2026年10月30日に発売の『Terrible Lizards』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「78 点」で「好評」という評価になっています。
2026年10月28日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは6件、最高は80点、最低は70点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
崩落する足場を一瞬の判断で駆け抜ける追跡劇の爽快感

いびつな姿の恐竜が背後から迫り、走っている最中にもステージが崩れていきます。トンネルは崩落し、足場や機械が倒れてくるため、ジャンプやスライディング、壁走りを一瞬で判断しなければなりません。こうした追跡シーンこそが『テリブル・リザーズ』の最大の見どころです。特に出来の良い場面では、『Mirror's Edge』の最も魅力的な部分に通じる遊び心地があります。激しいテンポの中で迷っている暇はなく、周囲の環境すべてがプレイヤーの行く手を阻んできます。
約6〜8時間のキャンペーンには、驚くほど多くの大がかりな演出シーンが詰め込まれており、その中心となるのが崩落の演出です。失敗しても厳しいペナルティはありませんが、落盤や崩れ落ちる設備のおかげで緊張感と興奮が途切れないため、ミスして少しやり直すだけで済む場面でも、脱出のたびに間一髪だったと感じられます。また、恐竜は常に追いかけてくるわけではなく、姿を見せない時間も長いため、登場するたびに単なる障害物の追加ではなく特別な出来事のように感じられます。
本作には戦闘が一切なく、その設計がゲーム全体の性格を決定づけています。体力ゲージや弾薬といった管理すべき資源がないため、プレイヤーは常に逃走と回避だけに集中できます。恐竜に対してできる行動はすり抜けて先へ進むことだけで、一般的なゲームなら戦闘が担う役割を追跡シーンが果たしています。立ち止まって敵と戦うよりも、一人称視点の素早いパルクールアクションにずっと合っており、恐怖を感じさせる場面でも足を止めさせずに、むしろプレイヤーをさらに速く走らせてくれます。
直感的なパルクール操作とたまに起きる判定の不安定さ

追跡シーンが爽快に成立しているのは、Jordanの操作感が優れているからです。ほとんど加速時間なしで全力疾走へ移行でき、空中でも勢いを自在にコントロールできます。ステージを駆け抜ける操作は素直で反応が良く、足場までの距離を見誤って落下した際も、ゲームの不具合ではなく自分のミスだと納得できます。アクションの種類も操作を複雑にすることなく着実に増えていき、最初は走る、跳ぶ、よじ登るだけだった動作に、やがてスイングや壁走りが加わり、後半には弾む足場を利用した跳躍も登場します。スキルのアンロック作業は不要で、ステージ上で必要になるタイミングに合わせて自然に追加されるため、一連の動きをつなぎ合わせた爽快なロングランが楽しめます。
もっとも、どのアクションも画期的なものではありません。『Mirror's Edge』から多くの要素を取り入れており、挙動の完成度では一歩及びません。とはいえ基礎部分の作りが堅実であり、このジャンルに特化したタイトルが少ない現状では、それだけでも大きな価値を持っています。
進行ルートは、近年のゲームでおなじみの「黄色いペンキ」によって示されます。パイプや出っ張り、手がかり、足場に色が塗られており、進むべき方向がひと目で把握できます。この誘導手法を好まないプレイヤーには気になるかもしれませんが、本作ほどのハイスピードで駆け抜けるゲームでは、進路が明確にわかる設計が欠かせません。強い焦りを感じる場面でも、つかまるべき突起や次の目的地を常に見失わずに進めます。なお、ペンキが示すのはメインルートのみであり、収集アイテムをコンプリートするためには、着色されていないエリアにも目を配り、ルートを工夫して探索する必要があります。
ただし、パルクール操作が完全に信頼できるわけではありません。完璧なタイミングに見えたジャンプでも突起をつかみ損ねることがあり、スライディングの挙動も常に正確とは限りません。閉まりかけのドアや確実に届くはずだった手がかりが、突如として視界から外れてしまうこともあります。発生頻度こそ高くはないものの、起きるたびに強いストレスを感じさせられます。『Mirror's Edge』との完成度の差が最も顕著に現れるのもこうした粗さであり、普段は心地よいはずの移動操作に対する信頼感を少しずつ削いでしまいます。
90年代風アトラクションの魅力と地下へ移った際の無機質さ

