2026年7月21日に発売の『Fading Echo – フェイディング・エコー』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「76 点」で「好評」という評価になっています。
2026年10月9日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは18件、最高は85点、最低は60点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
姿を変えて次元を渡りクリスタルを運ぶ奥深いパズル

地面に置かれたクリスタルを、格子や隙間、壁の向こう側にある台座へどうやって届けるか。その運搬方法を試行錯誤する時間こそが、『フェイディング・エコー』の最も面白いところです。ワンは水の球体に変身し、体内にクリスタルを取り込んで運びます。ここで重要になるのは、どの液体の中を転がり、どの姿を選び、そもそも進む道があるのかを見極めることです。ときには通り道が塞がれている場合もありますが、道中にある円形のポータルに足を踏み入れれば別の次元へ移動できます。その異次元が迂回ルートになることもあれば、物体を運ぶ手段になることもあります。ひとつの部屋を解くには、現実を切り替えて姿を変え、運んでいる物を落とさずに引き返す工夫が求められます。
この仕組みの核となっているのが形態変化です。ワンが吸収する液体によって、戦い方やパズルの解き方、移動の手段ががらりと変わります。緑色の有毒廃棄物を吸収すれば高く垂直に跳べるようになり、攻撃した敵を弱体化できます。溶岩を吸収すると蒸気へ姿を変え、広い隙間を滑空できるほど軽くなります。水の姿になれば、人間の姿では通れない格子やゲートをすり抜けることも可能です。さらに、元素の小さなオーブを持ち歩いて好きなタイミングで変身を発動する仕掛けも用意されています。序盤のある部屋では、離れた場所にある3つのスイッチを、ストックした緑色の有毒廃棄物を使って2回連続で変身しながら押していきます。オーブは格子をすり抜けられないため、別のルートを探して数手先を読む必要があります。
パズルと戦闘を通じて元素を組み合わせるシステムは、コーレルの世界全体で多彩なアプローチを生み出しており、手堅く創造的な奥深さがあります。ルールはシンプルで把握しやすい一方で、ゲーム側が使い方を細かく説明することは滅多にありません。プレイヤーは自力で答えを導き出す必要があり、必要な道具の大半も序盤から手元に揃っているため、自分の力で道を切り拓いたという確かな手応えを得られます。
パズルの目的自体は控えめなものが多く、大半はアーティファクトを地点Aから地点Bへ届けるルールのバリエーションです。それでも飽きずに楽しめるのは、反発する足場や重力反転装置、起動すべき仕掛け、特定の遺物を通さない扉などがテンポよく組み合わされ、運搬の手段が変化し続けるからです。同じ基本形が形を変えて何度も登場する構造を楽しめる人なら、最後まで新鮮な気持ちで遊べます。その一方で、似たパターンの反復に気づきやすい人には、バリエーションの幅が狭く感じられるかもしれません。多くのパズルが何かを運ぶか素早くスイッチを押すかに行き着くため、工夫された部屋でも先の展開が読めてしまうことがあります。さらにクリスタルの運搬には、形態を変えたり格子を抜けたりする際にクリスタルを落としやすく、リセットされる前に慌てて拾い直す羽目になるという難点もあります。こうした作業にストレスを感じやすいプレイヤーには、少々つらい部分です。
アメコミ調の演出と世界ごとに声色を変える巧みな演技

