ダウンロードコンテンツである『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国:名誉の男』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「74 点」で「賛否」という評価になっています。
2026年10月19日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは14件、最高は85点、最低は65点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
盛り上がり始めたところで終わってしまう引き締まったドラマ

『名誉の男』は、エンツォがトリージ・ファミリーへ忠誠を誓ってから数か月が経った1905年の冬を舞台に、新たな2つのチャプターを追加します。幕開けのシーンから往年のギャング映画のような空気が漂っており、出所したばかりで古い貸しを回収しようとするエンニオ・サリエリの手助けへ送り出されるエンツォの仕事は、当初こそ単純なものに見えます。このコンパクトな構成は物語に良い緊張感をもたらしており、任務が成功に向かっているかに見えた矢先に、連続するどんでん返しが事前の予想をすべて覆してくれます。尺は短いものの、薄っぺらさを感じさせない濃密な仕上がりです。
惜しいのはその幕引きです。物語がいよいよ面白くなってきたところで冒険が終わってしまうため、残るのは不満というよりも、さらに壮大な何かの序章を遊ばされたようなもどかしさです。ストーリーの組み立てが巧みなだけに、全体的な分量の少なさがこの拡張コンテンツのジレンマになっています。
プレイ時間の受け止め方はプレイスタイルで分かれます。2つのストーリーチャプターを駆け足で進めれば約2時間で終わる一方、じっくり探索しながら進めれば約5時間まで延びます。ただ、探索を重ねても結末の唐突さは拭えず、訪れることのない続きを待たされているような感覚が残ります。約10ユーロという価格設定は得られる内容に対して妥当に思えますが、ボリュームのある新キャンペーンを期待していると、記憶に残るのは短さばかりになってしまいます。
若きエンニオ・サリエリの描写がエンツォの物語に深みを与える

今作の本当の目玉は、初代『マフィア』でドンになる何年も前の、若きエンニオ・サリエリの姿です。脚本は彼の狡猾な本性や取り巻くマフィアの過酷な生き方を掘り下げており、それがエンツォの物語にさらなる深みをもたらしています。エンニオ・サリエリの存在を通して、裏社会へ半ば強制的に足を踏み入れることになったエンツォの感情も鮮明に浮かび上がります。まだファミリーに入ったばかりで命令に従うだけのエンツォに対し、エンニオ・サリエリは常に何手も先を読んで行動しており、この組み合わせが鮮やかな対比を生んでいます。物語自体は速いテンポで進むものの、野心と抜け目のなさを漂わせる興味深い人物として彼を描くための時間はしっかりと確保されています。
会話や仕事の進め方、危険な人物への対処を通じてシリーズおなじみの人物が形作られていく過程を楽しみたいなら、エンニオ・サリエリはこの幕間劇に確かな見応えを与えてくれます。一方で、単独エピソードとしての徹底的な深掘りを期待すると、描写が途中で止まっている印象を受けるかもしれません。エンニオ・サリエリは自身の利益にしか関心がなく、口先の巧さで立ち回る男のままで描かれるため、人物像がやや平面的に見えてしまう側面もあります。背景の追加によってキャラクターの魅力は増しているものの、彼がいかにして後のドンになったのかを丹念に解き明かす人物研究を求めるプレイヤーには、物足りなく映るはずです。
本編の仲間たちとの再会が物語の余韻をいっそう引き立てる
本編の主要な人物がほぼ総登場するため、この拡張コンテンツは『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』の壮大な物語へ違和感なく溶け込んでいます。周回プレイの途中に組み込んで遊べば、本編との境目はほとんど感じられません。エンツォやチェーザレ、ドン・トリージが揃って再登場し、ミッション構成も本編の心地よいテンポをしっかり維持しています。
もっとも長い時間を共にする仲間であるチェーザレとエンツォの絆が改めて描かれ、エンツォを取り巻く人間関係がさらに掘り下げられたことで、本編の結末はいっそう切なく胸に迫るものになりました。この拡張コンテンツがもたらす感情的な充足感の多くは、こうした形で本編のストーリーへ還元されています。
その一方で、Isabellaの扱いはやや中途半端です。エンツォとIsabellaの関係性を目当てに戻ってきたプレイヤーにとっては、真新しい要素はあまり期待できません。IsabellaやLucaはほとんど不在に感じられる場面もあり、ドン・トリージも冒頭の祭りを終えると背景へ退いてしまいます。わずかな出番で十分だと割り切れるなら、2人の関係を深めて背景を補ってくれるサイドミッションは、歓迎すべき彩りを添えてくれます。
美しいシチリアの街並みと映画的な演出は今作でも健在