ユニークな舞台設定も、本作を遊ぶべき大きな理由の一つです。1992年、ルート66で立ち往生したJordanは、ダルトンズ・ダイノズへと迷い込みます。ここはディズニーを思わせるような、動く恐竜ロボット(アニマトロニクス)を展示する博物館です。足を踏み入れた瞬間から不気味さと好奇心を同時にかき立てられる空間が広がっており、序盤の展開は『Portal 2』のバックヤード探索を思い起こさせます。巨大施設の裏側を巡りながら、なぜ職員や客が一斉に消えてしまったのかという謎を追っていきます。博物館やテーマパークの立ち入り禁止区域に忍び込みたいという好奇心を刺激し、巨大なアニマトロニクスをよじ登ったり、バックヤードへ潜り込んで展示のはるか頭上にあるヒューズボックスを目指したりする体験が味わえます。
PCの画面上で回転する3DのWordArtスクリーンセーバーをはじめ、施設内のあらゆる要素が90年代特有のチープな魅力にあふれています。ダルトンズ・ダイノズは、何もない荒野の道路沿いに実在しそうなリアリティを備えています。半分は博物館、もう半分はピザ屋を併設したゲームセンターのような佇まいで、教育的な建前がロードサイド観光地特有の安っぽい派手さで彩られています。
だからこそ、舞台が地下へ移ったときの落差が惜しまれます。Jordanがパーク地下の発掘現場へと降り立つと(プレイ時間の大部分はここで過ごすことになります)、地上のアトラクションにあった独特の空気感や緊張感の多くが薄れてしまいます。パルクール用のステージとして出来が悪いわけではなく、移動ギミックのバリエーションが増え、立体的なアクションに適した狭隘な空間も数多く用意されています。しかし、代わり映えのしない洞窟や研究施設が続くため、地上パークに比べると無機質な印象が拭えず、せっかくのダルトンズ・ダイノズという魅力的な舞台からあまりにも早く離れてしまいます。地下でもマスコットや古臭い館内アナウンスは登場するものの、結局は広大な岩の通路を進み続ける印象が強く、アトラクションという設定のポテンシャルを使い切れていません。ステージ設計自体に不満はないものの、最も印象的な地上パークのパートがあまりに早く終わってしまう点は悔やまれます。
90年代実写映像とカセットテープが彩る引き込まれる物語

実写映像(FMV)を取り入れたストーリーテリングも、本作の大きな魅力です。メインストーリーは各所に隠された実写動画を通じて語られ、自らが暴いてしまった恐ろしい事実に怯える科学者の映像や、息子のDJを探すDaltonのビデオ日記などが収録されています。どれも良い意味でB級感とわざとらしさが漂っており、足を止めて観賞する価値が十分にあります。カセットテープの音声や実写カットシーンが織りなす演出は、1990年代前半のPCゲームを強く意識させ、アトラクションの時代設定と見事に調和しています。
序盤の印象だけで物語を見切ってしまうのは早計です。黒いスライムを垂れ流す不気味なマスコットの着ぐるみを目にすると、近年のよくあるマスコットホラーの焼き直しに見えるかもしれませんが、その先の面白さはそこにとどまりません。物語は急速にスケールを広げ、不気味な子どもの「空想の友達」や、破滅的な結末を迎えた考古学の発掘調査、Daltonの複雑な家庭環境、そして怪しげな研究の背後にある謎の出資者の存在など、多様な要素が一本の糸へと収束していきます。各所に残されたメモや音声ログ、無線を介したJordanとStellaのやり取りが物語のディテールを補強しており、巧みな脚本とテンポの良い展開が、ゲームプレイの単調なパートを牽引する原動力になっています。疾走アクションが一段落した場面でも、先を知りたいという興味がプレイへの意欲を支えてくれます。
謎解きの引力に対して薄い主人公の動機と唐突な幕切れ