『フェイディング・エコー』のもうひとつの大きな魅力はビジュアルです。惜しみなく色を使ったクリーンな描画スタイルにコミック調の演出が加わり、プレイ全体に心地よい躍動感を与えています。アートディレクションは本作最大の強みのひとつです。セルシェーディングの質感は荒野のエリアで『Borderlands』を思わせ、浮遊する島々でも見事に調和しています。テクスチャやモデルの作り込みこそ緻密ではありませんが、世界観の説得力は十分に保たれています。別の現実へ移ると色彩表現はさらに強調され、重力を無視した水中のような空間はメインの世界以上に鮮やかです。なかでも別の領域に入ると姿が変わるワンのキャラクターデザインは、ひときわ強い存在感を放っています。
カットシーンに目を向けると、限られた開発予算をはるかに超えた完成度であることがわかります。独自のビジュアルスタイルにコミックのコマ割りやエフェクトを融合させており、映画『Into the Spider-Verse』が持つ手描きアニメーションの熱量に近い迫力があります。フキダシの配置やストップモーションを思わせるカット割りによって、場面ごとに際立った個性が与えられています。このフキダシ演出は探索パートにも引き継がれ、フィールド上の会話でも通常の字幕代わりに使われるため、イベント以外の場面でもコミックらしい雰囲気が損なわれません。
キャスト陣によるボイスワークも、作品の魅力を大きく押し上げています。声優陣の演技は非常に表情豊かで、なかでも最大の見どころはVellumです。ワンが世界を移動するたびにVellumの性格が変わり、それに合わせて声のトーンや演技も変化するため、その違いを楽しむのも本作のささやかな醍醐味になっています。一部に説得力を欠く台詞回しもありますが、表現が長たらしかったり紋切り型だったりすることが主な原因であり、作品全体の魅力を損なうほどではありません。
崩壊した世界を巡る物語と緊張感を削ぐトーンの課題

物語は、『フェイディング・エコー』の浮遊する世界を冒険し続ける確かな動機を与えてくれます。コーレルは滅びゆく砂漠の世界であり、世界の崩壊や分断された現実には奥深い背景設定が用意されています。カットシーンや探索中の会話を通じて過去の出来事が少しずつ明かされ、同時にワンと母親Rahneの絆も深まっていきます。新たな発見に満ちた世界観や、ところどころで笑いを誘う軽妙なユーモアを好む人なら、この物語は旅の良い道連れになってくれます。
その一方で、芯のあるテーマや丁寧な人間関係の描写を求める人には、やや合わない面もあります。本作はコメディとシリアスなドラマの間を絶えず行き来するため、世界の危機が差し迫る緊迫した場面であっても、ワンや周囲のキャラクターが放つジョークが空気を緩めてしまいます。成長物語や家族ドラマという主眼は大まかにしか描かれず、会話の多くが人物の内面よりも世界設定の解説に割かれています。そのため、終盤に用意された感情的な見せ場も、制作陣が意図したほどには心に響かないことがあります。
カットシーンの演出構成も、この噛み合わなさに拍車をかけています。魅力的なビジュアルは保たれているものの、シーンのテンポが不自然で、場の空気が盛り上がってきたところで唐突に場面が切り替わってしまうように感じられます。たとえば、新キャラクターが派手な電撃の演出とともにポータルから現れ、波乱の展開を期待させたにもかかわらず、そのシーンが唐突に暗転し、以後は何の説明もなくハブに立ち尽くしているだけ、という場面もありました。
RPGという触れ込みに惹かれて興味を持ったプレイヤーも、事前に期待値を調整しておくべきです。スキルツリーを除けばロールプレイ要素はほぼ存在せず、物語は一本道で、探索できるエリアもオープンワールドではありません。プレイヤーがワンの人物像を主体的に形作ることもできないため、プレイ感はアドベンチャーゲームに近く、場面によってはパズルプラットフォーマーのように感じられます。
自由度の高い修復と探索の楽しさに潜む迷いやすさ

