2026年8月20日に発売の『Mexican Ninja』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「72 点」で「賛否」という評価になっています。
2026年10月19日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは14件、最高は80点、最低は40点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
異文化が自然に息づく街並みと自キャラを覆う画面の煩雑さ

ソンブレロと刀が並ぶネオン街のネオ・トーキョーで、ナルクザスのチンピラの群れに飛び込んで長いコンボをつなぎます。ところが狭く入り組んだステージに進むと、2.5Dカメラのせいで敵や背景に自キャラがすっかり隠れてしまい、見えない位置からの攻撃を食らってしまいます。味わい深い世界観や爽快な乱闘がある一方で、自キャラが埋もれてしまう画面の煩雑さも抱えており、この落差こそが『Mexican Ninja』の特徴を端的に表しています。
舞台設定は、本作においてもっとも際立った強みです。アメコミ調のアートのもとで日本とメキシコのストリートカルチャーが融合し、暴力と犯罪にまみれながらも不思議と居心地のよい街が描き出されています。ネオンサインや刀、霊的なモチーフと、ソンブレロやラテンの調べ、屋台料理が同じ通りに違和感なく同居しています。「Sushi & Nachoはいかが?」と文字にするだけなら水と油に見えますが、ネオ・トーキョーの街路では自然に溶け合い、混沌とした空気を保ち続けています。路上演奏のすぐ先で樽が爆発し敵が宙を舞う風景には、単なる格闘アクションの飾りにとどまらない、一貫した世界観の作り込みが感じられます。
ただ、街の魅力がそのままストーリーの深みにつながっているわけではありません。日本がメキシコに侵攻し、麻薬組織とヤクザが融合して支配層「ナルクザス」を生み出した架空史は、重層的なドラマを描くのに十分な下地でした。しかし実際のネオ・トーキョーは、ジョークやパロディ、ボス戦を並べるための表面的な舞台にとどまっています。戦場としての見栄えは抜群なものの、この世界を深く掘り下げて理解したくなるような動機は、ほとんど提示されないまま進んでいきます。
メキシコ文化への知識で評価が分かれる過激なユーモア

お下劣で不謹慎なコメディが好きな方なら、作中のユーモアは大いに楽しめる要素です。オタクカルチャーのパロディや突拍子もない文化の混ぜ合わせ、スペイン語と日本語が入り乱れる奔放な言葉遊びが随所に詰め込まれています。メキシコのDr. SimiのパロディであるDr. Misiと戦えるほか、Don RamónやKratos、Guillermo del Totoroへのオマージュとなる衣装も手に入ります。ジョークがうまくかみ合った場面のテキストは痛快で、本作の大きな強みになっています。
ただし、どれほど笑えるかはメキシコ文化やスペイン語のスラングにどれだけ通じているかに大きく左右されます。予備知識があれば細部まで楽しめますが、そうでなければ何かのネタだと分かっても笑いどころを掴めない場面が少なくありません。とはいえ細かいパロディが伝わらなくても、陽気でテンポのよいノリがゲーム全体の勢いを支えてくれます。
過激な不謹慎ネタに耐性がない場合は、ある程度の空振りを覚悟しておく必要があります。勢いに任せて度を越してしまい、笑いとして着地できていない場面も見受けられます。わかりやすい例が終盤で手に入るアビリティ「9/12」で、世界貿易センターへのテロを題材にしているものの、メキシコや日本の要素がまるで見当たりません。攻めた脚本の代償として許容できるプレイヤーもいれば、一気に熱が冷めてしまうプレイヤーもいるはずです。
群衆をなぎ倒す爽快な乱闘とやや大味な操作感

