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『BLACKWOOD』第1幕は完成品よりも開発途中のプロトタイプに近い仕上がり

2026年09月18日 | #レビュー | DualShockers

『BLACKWOOD』第1幕は完成品よりも開発途中のプロトタイプに近い仕上がり

DVD店を営む男が、夜は請負暗殺者として活動する――そんな奇抜な設定を掲げた『BLACKWOOD』だが、原文筆者は第1幕を「完成したゲームというより、開発ビルドが誤って公開されたようだ」と厳しく評価しています。銃撃と格闘、ドライビング、店舗経営を組み合わせた意欲作である一方、各要素の調整不足が目立ち、プレイを続けるほど粗さが露呈する内容だったとのことです。なお、全3幕構成のうち現時点で遊べるのは第1幕のみで、第2幕と第3幕は2027年3月および2027年9月に配信予定とされています。

昼はDVD店、夜は請負暗殺者

物語の舞台は2012年のブルックリンです。主人公のアントンは、昼間はアメリという助手と小さなDVD店を切り盛りし、夜になると銃を手に暗殺の依頼をこなします。店では棚への商品補充、客への接客、オンラインでのDVD購入、価格設定、客の好みに合わせた作品の推薦などを行い、仕事を終えた後は自宅で服を着替えたり、毎朝の食事を取ったりできます。

一方、夜のアントンは契約を受け、武器と弾薬を準備して任務へ向かいます。地下の作業スペースでは装備や武器を管理でき、ミッションに何を持ち込むかも決められます。日中の生活シミュレーションと、夜間の暗殺ミッションを交互に進める構成は、本作の中心的なアイデアです。

ただし、原文筆者はこの2つの生活が十分に結び付いていないと指摘しています。暗殺者として危険な人物や過去の因縁に関わった直後、場面はDVD店へ戻り、恋愛映画の棚がきちんと補充されているかを気にする展開になります。昼と夜の落差そのものはユニークですが、両者が物語上の意味を持って交差する場面は少なく、別々のゲームを並べただけのように感じられるとの評価です。

アントンは寡黙で、過去や暗殺業に足を踏み入れた理由には後の幕で扱われると思わせる要素があります。しかし第1幕では、それらは本格的に掘り下げられず、主人公に感情移入するための描写も不足しています。重要そうな会話の後に敵を殺し、再び店の仕事へ戻る流れが繰り返されるため、物語の出来事に重みが生まれていないとされています。無理に低い声を作ったような台詞回しも、渋い暗殺者を演出するより、意図せずコミカルな印象を強めているとのことです。

店内に並ぶ映画パッケージも、実在作品を思わせるものから粗雑なコピー品のように見えるものまであり、原文筆者は画像がAI生成ではないかと疑問を呈しています。こうした細部は、本作がシリアスな犯罪劇を目指しているのか、意図的なパロディなのかをさらに分かりにくくしています。

ガンアクションと格闘は調整不足

本作が強く打ち出しているのは、ジョン・ウィックやマトリックスを思わせるスタイリッシュな銃撃戦と、近接攻撃から派手なテイクダウンへつなぐアクションです。トレーラーからもガンフー、残酷な takedown、映画的な銃撃戦を前面に押し出していることが分かりますが、実際のプレイでは、その見栄えを支える操作感や敵の反応が追いついていません。

格闘戦では、敵を一定の状態に追い込んだ後に発生するテイクダウンのアニメーションが、数少ない印象的な要素です。複数の演出が用意されており、決まった瞬間だけは本作が目指す映画的な爽快感を味わえます。しかし、そこへ至るまでの殴り合いは練り込み不足です。敵との距離感が不自然で、攻撃の応酬もぎこちなく、原文筆者はアリーナ形式の契約ミッションで、誤った広告のモバイルゲームを遊んでいるような感覚になったとしています。

銃撃戦にも問題が多く、弾が当たった際の敵の反応が乏しいため、攻撃が命中した手応えを得にくくなっています。照準は滑るように動き、狙いを付ける操作も安定しません。さらに敵の配置や数、攻撃のバランスにも難があり、プレイヤーの技量よりもゲーム側の不親切さで苦戦させられる場面があるとのことです。銃と格闘のどちらも、派手な演出を先に用意し、実際の操作や戦闘設計の検証が後回しになった印象だと評されています。