映像演出のクオリティは、引き続き本作における最大の強みのひとつです。カットシーンは細部まで丁寧に作り込まれており、役者陣の確かな演技と映画的なモーションキャプチャーが、クラシックなギャング映画の雰囲気をしっかりと支えています。シチリア語による迫真のボイスアクトも健在で、その土地特有の空気感を存分に盛り上げてくれます。
目的地への移動そのものも大きな魅力です。車の運転シーンの多くはスキップできるものの、飛ばしてしまうとシチリアの美しい田園風景やSan Celesteの石畳の街並みを味わえなくなってしまいます。特に際立っているのは最終ミッションで、そのロケーションはこの拡張コンテンツ最大のビジュアル面での見どころであり、シリーズ屈指のデザインだと感じられます。
エンニオ・サリエリの依頼がフリーライドに確かな目的を与える

今作で最も目に見えて改善された要素は、本編キャンペーンの外側にあります。クリア後にただ歩き回るだけだったフリーライドは、港を拠点とするエンニオ・サリエリからミッションやチャレンジを受注できる場へと生まれ変わりました。さらに、ヴァッレ・ドラータ各地には指名手配ポスターの追跡やスタントジャンプ、敵の硫黄トラックの破壊といったおなじみのアクティビティも散りばめられています。決して目新しい遊びではありませんが、これまでのマップに足りなかった要素が補われ、寄り道を楽しむための明確な動機ができました。
用意された依頼の内容自体は、隠された物資の回収や高級車の確保、壊れやすい荷物を積んだトラックの強奪など、いたってシンプルです。これらを退屈にさせないのが状況設定の巧みさで、すべての依頼が「渡米資金を集める」というエンニオ・サリエリの事情に紐づいているため、場当たり的な作業感を抱かせません。フリーライドが本編の物語から切り離されず、新しいストーリー展開としっかり連動しています。
もっとも、その工夫にも限界はあります。同じ形式のアクティビティを何件かこなしていると、次第に単調さが目立ち始めます。マップを気ままに探索するのではなく、消化すべきタスク一覧として巡るプレイスタイルなら、なおさら退屈に感じるかもしれません。とはいえ大半は任意のアクティビティなので、作業の繰り返しが致命的な欠点になる心配はありません。ストーリーだけでも約10ドルの価格に見合う手応えがあり、フリーライドは嬉しいボーナスコンテンツとして機能しています。
本編そのままの戦闘システムは激しいアクションシーンで輝く
ゲームプレイの感触については、『名誉の男』は本編そのものです。遮蔽物に身を隠すカバーシューティングや銃撃戦を伴うカーチェイス、豊富なスクリプト演出で構成されており、ミッションは潜入、銃撃、運転のどれかに収まります。新たなメカニクスへの挑戦は見られないため、従来の定型を刷新したり広げたりする試みを期待していた人には、最大の物足りなさに感じられるはずです。
それでも、息つく暇なく場面が展開するシーンでは、慣れ親しんだシステムがしっかりと見せ場を作ってくれます。走行中の荷台からダイナマイトを投げて追っ手を蹴散らす場面や、第2部ラストのチェイスシーンはその好例です。おなじみの要素をテンポよく凝縮して途切れのないスリルへ昇華させており、ここにこそ今作の真骨頂があります。アクションのボリューム配分も絶妙で、冗長さを感じることも急ぎ足に思えることもありません。
大きな変化がないため、『名誉の男』は本編に不満を感じていたプレイヤーを惹きつけるというより、復帰したファンに『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』の魅力を再確認させる内容に落ち着いています。それ自体は作品を否定する理由にはならないものの、ターゲットとなる読者層はかなり明確に絞られます。
ステルスで攻略する余地はあるもののミッションの制約も目立つ
正面からの銃撃戦を避ける手段としてステルスも用意されていますが、その攻略の自由度は見た目ほど広くありません。多くの戦闘では、銃撃で正面突破するか、絞め技やナイフのテイクダウンで静かに排除するかを選べますし、フリーライドの依頼には本編以上に自由度が高いものもあります。しかし、慎重に隠密行動を重ねた末に目標が強制変更され、結局は武器を抜いて敵の全滅を求められる展開も少なくありません。隠密ルートでじっくり攻略したい人には遊べる余地が残されているものの、システムが常にその選択を尊重してくれるわけではない点には注意が必要です。
