PS4のJRPG8作品は主人公を「悪役」に変える物語を描いた
2026年08月31日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
JRPGには、プレイヤーが正義の側にいると思っていた前提を覆し、主人公たちの行動を別の角度から見せる作品があります。なかでもPS4時代には、復讐のために暴力へ傾く人物や、国家に利用される軍人、知らないうちに大きな計画へ加担する英雄たちを描いた作品が登場しました。原文筆者は、単純な善悪では割り切れない動機や視点の変化に注目し、「実は自分たちが悪役なのではないか」と考えさせる8作品を挙げています。
復讐と正義の境界に立つ主人公
Tales of Berseria――復讐のために文明の脅威となるヴェルヴェット
Tales of Berseriaの主人公ヴェルヴェット・クラウは、復讐を果たすために旅を続けます。しかし、その道のりで彼女は次第に暴力的になり、やがて文明そのものにとって危険な存在へと変わっていきます。物語の中心にいる人物でありながら、ヴェルヴェットは多くの場面で明らかに善人とはいえません。
彼女がそのような行動を取る理由は描かれており、プレイヤーが事情を理解できるようにはなっています。それでも、事情があるからといって行動が正当化されるわけではありません。一方で、ヴェルヴェットと敵対する英雄側にも隠された問題があり、彼らの正義も完全なものではないことが示されます。そのためヴェルヴェットへの同情は生まれますが、彼女の行為を無条件に許す構成にはなっていません。
The Legend of Heroes: Trails of Cold Steel III――国家に使われる軍人
The Legend of Heroes: Trails of Cold Steel IIIでは、トールズ士官学院の教官であり軍人でもあるリィンが主人公です。彼は非常に強大な力を持つため、エレボニア政府にとって重要な戦力となっています。しかし、政府から与えられる任務は物語が進むほど危険で、倫理的にも疑問の残るものになっていきます。
リィンは自ら悪事を望んでいるわけではありません。それでも、彼の力を必要とする権力者たちに利用され、本人が十分に理解していない目的のために動かされてしまいます。ここで描かれるのは、主人公が突然悪人になる展開ではなく、所属組織への忠誠と自分自身の良心の間で追い詰められていく姿です。正しいと思って従っていた命令が、別の立場から見ると加害行為になりうるという構図が、作品全体の緊張感につながっています。
Shin Megami Tensei III: Nocturne HD Remaster――滅亡後の世界を選ぶ者
Shin Megami Tensei III: Nocturne HD Remasterでは、世界が崩壊した東京を舞台に、主人公の人修羅が再生される世界の行方を決める立場に置かれます。彼は人間と悪魔の間に立つ存在であり、旧世界をそのまま取り戻すことが必ずしも最善とは限りません。
本作には、世界の未来を自分たちの望む形へ導こうとする複数の勢力が登場します。それぞれに異なる思想と正当化の理屈があり、誰もが完全に英雄的な選択肢を提示するわけではありません。ルートによっては、世界を悪の側へ導き、ルシファーとともに支配することも可能ですが、それも単純な「正解に対する悪の結末」としてではなく、別の存在のあり方として描かれます。プレイヤー自身が世界の形を決める以上、どの選択にも道徳的な責任が伴います。
英雄の行動が別の意味に変わる物語
13 Sentinels: Aegis Rim――怪獣退治が正義とは限らない
13 Sentinels: Aegis Rimは、物語が進むたびに、それまで見ていた出来事の意味を変えていく作品です。新たな真相が明らかになるたびに過去の場面を見直す必要が生じ、かつて英雄的に思えた行動でさえ、別の視点から見ると危ういものに変わります。
巨大ロボットに乗って怪獣と戦い、世界を救うという導入は、プレイヤーを物語へ引き込むための分かりやすい入口です。しかし、本作ではその戦い自体が、プレイヤーをある筋書きに留める仕掛けのように見えてきます。出来事の反復や視点の切り替えを通して、誰が敵で、誰が守られるべき存在なのかが揺らいでいきます。原文筆者は、単に主人公が悪人だと明かされるのではなく、同じ行動の意味そのものが変質していく点を評価しています。
