← 最新記事一覧

『NBA 2K7』でNvidiaのDLSS 5が明日対応もフレームレート低下の懸念

2026年09月03日 | #発売情報 | Eurogamer

『NBA 2K7』でNvidiaのDLSS 5が明日対応もフレームレート低下の懸念

Nvidiaが、生成AIでゲーム映像のライティングや素材表現を変化させるDLSS 5を、対応タイトル1本に限定して提供します。対象となるのは『NBA 2K7』で、GeForce RTX 50シリーズのGPUやノートPC、GeForce Nowが利用条件です。画質向上を狙った新技術である一方、実際のフレームレートを大きく圧迫する可能性が報じられています。

DLSS 5は既存の映像にAIで描画を加える技術

DLSS 5の中核にあるのが、Nvidiaが「ニューラルレンダリング」と呼ぶ仕組みです。従来のDLSSは、ゲームエンジンが出力した映像をもとに高解像度化したり、追加フレームを生成したり、レイトレーシングによる照明をきれいに見せたりすることが主な役割でした。今回の技術はそこから踏み込み、リアルタイム処理の負荷を理由に簡略化されていたライティングやマテリアルのディテールを、AIによって生成するとしています。

Nvidiaによると、DLSS 5はテキスト入力から映像を作るのではなく、ゲームエンジンがレンダリングしたフレームを基礎にします。そこには開発者が設計したジオメトリ、テクスチャ、ライティング用のデータが含まれており、AIはそれを無視して自由に画面を書き換えるわけではないとのことです。ゲームエンジンのフレームを描画パイプラインの土台として維持し、そのうえで現実的な光や素材感を加えることで、開発者が意図したビジュアルを保ちながら表現力を高める仕組みだと説明しています。

対応ドライバーは米国時間の木曜夜9時(PDT)に配信され、英国時間では金曜早朝5時になるとされています。利用できるのはGeForce RTX 50シリーズのグラフィックスカード、同シリーズを搭載するノートPC、そしてGeForce Nowです。Nvidiaは、今回の提供がDLSS 5の最初の対応例になると案内しています。

キャラクターの顔が変わる問題で批判も

DLSS 5をめぐっては、技術の仕組みそのものだけでなく、AIが作品の見た目をどこまで変更してよいのかという問題も注目されています。Nvidiaが今年前半に公開した紹介画像では、Resident Evil Requiemの主人公Grace Ashcroftにニューラルレンダリングを適用した例が示されました。しかし、その顔立ちは元の表現から目立って変化しており、必ずしも改善とは受け取られませんでした。

SNSでは、顔を人工的に美化する加工を指す表現になぞらえ、「yassifying」しているとの批判が相次いだと原文筆者は説明しています。これは、AIがライティングや素材の質感だけでなく、キャラクターの顔つきや個性にまで影響を及ぼすのではないかという懸念につながりました。開発者が意図した造形を豊かにする技術として紹介された一方で、その「意図」がAIによる変更で損なわれる可能性も指摘された形です。

発売前の週末には、DLSS 5を使って複数のゲームキャラクターの顔を変化させた映像や画像が流出しました。Mod制作者がRemedyのControlで技術を試したほか、別の作品でも実験が行われたとされていますが、記事中では作品名がすべて明示されていません。原文筆者は、そのなかでGeraltの顔がかなり年老いて見える例にも触れています。

Nvidiaは最新のブログで、より控えめな比較画像を使いながらニューラルレンダリングの工程を説明しました。同時に、作品の芸術的な意図を保つことや、開発者とプレイヤーが適用範囲を調整できることを強調しています。DLSS 5を少しだけ使うことも、強く適用することも、完全に無効化することも可能で、利用者が機能をオフにする選択肢も用意されます。『NBA 2K7』の比較画像では、Cade CunninghamとTyrese Haliburtonの映像に、より現実的に見えるライティングが施された例が紹介されています。

画質向上の代償として性能低下か

もう1つの大きな論点は、DLSS 5を有効にした場合の処理性能です。従来のDLSSはパフォーマンス向上を強く意識した技術でしたが、今回の機能はフレームレートを大幅に下げるように見えると報じられています。Nvidiaのブログに掲載されたグラフは高いフレームレートを示しているものの、そこには6倍のマルチフレーム生成を適用した数値が使われているとのことです。表示された数字をそのまま実際の描画性能と受け取ることはできず、6倍分を差し引いて考える必要があります。

PC Gamerが指摘した数値によると、高性能な構成でGeForce RTX 5060を使った場合でも、1080p・Ultra設定の『NBA 2K7』は43FPSにとどまります。最上位のGeForce RTX 5090でも、4K・Ultra設定では60FPSをわずかに超える程度とされています。高解像度と最高設定で、AIによるライティングや素材表現を同時に利用するには、GPUの性能だけでなく設定とのバランスも問題になりそうです。

Nvidiaは半年で5倍の性能向上を主張

Nvidiaは、DLSS 5の発表時点では動作にGeForce RTX 5090を2枚必要としていたものの、現在は1枚のグラフィックスカードで利用できるようになったと説明しています。同社によれば、3月の初回発表から6カ月で性能は5倍に向上し、GeForce RTX 50シリーズのデスクトップ向けGPUとノートPC向けGPU全体で利用可能になったとのことです。

さらにNvidiaは、最適化の進展が止まったわけではなく、秋に予定しているモデル更新によって現在の基準を上回る性能を目指すとしています。10年以上にわたるDLSSの知見をもとに、性能と画質の両方を引き続き改善する方針です。手作業で作り込まれた描画とニューラルグラフィックスを組み合わせ、リアルタイム映像の表現力を大きく引き上げながら、アーティストが創作をコントロールできる状態を維持することが、Nvidiaの掲げる方向性です。