『NHL 27』はフランチャイズモードが最良でもフルプライスに見合わない
2026年09月04日 | #レビュー | DualShockers
EA Sportsの新作ホッケーゲーム『NHL 27』は、シリーズの魅力を引き出せる場面がありながら、操作の複雑さと全体的な作り込み不足が大きく足を引っ張っています。フランチャイズモードやBe A Proは本作の中でも特に楽しめる要素ですが、それでも原文筆者は購入を急ぐ理由にならないと評価しています。現状では、セールを待つべき作品です。
中途半端な演出がゲーム全体の印象を損なう
本作は、試合前の導入演出やリプレイ、選手・コーチのリアクションなど、テレビ中継を意識したプレゼンテーションを大きな新要素として打ち出しています。実況にはESPNのJohn Buccigross氏とDarren Pang氏を起用し、過去作で問題になっていた実況の単調さを改善する狙いもありました。アリーナの観客を盛り上げ、フェイスオフ前の空気を作る試合開始演出は、実際に一定の効果を上げています。選手がリンクへ登場する場面や観客の歓声からは、現地でNHLの試合を観戦しているような雰囲気を感じられるとのことです。
しかし、原文筆者は本作の演出が期待されたほど機能していないと指摘しています。試合中に同じアニメーションが何度も繰り返され、Darren Pang氏が重要とは言い難い局面を大げさに扱う場面も多いそうです。John Buccigross氏の実況も、試合の状況を正確に捉えられていないことがあり、演出を新鮮にするどころか、繰り返しの目立つ要因になっています。新しい実況陣の起用そのものは好意的に受け止められている一方、内容と頻度の調整が不十分です。
フランチャイズモードでは、試合以外の画面も放送番組のように見せようとしていますが、グラフィックは洗練されておらず、UIには不具合が残っています。たとえば、氷上でプレイしている最中にカットシーンをスキップするための表示が現れることがあると、原文筆者は報告しています。選手やコーチ、観客の顔も、現行世代のほかのスポーツゲームと比べて生気に乏しく、古いゲームエンジンで動いているように感じる場面があるとのことです。
操作は奥深いが初心者を受け入れる準備が足りない
試合の操作について、原文筆者は「複雑」という言葉を繰り返し使っています。仕組みを理解できたときには、パックを動かしながら相手のフォアチェックをかわし、ゴールキーパーをデケで翻弄するプレイに手応えがあるそうです。ただし、そこへ到達するまでの導線が弱く、気持ちよくプレイできる時間は限られています。
特に問題なのは、初心者向けのトレーニングが十分に用意されていない点です。プレイヤー1人でゴールキーパーと対峙するフリースケートや、スクリメージ形式のドリル、頭上に表示される操作ヒントは用意されています。しかし、ゲームの基本から段階的に学べるチュートリアルとは言いにくく、長くシリーズから離れていたプレイヤーが自然に復帰できる構成にはなっていません。原文筆者は、久しぶりに触れたWWEやMaddenでは基本操作を学ぶためのサポートが整っていたのに対し、本作はその正反対だと比較しています。
操作方式にも、シミュレーションとアーケードのどちらを目指しているのかがはっきりしない問題があるとしています。右スティックを積極的に使ったスティックハンドリングは、本作で効果的なプレイのひとつです。守備をかわし、ゴールキーパーの逆を突くためには欠かせませんが、攻撃ゾーンで右スティックが上下に少し動いただけでも、意図していないシュートが出てしまいます。パックを細かく扱いたい場面でシュートに化けるため、操作の自由度よりも誤入力への不満が先に立ちます。
一方、パスは本作の中で比較的うまく機能しています。味方とのパスをつなぎ続ければ、相手チームとゴールキーパーのスタミナを削りながら、パスコースを作れます。相手の守備が崩れたところで角度のよいシュートを狙ったり、味方をゴール前に配置して視界を遮ったりすることで、ホッケーらしい組み立てが可能です。左スティックでシュートの方向を狙う要素も含め、攻撃の考え方自体には納得できる部分があります。
