『Brütal Legend』続編のクラウドファンディング目標に疑問符、初代を超える再現は困難か
Double Fineが進める新たなAmnesia Fortnightのゲームジャム企画では、クラウドファンディングのストレッチゴールとしてBrütal Legend 2の制作が掲げられています。ファンの支持を集める続編構想は大きな注目を浴びていますが、原文筆者は「初代を超える続編が本当に必要なのか」と疑問を投げかけています。独自性と危うさで成立していた作品だけに、続編が安全策に寄れば、その魅力を損なう可能性があるという見方です。
続編制作の目標が示すもの
今回のストレッチゴールは、Double Fineの次回Amnesia Fortnightに関連する企画として示されたものです。目標が達成されれば、スタジオはBrütal Legend 2を制作することになります。原文では、この目標について冗談なのか挑戦状なのか判断しにくいものだとしつつ、新しいゲームが作られることや、ファンが思い入れのあるIPを支援する動き自体は歓迎しています。
一方で、原文筆者は続編の可能性に注目が集まることで、より重要な点が見えにくくなっていると指摘します。すでに完成度の高い「理想のBrütal Legend」が存在するなら、同じ名前の新作を作る必要があるのか。ファンが本当に望んでいるのは続編なのか。それとも、実現が難しい目標を追いかけるより、初代をもう一度遊ぶほうが望ましい結果なのか、という問いです。
独特の世界観と、初代だけの勢い
本作はWindows PCとXbox Series Xでプレイできる作品で、ジャック・ブラック演じる主人公エディ・リッグスが、1980年代のヘヴィメタルのアルバムジャケットを思わせる異世界に迷い込みます。山肌にアンプが組み込まれ、木々の葉の代わりにタイヤが生い茂り、巨大な剣が地面にオベリスクのように突き立つ世界です。Double Fineの創設者でクリエイティブディレクターでもあるティム・シェーファーは、ゲーム内の広さをおよそ64平方マイルと見積もっていました。
エディはSeparatorと呼ばれる斧や、フライングV型ギターのClementineを使って戦います。さらに「Anvil of Burden」「Bring it On Home」「Face Melter」といった能力も駆使し、アクションだけでなくリアルタイムストラテジーの要素もこなします。原文筆者はその組み合わせを、School of Rockや、現在は閉鎖されたRock’n’Roller Coaster Starring Aerosmith、KISS関連の奇抜なコラボレーション、そして2000年のリアルタイムストラテジー作品Sacrificeを混ぜ合わせたようなものと表現しています。
発想だけを見れば、まとまりを欠いていてもおかしくない企画です。それでも本作が成立したのは、メタルへの明確な敬意と、細部まで作り込まれた世界観があったからだと原文筆者は分析しています。主人公側のIronheadeから、敵役ドヴィキュラス率いるTainted Coilまで、各勢力はユニットのデザインに至るまで異なる美術と音楽の個性を持っています。
音楽面でも、Ironheadeのゲーム内リフに使われる実際のギターソロをJudas Priestのグレン・ティプトンが録音し、同じバンドのK.K.ダウニングがDrowning DoomとTainted Coilのためのソロを担当しました。企画の奇妙さを隠すのではなく、むしろその奇妙さを全力で押し通したことが、初代の強みになっています。
豪華キャストと音楽の再現は可能か
続編で初代と同じ規模のキャストをそろえられるかも、大きな課題です。本作ではオジー・オズボーンがGuardian of Metal、レミー・キルミスターがKill Master、ロブ・ハルフォードがGeneral Lionwhyteを演じ、ティム・カリーがTainted Coilの皇帝ドヴィキュラスに声を当てています。特にドヴィキュラスの耳をつんざくような絶叫や金切り声は、続編で上回るのがほとんど不可能に近い存在として描かれました。
サウンドトラックも、本作を象徴する要素です。Motörhead、Dimmu Borgir、Judas Priestなどの楽曲が収録され、物語の展開と強く結び付いています。原文では具体例として、城がThrough the Fire and the Flamesに合わせて崩壊し、最終決戦がPainkillerを背景に展開する場面に触れています。楽曲を並べただけではなく、音楽を愛する開発チームが、自分たちの感じた高揚感をプレイヤーにも体験させようとして、曲と物語を一体化させた構成です。
原文筆者は、こうしたキャストと音楽、そしてコンセプトの組み合わせを「二度と再現できない奇跡」のようなものと見ています。続編が同じ勢いを持てなければ、初代の魅力を薄めるだけになるかもしれません。反対に、まったく同じものを再現しようとすれば、ファンサービスに偏った作品や、前作と似ているだけの作品になる危険もあります。
Double Fine作品のなかでも異質な存在
原文筆者は、Double Fineには魅力的なゲームが多いものの、ここまで無謀で、ひとつの趣向に徹底して取り組んだ作品はほかにないと説明しています。2005年のプラットフォームゲームPsychonautsは高く評価されている一方、舞台はひとつのサマーキャンプや、ひとりの子どもの頭の中など、比較的限定された範囲に収まっています。
2010年のハロウィンを題材にしたモンスター退治ゲームCostume Questや、入れ子人形を使ったパズルゲームStackingも、短期間のゲームジャムから生まれた作品らしい、かわいらしく控えめな規模のゲームです。Psychonauts 2についても、スタジオでも特に洗練された作品のひとつであり、単体のゲームとしては優れていますが、既知の公式を丁寧に実行した作品で、危険を冒す感覚は薄いと評されています。
それに対して本作は、失敗する可能性を十分に抱えたまま企画を通した作品でした。実際、商業的には失敗しています。それでも、メタルを題材にしたオープンワールドとリアルタイムストラテジーを組み合わせるという、成功する保証のないアイデアに挑戦しました。原文筆者は、その無謀さこそが本作にとって最もメタルらしい部分のひとつだったと捉えています。
だからこそ、続編を作るために大規模なクラウドファンディングの予算を必要とする状況には、皮肉も感じられます。先に集めた資金が失敗を防ぐ安全網になるなら、それは初代が持っていた「外れるかもしれないが、それでもやる」という姿勢とは異なるからです。
評価が割れても忘れられないゲーム
本作が純粋に優れたゲームなのかについては、発売から長い年月が過ぎても意見が分かれています。リアルタイムストラテジーの仕組みを嫌う人がいる一方、欠点を認めながらも人生で最も好きなゲームのひとつに挙げる人もいます。なかには、作品への反発心だけで最後まで遊ばされたように感じたというレビューもあり、評価の振れ幅は極端です。
しかし、発売から10年以上が経っても活発な議論が続き、今回のキックスターターをめぐってもファンが大勢集まり、支援や批判の声を上げていることは、本作が無難な枠に収まらない作品だった証拠だと原文筆者は述べています。完璧ではなくても、奇妙で、忘れにくく、強く愛される。その相反する性質こそが本作の個性です。
原文筆者が望んでいるのは、初代を薄めたような安全な続編ではありません。忘れられる作品や、過剰なファンサービスに終わる作品、前作のアイデアを少し整えただけの作品ではなく、同じように荒々しく、危うく、単発でも構わない新しいアイデアです。続編のストレッチゴールが支持を集め、実現に近づくかはまだ分かりませんが、原文筆者は続編を待つよりも、初代を再び遊ぶ道を選んでいます。賛成であれ反対であれ、これほど長く大声で語られるメタル系ストラテジーゲームは、今後も簡単には現れないだろうというのが、その理由です。