本作の物語は、主人公自身のドラマや結末の展開よりも、提示される謎そのものに大きな魅力があります。ダルトンズ・ダイノズで何が起きて事態が暗転していったのか、時系列を整理する作業には多少のわかりにくさがあるものの、最終盤に向けて飽きさせない工夫が凝らされており、真相に迫る興味は最後まで維持されます。
物足りなさを感じるのは主人公Jordanの描写です。好奇心のほかに事件へ首を突っ込む明確な動機がなく、序盤で施設に閉じ込められて以降は、脱出のためにDaltonの足跡を機械的になぞっているだけに映ります。そのため、主人公としての心理的な成長や変化はほとんど描かれません。また、エンディングも唐突で、劇的なクライマックスを迎えて締めくくられるというより、残された伏線が一通り回収されたところで突然幕を閉じてしまいます。とはいえ、世界観や演出の完成度が高いため、これらは決定的な欠点というほどではありません。本作が提供するのは魅力的な謎とノスタルジックな演出であり、濃密な人物劇や大団円のフィナーレではないからです。
足を止めた途端に薄れるホラーの緊張感と退屈なパズル

『テリブル・リザーズ』が真価を発揮するのは全速力で疾走している瞬間であり、その設計はホラー演出の効果にも大きく影響しています。背後から恐竜が迫り来るような瞬間的な恐怖を求めるなら、息詰まる空気感と決死の脱出劇によって強いスリルを存分に味わえます。しかし、じわじわと忍び寄るような持続的な恐怖を期待すると、スピーディな進行ゆえに怖さを噛みしめる余裕はほとんどありません。安全な天井の梁の上から観察していると恐竜の動きがどこか滑稽に見えてしまい、緊張感が削がれてしまう場面もあります。もっとも、多くのプレイヤーにとっては追跡シーンの迫力がホラー表現の弱さを十分に埋め合わせてくれます。
一方で、テンポが停滞する探索や謎解きのパートはあまり魅力的ではありません。広大な部屋で分かりにくい進路を探したり、簡単なパズルを解いたりする場面がありますが、その大半はアイテムを回収して電源を復旧させるといった単調な作業にとどまります。こうしたインターバルは世界観の補足やStellaとの会話を楽しむ時間にはなるものの、疾走パートのような明確な導線や心地よいリズムが欠けています。コンパクトな全体のボリュームであっても、似たようなパズル構成が繰り返され、ステージごとの工夫も乏しいため、次第に退屈さを感じてしまいます。
とりわけ出来が悪いのは、一定エリアを巡回する恐竜から隠れながら別の目的をこなすステルス寄りの場面です。敵AIが障害物に引っかかったり、その場で足踏みを続けたりする挙動が見られ、せっかくの緊張感が台無しになってしまいます。こうした場面は数が少なく難易度も低いため致命的な打撃にはならないものの、プレイヤーの足を止めさせるとゲームの魅力が急激に損なわれるという、本作の弱点を端的に示しています。
疾走感を削ぐ進行不能バグや機種ごとの動作の不安定さ