ただし、そうした戦略を実行するための操作が扱いづらく、プレイの流れを頻繁に止めます。原文筆者は、パスを軸に相手を消耗させる展開にはゲームらしい面白さがあると認めながら、その良さを引き出すまでに余計な苦労を強いられると見ています。さらに、試合のテンポはやや急ぎ足で、20分のピリオドを実際には3〜5分程度で進める設計になっているため、落ち着いて試合を組み立てたい感覚ともずれがあるそうです。ゴールキーパーも強すぎる印象があり、シュートの結果に納得しにくい場面があります。
最も遊べるモードにもシリーズの弱点が残る
本作の長所として、原文筆者は収録されているリーグの多さとモードの厚みを挙げています。国内リーグだけでなく国際リーグも用意されており、単純に遊べる舞台の幅は広いとのことです。大量の新モードで驚かせるタイプではありませんが、ホッケーをさまざまな形で楽しみたいプレイヤーに向けた土台はあります。
Be A Proでは、World Juniors Tournamentへの参加からキャリアを始め、選手として出世していく流れを楽しめます。自分の選手を育てながら競技の階段を上っていくモードとしては魅力があり、フランチャイズモードと並んで本作で特に遊びやすい要素です。ただし、ここでも画面やシステムの仕上げに不足があり、ジャンル全体の基準と比べると物足りなさが残ると評価されています。
フランチャイズモードは、本作で最も満足度の高い遊び方です。チームのロスター構築からスタジアムのアップグレードまでを管理でき、チームのプレイブックや戦術にも関与できます。今作で追加された変更点のなかでは、試合中にコーチング戦略を切り替える仕組みが特に目立ちます。シーズンを通してチームに関わるため、試合の結果や選手の成長に対する思い入れが生まれやすく、原文筆者もほかのモードよりこのモードで試合をプレイすることを好んでいます。
しかし、フランチャイズモードでも操作の不満や試合テンポの問題、強すぎるゴールキーパーは解消されません。ペナルティキル中のチームが攻撃を仕掛けようとする動きに違和感があり、シュートアウトの結果もランダムに感じられると、原文筆者は疑問を呈しています。最も楽しめるモードが存在することと、ゲームの基礎部分が満足できることは別であり、後者が弱いため継続して遊びたい気持ちが削がれてしまいます。
毎年の更新では解決しにくい根本的な問題
原文筆者は、近年のシリーズが繰り返し期待を裏切ってきたと述べています。NHL '94のような過去の名作と単純に比べているわけではありませんが、2010年代前半のシリーズには、リアルな感触とアーケード的な遊びやすさを両立した魅力があったと振り返っています。当時は、操作を理解するために長時間トレーニングへこもらなくても、試合を始めて楽しめるバランスがありました。本作にはその感覚が欠けています。
開発を担当するEA Vancouverに努力がなかったわけではありません。今作ではプレゼンテーションの強化に重点が置かれており、試合開始前の演出などは、方向性としては悪くない取り組みです。ただし、年間リリースのスポーツゲームでは、短い開発期間のなかで壊れたシステムを全面的に作り直すのは難しいと原文筆者も理解を示しています。そのうえで、今回の変更はシリーズの根本問題を解決するほどのものではなく、演出面も期待された水準の磨き込みに届いていないとしています。
本作の問題は、ひとつのモードや一部の不具合に限定されません。操作は複雑で、試合のペースは急ぎ足、ゴールキーパーは強く、状況によってはルールに沿った自然な判断をしないチームの動きも見られます。シュートアウトが運任せに感じられることも含め、プレイヤーが上達や工夫によって結果を動かしているという感覚を弱めています。うまく流れに乗れた瞬間には面白さがあるものの、何かが定期的にその流れを断ち切るため、長時間プレイする動機が続きません。
原文筆者は、本作がシリーズの核を一から作り直す必要がある段階に来ていると考えています。フランチャイズモードとBe A Pro、改善を目指した実況、パスを中心とした攻撃の組み立てには評価できる部分があります。それでも、全体の完成度と価格に見合う価値が不足しており、弱いスポーツゲームにも見つかるような「また戻ってきたい要素」を本作には感じられなかったとのことです。スケートで氷上に立ちたいプレイヤーであっても、購入するならセールを待つのが無難でしょう。