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『Everdell Emerland』は新要素で定番の遊び方を大きく広げる

2026年09月15日 | #レビュー | GamesRadar+

『Everdell Emerland』は新要素で定番の遊び方を大きく広げる

『Everdell Emerland』は、Everdellの基本システムを受け継ぎながら、補助ミープルや遺跡探索、カードのアップグレードなどを加えた新作ボードゲームです。見た目をジャングル風に変えただけではなく、プレイヤーが選べる行動と戦略の幅を大きく広げています。元のEverdellを知るプレイヤーには新鮮な一方、ボードゲームに慣れていない人には、やや考えることが多い作品です。

基本の遊び方はそのままに、選択肢を拡張

本作の土台にあるのは、ワーカーを配置して資源を集め、建物や動物のカードを自分の街に加えていくワーカープレイスメントと街づくりです。各ラウンドは1つの季節として扱われ、プレイヤーは自分の動物ミープルを場所へ送り、建設や仲間の勧誘に必要な資源を得ます。ほかのプレイヤーの街にあるカードへワーカーを置き、追加の利益を得ることもできます。

街にカードを並べて得点エンジンを作るという基本的な感触は、Everdellから大きく変わっていません。そのうえで、従来のイベントカードに相当する要素として、新たに「Realm」カードが登場します。これらは街に置ける建物や住民の数を増やすなど、ゲーム終盤の得点や展開に影響する効果を持っています。

プレイ人数は1~4人、対象年齢は10歳以上。1ゲームの所要時間は30~120分で、ジャンルとしては中量級からやや重めの戦略ゲームにあたります。原文筆者は、Everdellらしい資源管理とカードコンボの魅力を残しつつ、状況に応じて取れる手段が増えた点を本作の大きな特徴として挙げています。

小さな補助ミープルが盤面を変える

本作では、カピバラ、ツリーフロッグ、カメレオン、サルの木製ミープルに加えて、プレイヤーカラーごとの小さな虫の補助ミープルを使います。補助ミープルにはカブトムシ、イモムシ、トンボ、アリが用意されています。かわいらしい見た目だけでなく、通常のワーカーでは難しかった場所取りを可能にする重要な仕組みです。

通常のワーカーと一緒に補助ミープルを配置すると、その場所から得られる資源を2倍にできます。また、ほかのプレイヤーがすでに訪れている場所へ行く場合でも、補助ミープルを使えば効果を受けられます。このときは、その場所にいるプレイヤー1人につき補助ミープルを1体置く必要があり、相手のいる場所へ入るための交渉役のように機能します。

補助ミープルは便利ですが、無制限に使えるわけではありません。季節が進むと使える数は増えていくものの、多くのプレイヤーが集まる強力な場所を利用すれば、そのターンの補助ミープルを一気に消費することになります。欲しい場所を確保できる安心感と、限られた補助ミープルをどこで使うかという判断が両立しており、他人の行動に対応する余地が大きくなっています。

原文筆者は、Everdellの「相手に先に場所を取られる」という軽いもどかしさが、本作では別の選択肢によって解消できるようになったと評価しています。補助ミープルは対立を過度に強めるのではなく、必要な場所へより高いコストでアクセスする手段として働くため、元の穏やかなプレイ感を壊していないとのことです。

遺跡探索とカード強化が新たな得点源に

ジャングルを舞台にした新要素として、専用の探索トラックである「遺跡」が用意されています。プレイヤーは自分の行動を1つ使って遺跡を探索し、進行に応じて遺物を獲得します。遺物はゲーム終了時の得点につながるため、カードを増やすだけでなく、探索へ行くタイミングも考えなければなりません。

カードまわりにも変更があります。本作のカードは両面仕様で、通常面に加えて、より強力な効果を持つ強化面が用意されています。中央の場から建設するカードや山札から引いたカードを発展させることで、街のエンジンをさらに伸ばせます。

さらに、カードを下に差し込むことで利益を生む「Artisan」カードも追加されました。カードを差し込む行為そのものが新しい選択肢となり、手札や場のカードを将来の得点へ変換できます。ただし、原文筆者はこの新カードとアップグレードの組み合わせには問題があると指摘しています。

