『Steam Frame』はVRと非VRを行き来できる設計で市場拡大を目指す
2026年09月15日 | #その他 | Eurogamer
Valveは、新型VRヘッドセット『Steam Frame』を、VR専用機ではなく、通常のPCゲームや映画、ウェブ閲覧まで1台で楽しめるデバイスとして展開し、バーチャルリアリティ市場の拡大を目指しています。軽量な本体とスタンドアロン動作に加え、VRを始めるかどうかを事前に決めなくてもよい使い勝手が、従来のヘッドセットとの大きな違いになりそうです。
VRを「使う」と決めなくても遊べる設計
Valveのソフトウェアエンジニア、Jeremy Selan氏は、これまでのVRについて「長い間、VRはPC用アクセサリーになっていた」と説明しています。スタンドアロン型であっても、ユーザーは先にVRを使うと決めてからヘッドセットを装着し、VR体験を始める必要がありました。テレビやPCで非VRゲームを遊ぶのか、特定のVR作品を試すのかを、最初に選ばなければならないという構造です。
同氏によると、今回の製品では開発当初から、VRゲームと非VRゲームのどちらを遊ぶか考えてから機器を使う必要がない状態を目指していたとのことです。ヘッドセットを装着したまま、VRゲーム、通常のPCゲーム、映画、ウェブブラウジングなどを簡単に切り替えられることを重視しています。
Selan氏は、非VRでの利用も頻繁に行っていると説明しています。コントローラーの人間工学に基づいた設計と本体の軽さにより、複数の部屋へ持ち運びやすく、装着した時点で遊ぶ作品を決めていなくても使いやすいといいます。Steamのカタログを目の前に表示し、Steam以外のPCゲームもインストールできるため、その時の気分に合わせてVRと非VRを行き来できます。
従来は「VR用の機器を取り出そうか」と考えること自体が利用への障壁になっていました。しかし、すでに装着している状態なら、その手間は発生しません。Valveは、この切り替えの容易さによって、ユーザーがVR作品だけでなく非VR作品も以前より多く遊ぶようになると考えています。
Valveが狙う利用者層の拡大
Valveのハードウェアエンジニア、Joy Lyons氏は、より多くのゲームやコンテンツへアクセスできるようにすることが今回の狙いだと説明しています。PC向けVRを利用しているユーザーにとって有力な製品である一方、既存のVRユーザーだけに向けたものではなく、開発者と新たなゲーマーにも幅広いコンテンツへの入口を提供したい考えです。
同氏は、本製品について「より多くのコンテンツにアクセスできる、プレミアムなVRヘッドセット」と位置づけています。Valveは、VRを遊ぶための専用機器としてだけではなく、Steamストアを中心にさまざまなシステムのコンテンツを利用するための製品として成長させようとしています。
Valveは、より幅広い市場に届けることが明確な目標だとしています。軽量な本体、スタンドアロンでの利用、そしてVRと非VRの境界を意識せずに使える設計を組み合わせることで、VRに関心はあっても専用機器を導入していなかった層にも訴求する構想です。
高価格と供給制限が普及への課題に
一方で、256GBモデルのベース価格は高く、普及に向けた大きなハードルになるとされています。記事では価格の具体的な金額は示されていませんが、Valveは価格目標と生産台数の目標を調整せざるを得なかったと説明しています。部品不足の危機が、当初予定されていた2026年初頭からの延期に大きく影響したとのことです。
Selan氏は、現在の価格であっても非常に魅力的で、優れた価値を持つハードウェアだと考えているとしています。ただし、価格が高いという問題を解消したわけではなく、購入を検討するユーザーにとっては無視できない条件です。
Lyons氏は、すべてのハードウェアが手の届かない価格になれば、ユーザーが楽しむことも、開発者が作品を発売することも難しくなると指摘しています。そのうえで、ゲーム体験を前進させるとValveが考える機器を提供することは重要だと説明しました。価格と供給の制約を抱えながらも、同社は製品そのものへの自信を示しています。
予約受付は抽選による注文方式
現在はヘッドセットの予約登録が始まっており、購入を希望する場合は登録後、注文できるユーザーにランダムで選ばれるのを待つ仕組みです。高い需要と限られた供給に対応するため、Valveが過去にも採用した方式とされています。
このため、予約登録を行えば必ず購入できるわけではありません。VRユーザー向けの高性能な選択肢としてだけでなく、非VRゲームも含めた総合的なPCコンテンツ端末として市場を広げられるか、そして価格と供給の問題を乗り越えられるかが、今後の焦点になりそうです。