敵の反応だけでなく、遭遇戦全体の組み立ても不十分です。プレイヤーがどの位置から攻撃を受けるのか、敵がどのように接近し、どのタイミングで反撃するのかが明確でないため、戦闘が戦術的な駆け引きではなく混乱として進みます。テイクダウンの派手さを生かすには、その前段階の攻防が重要ですが、そこが成立していないことが大きな弱点になっています。

武器のカスタマイズ画面は、The Last of Us Part IIを思わせる作業台形式です。武器を強化し、装備を整えてから任務へ向かう流れ自体は分かりやすいものの、原文筆者は同作にあった洗練された見た目や細かな仕上げが欠けていると指摘しています。単に似た形式を取り入れるだけでは、元作品の手触りまでは再現できていないという評価です。

生活シミュレーションと技術面の問題

昼間のDVD店では、棚を補充して商品をそろえ、客の趣味に合わせて作品を勧めます。夜の暗殺とは正反対の作業を挟むことで、主人公が2つの顔を使い分けていることを表現する狙いは理解できます。しかし、店で行う作業は単調で、同じ処理を繰り返すだけになりがちです。服装の変更や自宅での行動も含め、生活パートがキャラクターや物語を深めるより、ミッション間の待ち時間として機能しているとされています。

特に、武装した人々を車で追ったり、銃撃戦を繰り広げたりした直後に、DVDの価格や棚の分類を気にする流れは、本作の特色であると同時に大きな違和感にもなっています。原文筆者は、生活シミュレーションを楽しむなら、少なくともペルソナシリーズのほうが同じような日課をより面白く見せていると比較しています。日常と非日常の対比を狙ったとしても、日常側のゲーム性や会話が弱いため、メリハリではなくテンポの停滞につながっているとのことです。

技術面の粗さも深刻です。プレイ中にはカクつきが発生し、モデルの品質も低く、最適化不足が目立ちます。ドライビングパートは特に評価が低く、車の挙動や設計があまりに不自然で、原文筆者は思わず笑ってしまったとしています。笑える場面があること自体は本作の魅力になり得ますが、意図したユーモアなのか、単なる不具合や調整不足なのか判断できない場面が多く、作品全体の方向性を曖昧にしています。

奇抜な発想を生かせなかった第1幕

原文筆者は、本作にまったく魅力がないとは見ていません。低予算のアクション映画のような雰囲気で、昼はDVD店主、夜は暗殺者という主人公を描く発想そのものは、インディー作品らしい馬鹿馬鹿しさと勢いがあります。意図的であれ偶然であれ、展開や演出に笑ってしまう瞬間もあり、「ひどすぎて面白い」と感じる場面は存在するとのことです。

ただし、笑いが作品の狙いなのか、完成度の低さから生じているのか分からない状態は、デビュー作にとって望ましいものではありません。原文筆者は、ゲーム全体がもっと意図的に奇抜なスタイルへ振り切れていれば、現状の不条理さも個性として受け止めやすかったのではないかと述べています。Suda51作品のように、荒唐無稽さを演出として押し出していれば、銃撃や会話、生活パートのちぐはぐさにも別の意味を与えられた可能性があるとの見方です。

一方で、意欲的なインディー作品であることを理由に、すべての欠点を許容することはできないともしています。個々の要素が未完成なまま組み合わされ、テストや調整を十分に経ないまま公開されたように見える点が、最大の問題です。銃撃、格闘、ドライビング、店舗経営、物語のいずれも、アイデアの段階では興味を引くものの、プレイヤーが実際に触れたときの完成度が伴っていません。

今後配信される第2幕と第3幕には、改善の余地が残されています。開発元とパブリッシャーを兼ねるAttritoM7 Productionsには、戦闘の操作感、敵の反応、遭遇戦のバランス、ドライビング、最適化、キャラクター描写など、多くの課題が残っている状況です。原文筆者も続編の幕で状況が変わることを願っているものの、現時点の第1幕については、期待していた掘り出し物のアクションゲームではなく、完成前の試作品に近いと結論付けています。