また、ステルスパートでは敵AIの粗さも目につきます。エンツォがすぐ目の前を通り過ぎても見張りが気づかない場面が散見されます。巡回ルートを把握してミスを取り返せる状況であれば潜入も心地よい緊張感を生みますが、一度の見つかりで即ゲームオーバーになるパートでは、戦術的な難しさというより理不尽な制約のように感じられてしまいます。
なお、本編にあったナイフファイトは完全に廃止されました。この戦闘システムを評価の分かれる要素だと捉えていたプレイヤーにとっては妥当な整理ですが、本編の欠かせない醍醐味として楽しんでいた人なら、寂しさを覚えるかもしれません。
ハードウェアごとの性能差が大きく環境によって快適さが分かれる
動作環境によるパフォーマンスの差も気になるところです。PC環境のネイティブ解像度では約40fpsにとどまり、グラフィック設定を下げてもフレームレートの落ち込みが確認されました。安定して60fpsを維持するには、解像度自体の引き下げを迫られます。また通常版のPS5でも、本編の発売から1年が経過した現在でもなおフレームレートの低下が散見されます。すべてのプラットフォームで深刻なわけではありませんが、動作に問題のない環境でプレイしてこそ、目的の増えたオープンワールドと相まってシチリアの美しい情景に心ゆくまで浸ることができます。
本編の世界観を掘り下げる一方で短さと進化の乏しさが惜しまれる
総合すると、『名誉の男』は条件付きでおすすめできる追加コンテンツです。手際よく描かれたシチリアへの短い再訪であり、フリーライドに欠けていた目的をもたらしつつ、本編の映画的な演出やビジュアルの強みをしっかりと引き継いでいます。しかし、システム面での革新はなく、物語がいよいよ本格化しそうになった矢先に幕を閉じてしまう点は悔やまれます。
『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』の物語が好きで、意外な展開とともにあの世界や登場人物に再び触れたい人や、本編クリア後の街に物足りなさを感じていて物語性のある寄り道を求めていた人なら、手にとる価値は十分にあります。おなじみのカバーアクションやカーチェイス、ドラマチックな演出に好意的なファンならすぐに馴染めますし、最初から周回プレイをやり直す人にとっても、本編へ自然に組み込まれた幕間劇として楽しめるはずです。
一方で、ボリューム満点の長編ストーリーや、エンニオ・サリエリの内面に迫る深い人間描写、あるいはエンツォとIsabellaの関係性に踏み込む新展開を期待しているなら、慎重に検討すべきです。また、オープンワールドの寄り道をチェックリストのように機械的にこなす人や、本格的なステルス要素を求める人、通常版PS5や高解像度PCの動作落ちを気にする人も購入前に立ち止まる必要があります。なにより本編のゲームプレイそのものが合わなかった人なら、今作で評価が覆ることはありません。
各メディアの評価を見ると、エンニオ・サリエリの描写がキャラクターに本当の深みを与えているのか、それとも口先だけの浅い人物像にとどまっているのかで意見が割れています。また、Isabellaの扱いについても、サイドミッション付きの嬉しい再登場と捉える声から出番の少なさを惜しむ声まで幅があり、ミッション内でステルスを貫く自由がどこまで保障されているかについても見解が分かれました。
手頃な価格で手に入る『名誉の男』は、既存の魅力をそのまま手軽に味わい直したいファンにはぴったりの作品です。しかし、大規模な追加キャンペーンや、本編の枠組みを超える新たなゲーム体験を求めている人には、手放しでおすすめするのは難しい仕上がりとなっています。




製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | ダウンロードコンテンツ |
| DLC名 | マフィア:オリジン ~裏切りの祖国:名誉の男 |
| ゲームタイトル名 | マフィア:オリジン ~裏切りの祖国 |
| 原題名 | Mafia: The Old Country |