本作の世界は、プレイヤーの探索にしっかり応える設計になっています。チュートリアルを抜けるとコーレルのハブから複数のルートが開け、どこから進めるかを自由に選べます。各世界は3つのエリアに分かれており、各地の泉を起動することで世界が修復されていきます。修復を果たすたびにスキルツリーの該当枠が解放され、ワンはAetherfatosを装備して新たな能力を身につけられます。ルートによって向いているプレイスタイルも異なり、Ygdran Hollowが基礎ステータスの強化に向いているのに対し、上方にあるAetherminasへのルートでは純粋な火力や攻撃技が手に入ります。泉を修復すればいつでもメインの祭壇へ戻れるため、攻略順の自由度は本物です。強化は通貨の消費ではなくエリアの踏破によって手に入るため、新しい技や防御能力の解放は、探索を通じて自力で勝ち取った確かな成果として実感できます。
その一方で、この開放的な構造が本作で最も深刻な欠点も生み出しています。マップも画面上の道案内マーカーも用意されておらず、似たような景色のエリアが多いため、あっさりと道に迷ってしまいます。特定の地点で発生する会話が正解ルートにいる目安にはなるものの、巧妙に隠された道が多く、少し気を取られただけでも方向感覚を失ってしまいます。別のルートへ寄り道すれば敵との力関係を手頃に保ちやすくなる反面、現在地の把握は一段と難しくなります。ひとつのステージに2つ以上の現実が絡んでくると、あてもなくさまよう事態は避けられません。さらに敵は時間経過で再出現するため、来た道を引き返すたびに同じ敵グループと再戦を強いられます。
プレイヤーの歩みをあえて手取り足取り誘導しない判断自体は好ましいものであり、序盤はその方針がうまく機能しています。ゲーム側から提示される情報も、最初のルートを終えると上部エリアが開放されるという最低限のものだけです。問題がこじれるのは、より複雑になる後半のエリアです。プレイヤーの観察力を信頼した構造である反面、レイアウトが直感的ではなく、次の目的地を探し回る作業がただの徒労になりがちです。見落としたエレベーターを探す羽目になったり、道案内をしてくれる魚の群れが必ず現れるとは限らなかったりと、不便さが目につきます。同じ道を行き来するバックトラックを嫌う人にとって、これは購入を判断する上での最大の懸念点になります。
元素の相性を突く工夫がある一方で単調さに悩む戦闘
戦闘は堅実なアイデアに基づいて構築されています。敵は元素の物質をまとっているため、一撃ごとに属性の相性を意識する意味があります。水は溶岩をまとった敵を冷やして固め、数発で粉砕できるようにします。緑色の有毒廃棄物は水を帯びた敵を弱体化させ、火は毒に守られた敵を焼き尽くします。ワンの人間の姿は溶岩や緑色の有毒廃棄物、腐敗に弱いため、自身が危険にさらされないよう立ち回る判断も欠かせません。相性を把握するまでは時間がかかりますが、どの元素が有効かを理解してしまえば、形態変化を織り交ぜながら攻撃をつなぐ立ち回りに、単なるギミックを超えた確かな満足感を味わえます。
ただし、その楽しさがエンディングまで続くかどうかは戦闘に何を求めるか次第であり、全体としては単調になりがちです。敵の種類は少なく、大半は基本の数種類にわずかなアレンジを加えたものにとどまります。複数の敵を巻き込む強力な波動攻撃のようなアップグレードは入手時期が遅く、戦闘の流れを劇的に変えるほどでもありません。アリーナの地形も似通って感じられ、終盤には不要に思える戦闘も散見されます。攻撃と変身を繰り返す基本ループそのものが肌に合えば、面白さは保たれます。元素の連携に慣れてきた頃に、新しいギミックや敵が登場する傾向があるためです。なお、低難易度であれば攻撃と回避を連打するだけでも強引に突破できてしまいます。
さらに、ノックバックの存在がこのシステムを大味にしています。キャラクターの移動に制約はなく、回避を制限するスタミナゲージも存在しません。しかも序盤で習得できるVault Kickを使えば、敵を崖や穴へ蹴落として一撃死させられます。実際のプレイでは敵を突き落とす戦法がお決まりのルーチンになってしまい、せっかくのコンボシステムが活用されなくなってしまいます。これによって戦闘は手早く片付くものの、手応えも試行錯誤する意味も失われてしまうのは惜しい点です。
ゲーム全体のリズムもかなり早い段階で見透かされてしまいます。開始から数分で、敵を倒し、クリスタルを集め、マルチバースの扉を開いてポータルを起動する、という定型パターンが浮き彫りになります。その手順をあまりにも厳格になぞり続けるため新鮮味が薄れ、個々のパズルが良くできている場面でさえ、探索本来のワクワク感を削いでしまっています。
動作環境による性能差と一部言語サポートの不足