本作の購入を検討する上で最大の懸念材料となるのが、看板である疾走感を直接損ないかねない技術的な不具合です。問題は主に追跡シーンで発生し、Jordanの移動速度が速すぎるあまり、スクリプト化されたイベントの想定ラインを追い抜いてしまうことがあります。その結果、イベントが正常にトリガーされなくなったり、ゲームを再起動してセーブデータを読み直すまで挙動が不自然になったりします。さらに、完全に進行不能となる不具合も確認されており、トランポリンをすり抜けて落下した後にジャンプ不能になり、チェックポイントからのやり直しを強いられた事例もありました。毎回必ず起きるわけではないものの、スピード感が命の場面でこうしたトラブルに見舞われると興を削がれてしまいます。
プラットフォームごとのパフォーマンスにも固有の課題があります。PlayStation 5版では収集メモを拾った直後に画面がフリーズすることがあり、数秒で復帰することもあれば1分以上固まることもあって、ゲームプレイと物語への没入感を大きく寸断します。Xbox Series X版は全編を通じてほぼ安定した60fpsを維持するものの、最終ステージの2箇所でフレームレートが一桁台まで急激に落ち込みます。また、Steam Machine環境では快適にプレイできる設定を見つけるために大幅なグラフィック設定の引き下げを余儀なくされ、表示上のフレームレートが目標値を上回っていても頻繁なスタッター(画面のカクつき)に悩まされました。プレイ環境や進行状況によって影響の度合いは異なるものの、常に走り続けることを前提とした作品だけに、動作の不安定さは大きな痛手となります。
リトライの快適さにもばらつきが見られます。通常の操作ミスであればチェックポイントがこまめに配置されているため、突起をつかみ損ねたりスライディングを誤ったりしても、わずかな巻き戻りで復帰できます。しかし、バグに巻き込まれた場合は事情が異なります。リスポーン直後に動けなくなって前のチェックポイントまで大きく戻されると、スイッチ操作や通気ダクトの通過、よじ登りといった大がかりな演出前の手順をすべてやり直す羽目になります。本来はミスのストレスを軽減するためのチェックポイント機能が、不具合と重なることでかえってやり直しの徒労感を増幅させてしまっています。
不具合を抱えつつも勢いに乗った際の疾走感は格別な一本

『テリブル・リザーズ』は、純粋に疾走アクションを楽しみたいプレイヤーに向けて自信を持って勧められるタイトルです。パルクールアクションは直感的でレスポンスに優れており、崩落が連続する恐竜との追跡劇は大迫力の演出で満ちています。さらに、程よいB級テイストが漂う90年代テーマパークの空気感に、実写動画やカセット音声、好奇心を刺激する謎解きが加わり、魅力的な体験に仕上がっています。とりわけ、新規性や洗練度以上に土台の堅実さを重んじる『Mirror's Edge』風アクションのファンや、戦闘やリソース管理に煩わされず回避と逃走に没頭したいゲーマーにはうってつけの作品です。
一方で、購入の判断を左右する最大の懸念は、ゲームのリズムを寸断する各種の粗さです。進行不能バグによるリロードや再起動、画面のフリーズやフレームレートの低下が勢いにブレーキをかけます。また、崖のつかまり判定に甘さが見られるほか、地下エリアの空気感も地上パークほど際立ってはいません。恐竜の存在が真の恐怖をもたらしているのか、それともハイスピードゆえに恐怖を感じる暇がないのかについてはメディアの間で意見が分かれています。チェックポイントの配置についても、ミスの痛手を抑えるのに十分だと評価するメディアがある一方で、間隔の粗さゆえにやり直しが長引いてバグの被害を拡大させていると指摘するメディアもあり、評価が割れています。もっとも、主人公の印象の薄さや唐突な幕引き、持続的なホラー感の乏しさなどは、逃走アクションの爽快感に比べれば致命傷ではありません。不具合への耐性がない方は購入を慎重に判断すべきですが、ひとたび疾走の波に乗ったときの『テリブル・リザーズ』は、細部の粗さを補って余りある楽しさを提供してくれます。








製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル名 | Terrible Lizards |
| 原題名 | Terrible Lizards |
| ジャンル | アクション, アドベンチャー, インディー |
| プラットフォーム | PC(Steam), Xbox Series X|S |
| 発売日 | 2026年10月30日 |
| 価格 | Steam 無料 |
| 公式サイト | https://www.terriblelizardsgame.com/ |
| 開発元 | WDR Studios LLC |
| 発売元 | Digital Pajamas |










