『South Park: The Stick of Truth』が今も最も笑えるゲームである理由
『South Park: The Stick of Truth』は、サウスパークの世界を再現した作品というだけでなく、IGNのRyan McCaffrey氏が「これまで遊んだなかで最も笑えるゲーム」と評価する、特別な1本です。約12時間で完結する比較的コンパクトなRPGでありながら、作品の随所にTrey Parker氏とMatt Stone氏の過激な風刺とユーモアが詰め込まれています。開発中にはパブリッシャーの破綻という大きな問題にも見舞われましたが、最終的に発売へたどり着き、現在もXboxの思い出深い作品のひとつとして語られています。
サウスパークのために作られたRPG
本作の大きな特徴は、テレビアニメのゲーム化にありがちな単なるキャラクター商品の域を超え、番組そのものを長時間遊べる形に落とし込んでいる点です。グラフィックはアニメ版の見た目をそのまま再現しているため、発売から時間が経った現在でも古さを感じにくいとMcCaffrey氏は説明しています。プレイヤーはサウスパークの世界を舞台に、約12時間にわたるRPGの冒険を楽しめますが、その体験は「番組の長いシーズンを遊んでいる」ようなものだとされています。
開発を担当したのは、RPG制作で知られるObsidian Entertainmentです。Parker氏とStone氏が開発元として同社を希望し、2人自身も制作に直接関わりました。シンプルなターン制RPGの戦闘に、番組らしいキャラクター、会話、場面展開を組み合わせたことで、ゲームとして遊べる一方、サウスパークの新エピソードを追うような感覚も成立しています。初期段階で用意された脚本の第1稿は850ページに及んだとされ、最終的なプレイ時間が約12時間に収まったとしても、作品に込められた物量の大きさがうかがえます。
THQの破綻で発売が危ぶまれた経緯
本作は当初、THQが資金提供とパブリッシングを担当していました。しかし開発途中で、当時のTHQが破産を申請。プロジェクトそのものは中止されなかったものの、発売権は破産手続きの一環として競売にかけられ、サウスパーク側もこの状況を快く思っていなかったとMcCaffrey氏は振り返っています。
その後、Ubisoftが発売権を取得したことで、Parker氏、Stone氏、そしてObsidianのチームは開発を継続できました。もし権利の移行が実現していなければ、プレイヤーは本作を遊べなかった可能性もあります。McCaffrey氏は、THQの破綻を乗り越えて完成し、発売されたこと自体を、本作がクラシックとして残った理由のひとつに挙げています。
12時間に凝縮された過激な笑い
McCaffrey氏が特に高く評価しているのは、プレイ中に何度も声を上げて笑ってしまうほどのコメディです。なかでもUnderpants Gnomeとのボス戦、Mr. Slaveが登場する場面、Canadaのパートなどを印象的な例として挙げています。いずれも単に有名キャラクターを登場させるだけではなく、番組で培われた不条理さや下品さ、社会風刺をゲームのイベントとして機能させている点が特徴です。
原文筆者は、ゲームを遊んでいて腹を抱えるほど笑った経験はそれまでほとんどなかったとし、シンプルなターン制RPGの仕組みと、Parker氏およびStone氏のコメディが組み合わさったことで、約12時間のほぼすべてが印象に残るものになったとしています。McCaffrey氏は2014年のレビューで本作に10点満点中9点を付け、現在でも「最も笑えるゲームは何か」と聞かれた場合の明確な答えだと語っています。
他のコメディゲームと比べても特別な存在
McCaffrey氏は、これまでにも多くの面白いゲームを遊んできたと説明しています。1990年代のLucasArtsによるポイント&クリックアドベンチャーでは、Monkey IslandシリーズやSam & Max Hit the Road、Full Throttleなどを挙げ、Saints Row: The Third、Portal 2、High on Lifeも印象に残る作品として紹介しています。
それでも、これらの作品は本作には及ばないというのが原文筆者の評価です。Parker氏とStone氏がゲームという媒体に示したコメディの手本であり、単に番組の知名度に支えられた作品ではなく、ゲームとしても強く記憶に残る作品だと位置づけています。2人が引き続き関わった続編South Park: The Fractured But Wholeについても触れていますが、McCaffrey氏は続編でさえ同じような勢いには届かなかったとしています。
現在遊ぶ価値は失われていない
原文筆者は、まだ本作を遊んでいない読者に向けて、今からでも遅くないと勧めています。アニメの画面を再現したビジュアルは時間が経っても印象が変わりにくく、約12時間という長さも、長大なRPGに取り組むほどの時間がない人にとって手に取りやすい要素です。番組のファンであれば、キャラクターや舞台の再現を楽しみながら、まとまったひとつの冒険を体験できます。
McCaffrey氏は、サウスパークを生み出した2人の創作性と、Obsidianのゲーム制作およびRPGの専門知識が噛み合ったことが成功につながったと説明しています。THQの破綻によって一度は先行きが不透明になった作品が、最終的に完成してクラシックとして残ったことも含め、本作はXboxの最初の25年を振り返るうえで、原文筆者にとって重要な記憶になっているとのことです。