技術的なパフォーマンスはプレイ環境に大きく左右されます。Steam Deckでは低設定であっても動作が不安定で、頻繁に30fpsを割り込み、唐突なロード画面が挟まります。PC環境でもフレームレートの問題は残ります。メディア向けの先行ビルドでは、5060の中設定と5080の高設定でおおむね60fpsを維持できましたが、新エリアへの移動時や領域の切り替え時にはフレームレートが落ち込み、カットシーンへの切り替わり前後ではさらに大きく低下しました。
世界の行き来も瞬時とはいきません。高速なSSDにインストールしていても、アーティファクトを別の次元へ運ぶ処理に数秒待たされ、メインの祭壇へ戻る際にも短いロード画面が表示されます。テンポの良さが魅力となるパズルにおいて、こうした細かな待ち時間が没入感を削いでしまうのは残念なところです。
言語サポートの面でも一部に欠落があります。本作にはイタリア語字幕が用意されていません。会話の分量が非常に多く、その大半がゲームプレイ中にリアルタイムで発生するため、英語が得意でないイタリア語話者にとっては物語の把握が難しくなります。
独創的なパズルが探索の不満を補う意欲作

『フェイディング・エコー』は、独創的な環境パズルと、コミックに着想を得た個性的な演出を重視するプレイヤーにおすすめできる作品です。元素を活用したアクションによって、液体の姿でクリスタルを運び、次元の壁を越えて届ける作業はとても創造性に富んでおり、これだけでも遊ぶ価値があります。カラフルで洗練されたアートスタイル、コミックのコマ割りを活かしたカットシーン、そして通貨購入ではなくエリアの修復を通じて新たな能力を得るノンリニアな構造も、本作の大きな魅力です。その一方で、購入の判断を左右する懸念点もいくつか存在します。マップや明確な道案内がないとストレスを感じる人は、似通ったエリアと隠されたルートに根気を試されることになります。戦闘に深みのある手応えを求め続ける人は途中で飽きる可能性があり、敵を穴や崖から突き落とす戦法のせいで他の戦術が無意味になりかねません。強い感情的なカタルシスや、主人公像を自由に決められるRPG的な自由度を求める人にとっては、物語が物足りなく感じられるかもしれません。またSteam Deckで遊ぶなら頻繁に30fpsを下回る動作を覚悟しておく必要があり、イタリア語字幕を頼りにしたいプレイヤーには対応の不足が大きな壁になります。
本作に対する評価は、メディアの間でも意見が分かれています。パズルについては、新たな障害の組み合わせによって変化し続けると見るか、それとも狭く予測可能なパターンに落ち着いてしまうかで賛否が割れました。また、新たな敵やギミックの登場で戦闘が新鮮さを保てるのか単調になってしまうのか、そして物語が最後まで興味を引きつけるのか感情的な山場に必要なテーマ性を欠いているのかについても、メディアの見解は分かれています。根本的にパズルが苦手な人は手を出さないほうが賢明です。冒険の全体がパズルを軸に組み立てられているためです。それ以外の人にとっては、次元を越えてクリスタルを運ぶ作業にこれほどの満足感を与えている創造性こそが、回り道を差し引いても『フェイディング・エコー』をプレイする価値のある作品にしています。進むべき道を見失って立ち往生することがあっても、この秀逸なツールキットが最後まで冒険を支えてくれます。








製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル名 | Fading Echo – フェイディング・エコー |
| 原題名 | Fading Echo |
| ジャンル | アクション, アドベンチャー, インディー, RPG, 無料プレイ, ロールプレイング, その他 |
| プラットフォーム | PC(Steam), PlayStation 5, Nintendo Switch 2, Xbox Series X|S |
| 発売日 | 2026年7月21日 |
| 価格 | Steam ¥2,300 / Nintendo ¥2,300 / Xbox ¥2,350 |
| 体験版 | あり |
| 公式サイト | https://www.fading-echo.com/ |
| 開発元 | Emeteria |
| 発売元 | New Tales |










