『NHL 27』はプレイ感覚を磨く一方で新モードの完成度に課題を残す
2026年09月11日 | #レビュー | Game Informer
EA Vancouverのホッケーゲーム最新作『NHL 27』は、スケーティングやパス回しといった氷上の基本部分を大きく洗練させました。一方で、過去作を思わせる要素を再構成した新モードや演出は、十分な発展を見せていません。原文筆者は、シリーズの基礎がかつてないほど良くなった一方、革新性と仕上げの不足によって、作品全体が方向性を見失っていると評価しています。
氷上の操作性はシリーズ屈指の仕上がり
本作で最も評価できるのは、選手を動かしているときの手触りです。前作で導入されたIce-Q 2.0は、NHL Edgeのデータをもとに、選手ごとの最高速度やシュート力、ポジショニングなどを差別化していました。今回はそこにモーション面の調整が加わり、選手の個性が動きとして表れやすくなっています。
パス操作も直感的になり、ダンプインの角度やサイクル攻撃が、ボード際でのピン、ポークチェック、スティックリフト、守備側の状況判断に対抗しやすくなりました。攻撃側は単純に中央へパスを出すだけでなく、相手の守備配置を見ながらボードを使って前進できます。オンライン、オフラインのどちらでも、ニュートラルゾーンの流れは過去作より滑らかです。
接触プレーは以前ほど無謀ではなく、AIの判断も改善されています。その結果、左トリガーを利用した従来の癖に頼らず、プレイヤーの工夫で攻撃を組み立てられるようになりました。移動性能やソーサーパスを高めるX-Factor能力の重要性が増し、単純なファイター中心の戦術よりも、機動力を生かす構成が有効になっています。
ゴールキーパーの反応速度も全体的に優秀です。ブレイクアウェイや2対1では積極的に対応し、エース級の守護神はセットプレーやワンタイマーにも鋭く反応します。ただし、クリーズ周辺での位置取りに関する判断は依然として弱く、ゴール前での状況認識には明確な問題が残っています。
チーム別戦術は魅力的だが、試合中に違いが出にくい
全チームに固有のプレイブックが追加され、現実のポジショニングデータをもとに、戦術やプレッシャーに対する反応を変える仕組みが導入されました。ポゼッション重視のゾーンエントリー、スロットを守るために身体を使う守備、ゴール前に混乱を生み出す速いフォアチェックなど、チームごとに異なる戦術的アイデンティティが設定されています。
しかし、原文筆者はこの違いが実際の試合ではほとんど認識できないと指摘しています。CPUの味方選手は、フェイスオフに勝ったあとも特定のフォーメーションを維持したり、状況に応じて積極的にピンチしたりすることが少ないためです。設定としては魅力的でも、プレイ中の挙動が追いついていません。
さらに、プレイブックの固有戦術はオンラインの対戦モードで編集できません。「自分のやり方でプレイする」という方向性とは相反しており、ブレイクアウトの形式を選んだり、ライバルとの試合で状況に応じた変化を組み合わせたりする自由を制限しています。ラインがサイクルを続けるのか、シュートを優先するのかも、チームごとの設定に左右されます。
そのため、ニューヨーク・アイランダーズやデトロイト・レッドウィングスのような守備的なチームは、プレッシャーをかけ続けるカロライナ・ハリケーンズやフィラデルフィア・フライヤーズと比べて、試合展開が単調に感じられます。チーム差を生む試みそのものは正しいものの、カスタマイズ性との両立には失敗しています。
アリーナ演出と実況は刷新されたが粗さも目立つ
32のNHLアリーナは、固有の照明システム、実在するジャンボトロン映像、ライセンスされたゴールソングによって再構築されました。従来のシリーズが持っていたパンク寄りの楽曲から方向性を変えた点も含め、フランチャイズモードを長く遊ぶプレイヤーや、モントリオールのベル・センター、ナッシュビルのブリヂストン・アリーナを知るファンにとっては、雰囲気を味わえる強化です。
ただし、チーム紹介の演出は全チームで同じ内容になっています。選手のトンネルウォークやロッカールームの様子は描かれず、フィラデルフィア・フライヤーズのマスコット、グリッティが強烈な視線を送るような、チーム固有の見せ場もありません。アリーナの個性を押し出すなら、試合開始前の演出にもさらなる差別化が必要でした。
実況陣はJames CybulskiとCheryl Pounderから、ESPNのJohn BuccigrossとTNTのDarren Pangへ交代しています。新しい掛け合い自体は用意されていますが、実況データベースの拡張には生成AIが使われています。原文筆者によれば、古い言い回しが突然登場したり、選手名の発音が大きく間違っていたりする場面が頻発し、AI生成の音声が新キャスターの印象を損なっています。スポーツゲームの実況素材を複数作にわたって増やしていく事情は理解できるものの、今回の仕上がりは目立つ欠点になっています。
復活したモードは期待に応えきれない
過去作で人気を集めたGM Connectedは、最大32チームをユーザーが操作できるConnected Franchiseとして復活しました。ロスターやサラリーを調整しながら、プレイヤー同士でひとつのホッケー世界を作るソーシャル志向のモードです。大規模なリーグを運営したいプレイヤーには魅力がありますが、オフシーズンの成長要素がなく、モードとしての長期的な発展性に欠けます。
少人数のフレンド同士がCPUチームと対戦する仕組みも用意されていません。そのため、プレイヤー同士で遊ぶには82試合のフルシーズンを進める必要があり、同じ3チームとの対戦を延々と繰り返す展開になりかねません。気軽に遊びたいグループにとっては、楽しさよりも消耗が先に立つ設計です。
Be A Proはチームキャプテンの立場に焦点を当てて再登場し、Hockey Ultimate Teamは前作で始まったランク戦やライン編成を拡張しています。一方、World Of CHELはシリーズ内で浮いた存在になっており、ユーザーのインベントリを再利用する構造から抜け出せていません。各モードに手が入ってはいるものの、既存要素を再配置した印象が強く、新しい遊びを提示するには至っていません。
シリーズの次の一歩には届かない
本作は、フランチャイズにとって大きな飛躍を目指す年というより、既存要素をつなぎ直す年になっています。モードや没入感の基礎を革新する代わりに、冬季アップデートと呼ぶにも物足りない規模の変更を、正式な続編として提示しているように見えます。
氷上の操作は明確に向上しており、選手ごとの動き、パス回し、ニュートラルゾーンのテンポは本作の強みです。しかし、不正確なフェイススキャン、画一的なキャラクター作成システム、能力値に関係なくスケーターがバックハンドでパスを受けたがる挙動など、細部には未完成な部分が残っています。
原文筆者は、試合後にHall & Oatesが流れるような雰囲気だけでは、シリーズを前進させるには不十分だと結論づけています。基本プレイはこれまで以上に良くなったものの、モードの深さ、AIの一貫性、実況の品質、そして新しい発想のいずれもが、もう一段の磨き上げを必要としています。