『Orbitals』は80〜90年代アニメ愛に満ちた協力プレイ作品
2026年09月01日 | #レビュー | DualShockers
80〜90年代のアニメを思わせる映像と音楽を前面に押し出した、Switch 2向けの画面分割型協力アクションが登場しました。『Orbitals』は、2人で宇宙船を操縦しながらステージを攻略する週末向けの作品で、クリアまでの所要時間は6〜7時間ほどです。Hazelight作品ほど驚きに満ちた協力プレイには届かないものの、世界観への強いこだわりと終盤の盛り上がりが魅力と原文筆者は評価しています。
80〜90年代アニメへの強いこだわり
本作で最初に目を引くのは、徹底して作り込まれたアートです。開発を手がけるShapefarmは、80〜90年代のアニメに対する愛情を作品全体へ注ぎ込んでおり、登場人物のデザインや色使い、演出のひとつひとつから当時の作品への敬意が伝わります。主人公のマキとオムラをはじめとするキャラクターは、初めて見るデザインでありながら強い懐かしさを感じさせる仕上がりです。
アニメーション制作ではStudio Massketと協力しており、キャラクターの動きは24fpsまたは12fpsで表現されています。これは処理性能の問題ではなく、昔のアニメの見た目を再現するための意図的な演出です。ゲーム自体はSwitch 2上で非常にスムーズに動作するため、低いフレームレートも含めて明確なスタイル上の選択といえます。キャラクターがカクついているのではなく、手描きアニメーションのような独特のリズムを作るための表現です。
起動直後から流れるテーマ曲も大きな見どころです。歌唱を担当する鮎川麻弥は、機動戦士Ζガンダムなど80年代アニメにも参加した日本の歌手で、作品の方向性に合った力強いボーカルを披露しています。原文筆者はタイトル曲を非常に高く評価しており、その音楽的な魅力はゲーム全体に引き継がれているとしています。カットシーンの演出やフルボイスの芝居もアニメ作品らしさを後押しし、土曜の朝にテレビでアニメを見ているような感覚を味わえるとのことです。
キャラクターには、踊る、喜ぶ、待ちきれない様子を見せるといったリアクションを呼び出せるエモートホイールも用意されています。攻略に直接関係する機能ではありませんが、動きがかわいらしく、仲間とプレイしている時間を盛り上げる要素になっています。
一方で、アートの強い個性が視認性を下げる場面もあります。画面全体が特徴的な色彩とデザインで統一されているため、背景に紛れて見つけにくいオブジェクトがあり、目的地や操作対象の把握に迷うことがあります。世界観に合わせたクエストマーカーが、探している対象を覆い隠してしまうケースもあり、見た目として不自然に感じる場面があると原文筆者は指摘しています。
王道の宇宙冒険が終盤で大きく動く
物語は、マキとオムラが突然発生した宇宙嵐に巻き込まれ、師匠のトーゲンに救出される場面から始まります。その後、時間が経過し、2人は宇宙ステーション社会の中心的な存在へ成長しています。宇宙嵐によってステーションは小惑星に取り残され、周囲には空間の裂け目も発生しているため、住民たちはこのままでは次の嵐で壊滅する危機に置かれています。
マキとオムラはトーゲンと協力し、個人用の宇宙船で周辺宙域を探索します。新たな居住場所を探すだけでなく、現在のステーションを修理・強化し、次に襲来する宇宙嵐へ備えることが主な目的です。序盤から中盤にかけては、こうした設定を軸にした比較的オーソドックスなレトロSFアニメ風の冒険が続きます。
ストーリーの導入や世界観は十分に機能しているものの、物語が特に印象的な展開へ進むまでには少し時間がかかります。原文筆者は、途中に標準的であまり興味を引かれない区間があるとしながらも、終盤には物語が大きく動き、最後には美しく感情的な形で締めくくられると説明しています。序盤の展開だけで判断せず、最後までプレイすることで、本作が目指した物語の魅力が見えてくる構成です。
カットシーンは美しく、登場人物の演技も当時のアニメ作品を意識したものになっています。英語、日本語、簡体字中国語、フランス語、スペイン語、ラテンアメリカ・スペイン語、ドイツ語、ブラジル・ポルトガル語では、フルボイスの言語オプションが用意されています。多言語の音声に対応し、幅広い地域のプレイヤーが作品を本来の形で楽しめるようにしている点は、原文筆者が評価している部分です。
2人で役割を分担する協力アクション