Final Fantasy VII Remake――運命に抗うことが敵の望みになる
Final Fantasy VII Remakeでは、クラウドたちが神羅カンパニーと戦う反乱組織アバランチに協力します。序盤の構図は、圧政を敷く神羅と、それに立ち向かう主人公たちという分かりやすいものです。セフィロスもまた、クラウドたちの前に立ちはだかる明確な敵として描かれます。
ところが物語が進むと、クラウドの記憶が次第に信頼できないものになり、セフィロスが周囲の出来事を操作している可能性が強まります。さらに、登場人物たちを決められた結末へ導こうとする謎の存在「運命の番人」も現れます。クラウドたちはその運命に抗うことを選びますが、その反抗こそがセフィロスの望んでいた展開である可能性が示されます。
つまり、自由を取り戻すための行動が、結果として敵の計画を進めてしまうかもしれません。主人公たちは悪意を持って世界を壊そうとしているわけではないものの、正義のための選択が敵の目的に利用されるという、悲劇的な構造に組み込まれています。原文筆者は、この「運命に逆らった結果、悪役の狙いを実現してしまう」構図が、リメイク版を独立した物語として成立させる要素だとしています。
Persona 5――悪を裁く者たちも利用されている
Persona 5の怪盗団は、権力を持つ大人たちの歪んだ欲望を改心させるために活動します。高校生たちが悪事を働く大人を裁き、社会を救おうとするという設定は、物語の序盤だけを見れば典型的なヒーローの物語です。しかし、本作はそこで止まらず、怪盗団の活動をさらに大きな計画の中へ組み込んでいきます。
彼らは自分たちの意思で正しいことをしているつもりでも、より上位の存在が用意した流れに知らないうちに乗せられています。高校生活を描く物語として始まった作品が、やがて神との戦いにまで拡大する展開は、単なるスケールアップではありません。現実そのものが見た目どおりではなく、怪盗団の正義さえも誰かに利用されていると分かることで、主人公たちの行動に別の意味が加わります。
予言と真実が正義を揺さぶる
Dragon Quest XI 過ぎ去りし時を求めて――勇者の使命に隠された複雑さ
Dragon Quest XI 過ぎ去りし時を求めては、物語の序盤から古代の予言と勇者の使命を前面に押し出します。勇者が世界を救い、悪と戦うという構図は、JRPGではおなじみのものです。しかし、本作の予言は、プレイヤーが最初に想像するような単純な筋書きには収まりません。
物語後半の真相では、主人公たちが経験してきた出来事の背後に、さらに大きな脅威が存在していたことが明らかになります。その結果、運命や予言、そして「善と悪の戦い」とされていた構図が何度も問い直されます。本作は主人公を完全な悪役にするわけではありませんが、正義の側にいると思っていた人物たちも、世界を動かす大きな力の一部にすぎないことを示します。原文筆者は、定番の勇者物語を使いながら、その前提を崩していく点を特徴として挙げています。
NieR: Automata――人類を救う戦いの前提が崩れる
NieR: Automataは、「自分たちは本当に正しい側なのか」という疑問を、物語の全体を通して突きつける作品です。物語は、機械生命体によって地球を奪われた人類を救うため、アンドロイドが戦うという形で始まります。人類の生き残りは宇宙空間の基地に存在し、2Bたちは故郷である地球を奪還するために送り込まれます。
この導入だけなら、機械生命体が圧倒的な悪であり、アンドロイドが人類のために戦う英雄に見えます。しかし、戦いを続けるにつれて、何のために戦っているのかという根本的な理由が曖昧になっていきます。敵とされていた存在の側にも事情があり、主人公たちが信じていた歴史や命令も、確かなものではなくなります。
物語の終盤では、それまで当然だと思っていた前提が大きく揺さぶられ、同じ出来事を別の立場から見直す必要が生まれます。原文筆者は、全体像を知ったあとに再び物語を体験すると、同じ場面が別の作品のように感じられると説明しています。世界を救う物語の形式を使いながら、救う側と滅ぼす側の境界を解体していく点が、本作を8作品の中でも特に象徴的な存在にしています。