密集した敵の群れにコンボを叩き込むのが好きなら、『Mexican Ninja』はすぐにその爽快感を味あわせてくれます。序盤の技は弱攻撃や強攻撃のchingadazo、ジャンプ、ダッシュ、パリィ程度と控えめですが、次第に打ち上げや突進、空中追撃などを組み合わせたお手玉コンボへと発展していきます。操作レスポンスが良好で攻撃をつなぎやすく、敵の群れに飛び込んで長大なコンボを組み立てる感触は純粋に気持ちのよいものです。コンボメーターは被弾するまで加算されるため、攻撃の手を休めずに立ち回るモチベーションになります。2枠用意されたメキシカン忍術はクールダウン制の範囲攻撃で、竜巻のような回転撃やナイフの雨、緑色の巨大なおならで敵を毒状態にする技まで揃っています。自販機を壊して回復アイテムのSakilaを拾ったり、屋台を押して敵にぶつけたりするギミックも、路上での戦闘を賑やかに盛り上げてくれます。
ただし、攻撃時の手応えにはムラもあります。ヒット時の重みが物足りない場面があるほか、連撃の最中に敵が急に態勢を立て直して反撃してきたり、ボスの攻撃予兆が極端に短かったりします。爽快感を削ぐ場面があるのは惜しいところですが、乱闘そのものの楽しさを損なうほどではありません。
一方で、精密でキビキビとした立ち回りを重視するプレイヤーだと、操作感に少し不満を覚えるかもしれません。ダッシュの挙動がややふわついており、狙った敵への接近を外してしまうことがあります。幸い敵が自キャラの周囲に密集しやすく、適当に振った攻撃でも巻き込めるため、狙いが多少ずれても戦闘自体は成立します。敵の群れを豪快になぎ倒す感触を求めるなら、この乱闘アクションだけでも遊ぶ価値があります。
慎重な立ち回りを促しつつ育成で大味化する戦闘バランス

ステージを進めるにつれて、戦闘にはより緻密な立ち回りが求められるようになります。序盤は敵集団への闇雲な突撃でも押し通せますが、後半になると様子をうかがい、攻撃をかわして隙を突くリズムを保つことが報われるようになり、それができなければ多くのボスで手詰まりになります。遠距離攻撃や盾持ち、手強い幹部格などへの対処順を考える必要があり、配置された爆発樽などのギミックも不用意な攻撃を仕掛けると自分に跳ね返ってきます。丁寧な立ち回りを意識するほど、戦闘の面白さは増していきます。
ただ、持続する手応えある難易度を期待していると、見え方は変わってきます。パリィや追加コンボ、必殺技などのアンロックは魅力的なものの、弱攻撃の連打に時折強攻撃を混ぜる戦法が最適解になりがちで、覚えた技の多くが死に技になってしまいます。一般のチンピラは自キャラの移動を追いきれないため、敵の位置を丁寧に誘導する必要もありません。さらに永続強化を進めると、体力やダメージ、メキシカン忍術の威力が跳ね上がり、終盤の敵すら序盤並みにあっさり倒せてしまいます。とりわけ移動距離の長い二段ダッシュを解放すると、左右に往復するだけで敵に触れられることなく攻撃を潰せてしまいます。
殴る楽しさそのものよりも、常に的確な判断を求められる歯ごたえを重視するかどうかで評価が変わる作りです。プレイヤーが何を求めるか、そして永続強化をどこまで進めるかによって印象は大きく左右されます。
奇抜な外見とパターン構築の楽しさの裏にあるボスの大味さ