ゲームプレイの中心は、3人称視点と画面分割を組み合わせた2人協力アクションです。マキとオムラをそれぞれ操作し、足場を渡り、ギミックを動かし、道具を使い、会話しながら進行方法を考えます。1人では解けない仕掛けを2人の連携で突破するタイプのゲームデザインで、Split FictionやIt Takes Twoをはじめとする近年の協力プレイ作品を思わせる構成です。
2人はレーザーキャノン、グラップリングフック、水鉄砲などのガジェットを使い分けます。各ガジェットには通常の能力と別の射撃・使用方法があり、ステージごとの状況に応じて活用します。ステージ開始前に使用するガジェットをプレイヤー側で選べる点は特徴で、ゲーム側から一方的に装備を指定される作品とは違い、2人で相談して攻略方針を決められます。
パズルはおおむね楽しみながら取り組めるものの、仕組み自体は他作品でも見られるタイプが中心です。SFらしい装置や舞台設定によって本作の雰囲気には合っていますが、「こんな方法を思いつくのか」と驚くような独創的な仕掛けは、Hazelight作品と比べると少ないと原文筆者は評しています。協力して答えを探す楽しさはある一方、ジャンル最高峰の創造性を期待すると物足りなさが残ります。
ヒントの出し方にも癖があります。マキとオムラは、プレイヤーが試す前に「これを使えば、あれとこれが起こるのでは」といった内容をすぐ口にすることが多く、考える余地を奪われたように感じられる場面があります。反対に、ヒントが欲しい場面では、長く止まっていても何も示されないことがあり、提示のバランスは安定していません。
宇宙船パートと寄り道要素
全体のゲームプレイは、宇宙船を移動させるパートと、地上でステージを進むパートに分かれています。原文筆者の体感では、およそ35%が宇宙船内での操縦や砲撃、残りの65%が地上ステージです。宇宙船では1人が操縦席を担当し、もう1人が砲台を操作します。2人で役割を分ける場面は楽しいものの、片方がA地点からB地点まで船を飛ばしているあいだ、もう片方が何もすることがない区間もあります。協力ゲームとしては、この待ち時間に違和感が残ります。
ステージへ向かう流れも、繰り返しが目立ちます。宇宙船に乗り、担当の操作席へ移動し、ステージへ飛び、ガジェットを入手し、エアロックから外へ出て、別のエアロックまで進み、ステージをクリアして帰るという手順が何度も続きます。仕組みそのものに問題があるわけではありませんが、6回目や7回目あたりで同じクエスト表示が出ると、冗長さを感じやすくなります。
ただし、終盤約25%の内容は明確に盛り上がります。仕掛けはより創造的で難しくなり、展開も勢いを増して、最後まで楽しくプレイできる構成です。ゲーム全体を通して最高のゲームプレイが終盤に集約されており、途中で感じる反復感を終盤の充実が補っています。
ステージには隠し通路や任意エリアも用意されています。探索の見返りとして、宇宙船内にミニゲームの部屋を追加でき、帰還後に2人で遊べます。レーザー光線を使った大縄跳び、レーザータグ、対戦型のAsteroidsなどがあり、宇宙船には勝敗や記録を競うためのリーダーボードも設置されています。ストーリーを進めるだけでなく、協力相手と寄り道して競い合える設計です。
NPCやミニゲームが作る生活感
宇宙船と共同体のステーションには、射撃のタイミングを競う練習場や、アーケードのパンチングマシンのように威力を試す標的など、すぐに遊べるインタラクティブ要素があります。これらは大規模な追加コンテンツではありませんが、ミッションの合間に触れられるため、拠点を単なる移動や準備の場所にしていません。
ステーション内には、会話できるNPCや細かなアニメーション、探索できる部屋も存在します。各ステージでは新たな異星生物と出会い、クリア後にはその生物が宇宙船へやって来ます。進行するほど船内の顔ぶれが増え、拠点が少しずつにぎやかになっていく仕組みです。
マキが眠っている住民の顔にひげを描いたり、オムラが歩き回るかわいい猫を抱き上げて話しかけたりする場面もあります。こうした小さなやり取りは攻略に必要ではありませんが、世界が実際に暮らされている場所だと感じさせます。原文筆者は、NPCの反応や何気ない遊びの積み重ねから、開発チームの作品への愛情が伝わってくるとしています。
本作は、Hazelightが築いた協力アクションの最高水準にまでは達していません。プレイの一部には繰り返しがあり、ヒントが過剰な場面と不足する場面が混在し、アートの美しさが目的物の見つけにくさにつながることもあります。それでも、80〜90年代アニメを再現した映像と音楽、細部まで生命感を与えた世界、そして終盤の強い盛り上がりは確かな魅力です。Switch 2で友人や家族と週末に遊ぶ協力ゲームとして、原文筆者は本作を十分に楽しめる1本と結論づけています。