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『Nintendo Switch』向けMIGカード販売にオランダ裁判所が差し止め命令

2026年09月12日 | #その他 | GamesRadar+

『Nintendo Switch』向けMIGカード販売にオランダ裁判所が差し止め命令

Nintendoのゲーム機向け改造デバイス「MIG Switch Cards」をめぐり、オランダの裁判所が販売業者に取り扱い停止を命じました。Nintendoは今回の判断について、同社だけでなく、正規販売に依存する世界中のゲーム開発者を守る結果になるとしています。一方で、こうした機器には海賊版利用だけでなく、ゲーム保存や自作ソフトの実行に関わる側面もあり、単純な違法コピー対策にとどまらない議論を呼びそうです。

オランダの販売業者に販売停止命令

今回の訴訟の対象となったのは、オランダのオンライン販売業者です。ハーグ地方裁判所はNintendo側の主張を認め、MIG Switch CardsおよびMIG Switch Dumpersの提供・販売を停止するよう命じました。対象となった販売サイトはr4switch.nl、ther4card.com、r4switch.co.ukです。

Nintendoによると、被告は一般に「ドロップシッピング」と呼ばれる配送方式を採用していました。欧州の消費者、オランダの消費者を対象とするウェブサイトで注文を受けた商品を、主に中国を含むアジアから購入者へ直接発送する仕組みです。Nintendoは、こうした販売方法そのものではなく、そこでセキュリティ回避機器を提供していた点が問題になったと説明しています。

裁判所は、MIG Switch CardsとMIG Switch DumpersがNintendoのゲーム機や正規のゲームソフトを保護するセキュリティ対策を回避する目的を持つ機器だと判断しました。そのうえで、認証されていないゲームのコピーを実行可能にする商品を販売したことは違法であり、Nintendoの著作権を侵害するものだと認定しています。

MIG製品の仕組みと著作権侵害の判断

MIG Switch Dumperは、所有しているゲームカードからデータを読み出し、バックアップを作成するための機器として販売されています。MIG Switch Cardは、そのバックアップデータを改造していないゲーム機上で起動するためのフラッシュカートリッジです。製品側は、購入済みソフトのバックアップや個人利用を想定した機能を掲げてきました。

ただし、バックアップデータを作成するには、必ずしも自分で所有するゲームカードを使う必要がありません。インターネットから入手したゲームファイルをMIG Switch Cardで起動できるため、実際には海賊版を利用する目的で使われるケースが多いとNintendoは問題視しています。今回の判決でも、個別の利用者がどのような目的で使うかではなく、機器の主要な目的がゲーム機の保護機能を回避し、無許諾コピーの利用を可能にすることにあるかどうかが重視されました。

Nintendoは声明で、ハーグ地方裁判所が欧州連合司法裁判所の判断に沿って結論を出したと説明しています。同社によれば、裁判所は、こうした回避機器の主要な目的がゲーム機と正規ゲームを守る技術的対策を無効化することにあると認めました。その結果、MIG製品によって無許諾のゲームコピーを使える状態にする行為が、法的に保護される単なるバックアップ手段とは扱われませんでした。

開発者の正規販売を守るNintendoの主張

Nintendoは今回の対応を、自社の著作権や事業だけを守るためのものではないとしています。声明では、正規のゲーム販売によって活動を続ける世界中のゲーム開発者を代表して訴訟を起こしていると説明しました。同社は、ゲーム開発や創造性を促進し、新しく革新的なゲームを正規に制作する開発者を強く支援しているとの立場です。

ゲームの不正コピーが広がれば、ソフトの売上が減少し、開発会社や個人クリエイターの収益に影響する可能性があります。特に現在も販売やサポートが続くプラットフォームでは、発売中のタイトルを対象にしたコピー利用が直接的な問題になりやすいと考えられます。NintendoがMIG製品の販売網を対象に法的措置を続ける背景には、こうした正規販売への影響があります。

一方で、フラッシュカートリッジには自作ソフトを起動する正当な用途もあります。古いゲーム機向けの自作ソフトや、公式には提供されていないプログラムを動かすために、同種の機器が利用されてきました。しかし、Nintendoの法務対応では、合法的な用途が存在するかどうかだけでなく、製品が実際にどのような目的で広く使われているかが問題になります。海賊版利用が主要な用途になった場合、法的な保護を受けるのは難しくなります。

R4訴訟や本体対策との共通点

Nintendoは過去にも、ゲーム機向けの回避機器をめぐって同様の訴訟を起こしています。2010年には、Nintendo DS用のR4カートリッジに関するオランダの裁判で勝訴しました。R4もゲームデータの起動に利用できるフラッシュカートリッジとして普及しましたが、正規に購入していないゲームの実行に使えることから、各国で販売や流通が争点になりました。

R4製品のメーカーや販売業者に対する法的措置でNintendoが勝利した例は、オランダ以外の国にもあります。また、MIG製品を使ったゲーム機について、Nintendoが起動できない状態にする措置を取ったとみられる事例も伝えられています。裁判所で販売を止めるだけでなく、サービスや本体側の仕組みを通じて利用を抑える対応も進めていることになります。

ただし、過去の勝訴によって同種の機器が完全に消えたわけではありません。R4に似たカートリッジは現在も比較的簡単に入手でき、Amazonにも掲載されていると原文筆者は指摘しています。今回の判断によってMIG製品の入手が難しくなる可能性はありますが、販売経路が別の地域やサイトへ移る可能性までなくなるわけではありません。Nintendoは今後も、MIGカードをできる限り入手しにくくする姿勢を示しています。

ゲーム保存をめぐる課題

回避機器をめぐる規制には、ゲームの保存という別の問題もあります。過去のゲームには、現行機で公式に遊べる手段が失われたものが数多くあります。長年にわたって、こうしたゲームを保存し、現代のプレイヤーがアクセスできる状態にしてきた活動の一部は、海賊版対策機器やコピー技術の歴史と切り離せません。

もちろん、権利者の許可なくゲームデータを配布したり、購入していないゲームを利用したりする行為は、正規販売を損なうおそれがあります。一方で、正規の再発売や公式アーカイブが存在しない作品について、研究者や保存活動家がデータを維持する手段まで厳しく制限されれば、将来プレイできなくなる作品が増える可能性があります。

今回の判決は、現時点ではNintendoの著作権とセキュリティ対策を回避する機器の販売を止めるものです。しかし、回避技術が持つ違法コピー以外の用途や、失われつつあるゲームを保存する必要性まで解決するものではありません。原文筆者は、今後数十年にわたって保存活動を行う人々が、法的な問題を避けながら作業できるより良い手段を得られることに期待を示しています。