ボスの攻撃パターンを見切る楽しさを求めるなら、ボス戦は見どころの一つです。通常の敵とは一線を画す固有パターンを持ち、複数の形態へと移行するボスも存在します。外見も世界観に違わず奇抜で、裂熊からテクブロスの2人組が操縦する巨大メカまで登場します。ボスの総数自体は少なめですが、工夫を凝らした激しい戦いがその物足りなさを補っています。
ただし、それまでに培った腕前のすべてを試されるような緊迫感を望むと、拍子抜けする場面もあります。一部のボスは洗練された強敵というよりも、通常の雑魚敵をそのまま巨大化して攻撃力と体力を引き上げただけのように感じられます。回避をほとんど意識させない攻撃もあり、たとえばテクブロスのマシンが撃ち出すロケットは画面半分ほどしか届かないため、立ち止まったままでも当たりません。これは特定の戦闘での一例ですが、一部のボス戦が大味になってしまっている実態を物語っています。
激しい乱戦の中で自キャラを見失うカメラと視認性の問題
本作でもっとも気になる難点は、乱戦時に戦況を把握しづらい点です。2.5Dカメラの角度によって敵や地形オブジェクトが自キャラを完全に覆い隠してしまい、死角からの攻撃を被弾することがあります。狭い通路に物が密集する後半のステージでは、木箱やバリケード、飛び道具、派手な攻撃エフェクトが幾重にも重なって視界がさらに悪化します。キャラクターのサイズが小さくトラップ類が背景に埋もれがちなことも重なり、エフェクト自体の見た目は悪くないものの、手遅れになるまで何が起きているか掴めない場面が生じます。
どこから飛んできたか分からない攻撃を避けようとした瞬間に、自キャラが混乱に埋もれてしまう現象は、タイミング重視の戦闘において大きなストレスになります。とりわけ狭い部屋で巨大な敵と戦うボス戦ではカメラの引きが足りず、この問題が顕著に現れます。さらに敵の連撃には抜け出せないものが多く、長時間のコンボで回避を封じられたり、起き上がりに即座に攻撃を重ねられたりします。こうなると被弾の納得感が薄れ、理不尽なダメージとして受け取られかねません。
本作の長所と短所は表裏一体です。群衆に飛び込む爽快感こそが乱闘の醍醐味であると同時に、その密集こそがもっとも画面を見づらくさせる要因にもなっています。
周回を重ねるにつれて薄れていくローグライクとしての新鮮味

