで倒れない場合があります。弾数に制限がなくても、外した分だけ敵に接近を許すため、1発ずつ確実に当てることが大切です。射撃が乱れると、複数の敵に囲まれてしまいます。
手強い通常敵の残り体力が見えないことは、戦闘の緊張感を高めています。筆者は狭い空間で押し寄せる敵にピストルを撃ち込みながら、必死に生き残ろうとする場面で、心臓が飛び出しそうなほどの恐怖を感じました。個々の戦闘に歯応えがあるからこそ、切り抜けたときの満足感も大きくなります。
探索を重ねると、戦闘は徐々に楽になります。スーツに効果を付けるMod、銃の威力強化、休息時に補充される回復キットを1つ増やす強化アイテムなどを入手できます。ピストルの溜め撃ちのような特殊攻撃を加える武器用Modもあります。強化の効果は大きく、生き残るためにも探索が重要です。
多くのボスは好印象ですが、最初の戦いには強い不満
ボス戦の多くは、手強さと楽しさを両立しています。攻撃パターンを覚え、回避を続けながら反撃の隙を探す必要があります。画面を埋める飛び道具もあり、立ち止まって撃ち続けるだけでは、ほとんど通用しません。
ただし、すべてのボスが良いわけではありません。特に最初のボスについて、筆者はメトロイドヴァニアで経験した中でも屈指の苦手な戦いだと評価しています。ボスに加えて通常敵が次々と出現し、両方へ注意を振り分けなければならないためです。
筆者はもともとこの形式を好んでおらず、照準や操作にまだ慣れていない最初のボス戦で採用されていることに、強い不満を感じました。ボス戦の導入として機能するよりも、場違いな戦闘に感じられます。幸い、その後のボス戦は良くなっていくため、この不満だけで全体の評価が大きく下がることはありませんでした。
手間をかけて探索する価値のある1本
『End of Abyss』は、2026年に登場したメトロイドヴァニアの中でも優れた作品の1つです。複雑に組み上げられたマップと、探索が確かな成長につながる仕組みがプレイヤーを引き込みます。恐ろしい怪物との戦闘も、操作を習得していく楽しさがあります。
一方で、鍵や特定の道具を頻繁に要求する構成に、入り組んだ地形とファストトラベルの乏しさが重なり、進行に多大な時間がかかることがあります。物語が控えめすぎる点や、一部のボスにも不満が残ります。
それでも、自分で道を探し、障害を越え、キャラクターを強くしていく達成感は十分に魅力的です。移動や探索で足止めされることを踏まえても、ジャンルのファンにはプレイする価値があります。