← 最新記事一覧

『Shroom and Gloom』は2つのデッキで挑む一人称ローグライクカードゲーム

2026年09月07日 | #発売情報 | Polygon

『Shroom and Gloom』は2つのデッキで挑む一人称ローグライクカードゲーム

カードデッキ構築型ローグライクに一人称アクションとパンク調の手描きアートを組み合わせた『Shroom and Gloom』が、9月10日に早期アクセスを開始します。プレイヤーは菌類に侵食された地下ダンジョンを進みながら、探索用と戦闘用の2つのデッキを使い分けます。多数の同ジャンル作品が存在するなか、本作が特に注目を集めている理由は、ゲームシステムだけでなく、画面の隅々まで徹底された独特のビジュアルにあります。

2つのデッキで地下ダンジョンを進む構造

本作の舞台は、火の明かりに照らされた地下ダンジョンです。内部には菌糸に覆われた通路が広がり、プレイヤーは道を選びながら、最深部にあるGloomを目指します。探索では移動や進路の選択に関わるデッキを使い、道中で遭遇するモンスターとの戦闘では、別に用意された戦闘用デッキを使用する仕組みです。

開発チームのTeam Lazerbeamは、カードデッキ構築型ローグライクの要素を一人称視点で体験できるゲームを、企画の最初から目指していたとしています。カードを画面上のメニューとして選ぶのではなく、実際に手元へ持ち、世界へ投げ込んで効果を発動するような感覚が中核にあります。また、「カードにできるものはすべてカードにする」という方針も、初期段階から一貫していたとのことです。

進行に応じてキャラクターやカード、追加のアート要素などがアンロックされます。当初はより簡素な内容を想定していましたが、デモ版を遊んだプレイヤーから予想以上の反応が寄せられ、より深いゲーム性が求められていることが分かったため、キャラクターなどの要素を追加したとTeam Lazerbeamは説明しています。プレイヤーが本作の設定や物語にも関心を示したことから、ゲームの背景にある世界観も当初の想定より重要な要素になりました。

デモと試作を重ねてゲームの核を固める

完成形へ至るまでには、複数の段階がありました。最初は一人称視点をテーマにした7日間のゲームジャムで、基本となるアイデアを試しています。その後、1カ月にわたるアートテストで、ゲームジャムで生まれたビジュアルをどこまで発展させられるかを検証しました。

さらに2年前のプロトタイプでは、ゲームジャムとアートテストで得た知見を3カ月かけて組み合わせ、企画の本質を見極めています。こうした段階的な開発と、公開デモに寄せられたプレイヤーの反応が、その後の方向性を決めるうえで重要だったとのことです。ケープタウンのゲーム開発者コミュニティで行われた交流会からも意見を集め、開発が行き詰まった際の判断材料にしていたと、ゲームデザインとアートを担当するBen Rausch氏は語っています。

原文筆者は、数あるメカニクスの工夫以上に、未知のエリアへ何度も挑戦し続けたくなる要因として、画面全体を埋め尽くす手描きアートを挙げています。カードゲームとアクションを組み合わせるだけでは似た作品が多いジャンルのなかで、敵やダンジョンの見せ方まで含めたアートの作り込みが、本作を際立たせる要素になっているようです。

3色の手描き素材を3D世界へ組み込む

アートディレクションの出発点には、Team Lazerbeamがもともと持っていた、手描きで、コミカルで、かわいらしく、少し不気味な表現があります。チームは過去の作品でも2Dの手描き要素を3D空間へ組み込んできましたが、ゲームジャムをきっかけに、一人称視点の3Dデッキ構築型ゲームへ本格的に取り組みました。

1カ月のアートテストでは、チームらしいパンク調の絵柄を、ゲーム全体の規模に広げられるかを検証しています。手描き素材を広大なゲーム世界のなかで実用的に扱うことは、単なる作画上の課題ではなく、技術面の問題解決でもありました。描画に使う色は白、黒、グレーの3色に限定し、色合いや変化、雰囲気はライティングで加えています。最終的な画面を構成する要素をすべて手で描く方針を、チームは開発を通じて維持してきました。

モンスターのデザインでは、落書きのような線を生かしつつ、個体ごとの性格や存在感を持たせることが重視されています。敵の代表例であるgraycapsについては、アートテストの段階で社会的な階層や文化内のタイプ、体表の質感、身体のバリエーション、世界のなかでの動き方まで検討しました。線の太さやアニメーションのスタイルも何度も試し、全体としてのルールを決めながら、それぞれのモンスターが固有の個性を持てる余地を残しています。

粘土模型と実物のキノコから生まれた敵たち

敵の一部は、2Dで描く前に3Dモデルや粘土模型として形にされました。初期のスケッチには、現実の重力下では立っていられないほど不安定な体型のモンスターもいたため、粘土で立体化することで、倒れずに存在できる体の比率を検証したといいます。その結果、多くの敵がずんぐりとした体つきになりました。模型は、2Dの絵へ落とし込む際に陰影や奥行きを確認する資料としても役立っています。

生物としてのキノコを観察する作業も、デザインの基礎になりました。チームは野外で見つけたキノコを大きさや種類にかかわらず撮影して共有し、自分たちで栽培キットを使って育てることもありました。さらに菌類学の本を資料として集め、食卓に並ぶ食材まで細かく観察したとしています。こうした実物の観察が、かわいらしさだけでなく、少し奇妙で不気味な印象を持つクリーチャーの造形につながっています。

ビジュアルがプレイを続けさせる仕掛けに

Team Lazerbeamは、アートがプレイヤーをゲームへ引き込み、ゲームプレイがその場にとどまらせる関係を目指していると説明しています。Ben Rausch氏は、チーム内にアニメーションや音楽を専門とするメンバーが多く、まず作品全体の雰囲気を作り、その雰囲気を支える形でゲームプレイを組み立てるのが自然な流れだとしています。

手描きの敵や3D空間のライティング、カードを使って戦う一人称視点の仕組みは、それぞれが独立した要素ではありません。探索と戦闘のシステムがプレイヤーを先へ進ませ、そこで出会う独特な敵や環境の表現が、次の挑戦への興味を生み出します。早期アクセスでは、2つのデッキを使う独自の構造と、数年にわたって磨かれた手描きアートが、どのような形で結び付くのかが見どころになりそうです。