ローグライクとして長く遊ぶ上での課題は、周回を重ねるにつれて展開が代わり映えしなくなる点です。敵の種類ごとに対処法は分かれているものの、実態は見た目やステータスを少し変えた程度に近く、同じような通路で戦い続けるうちに違いもぼやけていきます。
ステージ構成も一本道の2.5D横スクロールが中心で、敵も画面端から判で押したように現れます。アスレチック的な場面転換で見下ろし視点に切り替わるアクセントはあるものの、全体として周回ごとに得られる新鮮味は控えめです。
合間のルート選択や隠し要素、サイドミッションが多少の気晴らしにはなるものの、問題そのものの解決には至りません。ステージ間では地下鉄の駅から報酬を確認して進行先を選べるほか、脇道や会話の分岐も用意されています。しかし主要なボス戦の順番は常に固定されているため、どの周回でも結局は同じ戦いに帰着します。1回の戦闘は爽快であっても、何十回も同じルートをなぞるうちに初期の新鮮な感動は薄れていきます。
魅力的なコスチュームとテンポの鈍さが目立つキャラクター育成
キャラクターの育成要素も、周回の単調さを完全に補うには至っていません。各回の開始時に選べるアクティブアビリティは毎回同じ3種類に限られており、後から付け替えられるとはいえ、序盤のステージは前回と代わり映えのしない構成で戦うことになります。その結果、次の周回を始める際のワクワク感が削がれがちです。
その中でコスチューム要素は出色の出来栄えです。単なる見た目の変更にとどまらず、周回前に選ぶことで所持金や体力の増加、移動速度の上昇、炎属性の強化といったパッシブ効果が得られます。好みのプレイスタイルに合わせた戦略的な選択肢として機能しており、サイドクエストを通じて手に入る気の利いたパロディ衣装の数々は集めるだけでも楽しめます。
その他の要素をどう評価するかは、プレイヤーのモチベーション次第です。アンロック要素を順序よく埋めていくこと自体に快感を覚えるタイプなら、周回ごとに新しい強化やコンボ、アビリティが解放されていくサイクルを楽しめます。一方でプレイスタイルを劇的に変えるビルドを期待していると、メキシカン忍術やDeath Charms、各種スキルは有用なものの、定番の構成を強化し続ける形に落ち着きがちです。
育成のテンポ自体もややスローです。スキルツリーの解放コストが高く、30分ほどプレイしても強化が1つか2つしか進まないうえに、新コンボに必要な経験値はお金よりもゆっくりとしか貯まりません。強化の恩恵を実感できるのは終盤になってからで、フル強化した自キャラが敵の間を縦横無尽に飛び移りながら長大なコンボを叩き込めるようになって、ようやく育成の苦労が報われます。
協力プレイの不在や進行管理の不便さなど細部に残る粗さ
一部の仕様不足も気になる点です。ベルトスクロールアクションとして友人との協力プレイにうってつけの構造でありながら、マルチプレイには非対応となっています。サイドクエストの進行状況を確認する画面が用意されていないため、受注状況や目的地の把握には手元のメモが必要になるほど不便です。また初回クリア時に入手したお金が消失する不具合も確認されており、発生頻度やプラットフォームの詳細は不明なものの、周回を前提とする作品としては見過ごせない痛手です。
独特な文化融合と乱闘の快感を評価軸で選びたい意欲作
際立つ個性と直感的な乱闘の気持ちよさを求めるなら、『Mexican Ninja』は十分にプレイする価値があります。ネオ・トーキョーはメキシコと日本のストリートカルチャーを色鮮やかにまとめ上げており、敵の群れに突撃して長大なコンボを叩き込む爽快感はよくできています。アメコミ調の鮮やかな世界観に惹かれ、不謹慎なブラックユーモアを笑い飛ばせる方や、周回ごとの変化よりも手軽な乱闘の快感を味わいたい方には、自信を持っておすすめできる一本です。
反面、ローグライクとしての周回ごとの変化の大きさや、視認性の高いスッキリとした画面構成を期待しているなら、手放しでは勧められません。使い回しの目立つ敵や固定化されたルート、自キャラを覆い隠す画面の煩雑さは周回プレイの重荷になり、育成要素もそれを補い切れていません。精密な移動操作や劇的なビルド変化、テンポのよい成長、強化後も持続する手応えある戦闘を望むなら注意が必要です。また協力プレイが必須な場合も見送るのが無難です。
各メディアの評価も大きく分かれました。文化色の強いユーモアが鋭いコメディとして機能しているか、単に過激さを狙っただけのものかで見解が割れています。戦闘面でも、的確な回避とタイミングが報われる調整なのか、単なる弱攻撃の連打でゴリ押しできてしまうのか、操作性が滑らかなのかふわついているのかで意見が二分されました。ボス戦についても同様で、工夫に富んだ見せ場と捉えるメディアもあれば、ただ雑魚敵を巨大化させただけの退屈な存在と見なすメディアもありました。ネオ・トーキョーの街は、その唯一無二の個性と乱闘の楽しさを味わうために一度訪れる価値があります。ただ、何度も訪れたくなる魅力が続くかどうかは、繰り返されるステージや代わり映えしない敵、そして視界を遮る画面の煩雑さをどこまで許容できるかにかかっています。







製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル名 | Mexican Ninja |
| 原題名 | Mexican Ninja |
| ジャンル | アクション, インディー, ベルトスクロールアクション |
| プラットフォーム | PC(Steam), PlayStation 5, PlayStation 4, Xbox Series X|S, Xbox One |
| 発売日 | 2026年8月20日 |
| 価格 | Steam ¥1,502 / Xbox ¥2,000 |
| 体験版 | あり |
| 公式サイト | https://discord.gg/ZfX7EEXeRb |
| 開発元 | Madbricks |
| 発売元 | Amber Studio |