Artisanカードには、下に差し込めるカードの枚数制限があります。Artisanカードをアップグレードしても、すでに差し込んだカードがなくなるわけではなく、差し込み枠が増えるわけでもありません。そのため、強化前の面を使うメリットが薄く、アップグレードできる見込みがないなら、最初から使わないほうがよいと感じる場面があるとのことです。アップグレード時に、差し込んだカードを任意で処分できる仕組みがあれば、通常面にも利用価値が生まれたのではないか、というのが原文筆者の批判です。

制限が増えたぶん、ゲームはより複雑に

本作では、手札の上限が8枚から6枚へ、ゲーム開始時に街へ置けるカードの上限が15枚から12枚へ減っています。さらに、場に並ぶカードには、従来のような通常の動物や建物といった分類上の違いがなく、同じ種類のカードが重なって選びにくくなる仕組みも変更されています。選択肢が減ったように見える部分もありますが、カードの強化面や新要素が加わったことで、実際の判断量は増えています。

Everdellでは基本的に、ワーカーを置く、カードをプレイする、次の季節へ備えるという3種類の行動が中心でした。本作では、通常のワーカーを置く際に補助ミープルを併用するかどうかを選べるほか、補助ミープルだけを置く、カードをプレイする、Artisanカードの下にカードを差し込む、考古学者を使って遺跡を探索する、次の季節へ進むという6種類の行動から選ぶことになります。

特に、最後のワーカーを置いたあとにも補助ミープルや遺跡、カード強化を使える点は、手番の終わりまで戦略を組み立てられる要素です。一方で、候補が多いぶん、最善手を考え続けて手番が長くなる「分析麻痺」には注意が必要です。原文筆者は選択肢が多いことを歓迎していますが、グループ内でプレイ時間を抑えたい場合は、タイマーなどのルールを設けることもあるとしています。

立体遺跡と平面ボードを選べる遊びやすさ

コンポーネント面で特に評価されているのが、遺跡の立体パーツと平面ボードの両方が用意されている点です。シリーズの印象的な立体的センターピースとして飾れるだけでなく、組み立てや片付けを省ける簡易版も使えます。

原文筆者は、従来のEverdellに含まれる大きな立体ツリーについて、見栄えはよいものの、遊ぶたびに組み立てて終わったら解体する手間が負担だったと語っています。そのため、本作で平面版の遺跡を選べることが、ほかの新要素以上にプレイへの心理的なハードルを下げたとのことです。美しいアートワークや木製のカピバラも本作の魅力ですが、実際の遊びやすさに直結するのは、この組み立て方式の選択肢でしょう。

一方で、補助ミープルがかなり小さい点は不安要素です。かわいらしさはあるものの、長く遊ぶうちに壊れたり、紛失したりする可能性があると原文筆者は懸念しています。収納時には通常のミープルと分けて管理したほうがよさそうです。

Everdell経験者向けの発展版

原文筆者は、本作について、Everdellのワーカープレイスメントと街づくりを薄めるのではなく、そこへ新しい判断を重ねた作品だと評価しています。補助ミープルによって他人の行動に対応しやすくなり、遺跡によってカード以外の得点計画が生まれ、両面カードによって長期的な強化も考えられます。従来のシステムを壊さず、別の戦略を組み立てる余地を増やした点が、本作の強みです。

ただし、初めてシリーズに触れる人には、Everdellから始めるほうが適していると原文筆者は述べています。手札や街の上限が厳しくなったうえ、補助ミープル、遺跡、Artisanカード、アップグレードを同時に扱う必要があり、気軽なゲームを期待する人には情報量が多いからです。逆に、すでにEverdellを遊び込んでいて、同じ基本システムのまま新しい展開やコンボを試したい人には、本作の追加要素がよく機能します。

Artisanカードの設計には不満が残るものの、全体としては新しい選択肢の追加が成功している作品です。Everdellの美しい世界観とエンジン構築を好み、より深い戦略性を求めるプレイヤーなら、ジャングルを舞台にした本作で新たな街づくりを楽しめるでしょう。