『Tiny Eden』は都市型農園で独自性を示すも未完成さが目立つ
2026年09月20日 | #レビュー | DualShockers
農場ではなく高層ビルの一室で植物を育て、絶滅したミツバチの復活を目指す『Tiny Eden』。都市生活と農業シミュレーションを組み合わせた発想は目を引く一方、原文筆者は、機能しないカスタマイズや不親切なUI、極端な物価設定などが重なり、現状では完成度に大きな課題が残ると評価しています。
高層ビルに閉じた農園というコンセプト
本作の主人公は、以前の仕事を失った科学者です。舞台となるのは、眠らない大都市の中心に建つ高層ビル。従来の農園シミュレーションのように田舎へ移住するのではなく、ビル内の住居を拠点に植物を育て、植物学の知識を生かしてミツバチを絶滅から救うことが目的になります。
生活の大部分は建物の中だけで完結します。買い物や住人とのやり取りが必要になっても、別の場所へ出かけるのではなく、エレベーターで同じビル内の店舗へ移動する仕組みです。外には明かりが消えない街並みや、決められた目的地へ飛んでいくドローンが広がっていますが、プレイヤーがその都市を歩き回って探索する場面はほとんどありません。
外の世界へ出ず、自分の住まいを中心に静かに暮らす設計は、他人との交流や未知の場所の探索を避けたいプレイヤーにとって魅力になり得ます。原文筆者も、農村ではなく都市を舞台にすることで、定番ジャンルの前提を反転させようとした点は評価しています。しかし、そのコンセプトを支えるはずのビル内が、序盤からしばらくの間はあまりにも閑散としていると指摘しています。
経済活動やNPCとの基本的な交流の中心となるアトリウムは、広く開放的な空間です。それにもかかわらず、普段利用する最初の店舗にいる販売員を除くと、会話できる人物はほとんどいません。店内やバーに人がいないだけでなく、エレベーターを利用する住人も見当たらず、巨大な集合住宅で暮らしている実感が薄くなっています。
空間を埋めるように歩き回るNPCは少数存在しますが、会話や交流には対応していません。しかも、NPC同士が引っかかって動けなくなることもあり、生活感を演出するどころか、配置が不自然に見える要因になっているとのことです。原文筆者は、未来的な都市の中にいるはずなのに、実際のプレイ感覚は人の気配がない展示空間に近く、「田舎へ戻りたくなるような、無機質で閉ざされた環境」になっていると批判しています。
庭いじりは本作の中心的な魅力
植物を育てるシステムは、全体の中では比較的よくできています。主人公の親友のアパートに落ち着くと、まず温室のようなベランダで栽培を始めます。無料の種や植木鉢に加えて、助言をくれる小型ドローンのEn-Giも早い段階から登場し、メインクエストの進行を手助けします。
栽培の基本は、植木鉢に土を入れ、種を選んで植え、水や光を管理するというものです。操作自体はマウスとキーボードで扱いやすく、植物の成長を見守りながら日々の作業をこなす流れも分かりやすいとされています。屋外の農園ではないため天候の影響を受けないように見えますが、実際には外の天候によって室内に届く光や暖かさが変化します。
植物ごとに必要な光や温度などの条件が異なるため、ヒーターやファン、追加照明を使って環境を調整する必要があります。設備が整っていない序盤は、同じ建物の中にいながら天候に対応しなければならず、一般的な農園シミュレーションより細かな管理を求められます。成長と収穫の流れを把握できるようになると、作業を連続してこなす楽しさも生まれると原文筆者は述べています。
一方で、システムの説明不足は大きな問題です。複数の種類の植木鉢が用意されていますが、どの鉢でどの植物を育てられるのかは、実際に設計図を購入して設置するまで分かりません。店舗に並ぶ設計図にも対応する植物の情報が表示されないため、新しい作物を育てたい場合は、価格の高い設計図を手探りで選ぶことになります。購入を間違えた場合の負担も大きく、原文筆者は店舗UIの設計上の見落としだとしています。
植物の状態は、鉢の上に断続的に表示される小さなアイコンで確認します。しかし、アイコンの意味をその場で説明する仕組みが乏しく、プレイヤーはインベントリ内のガイドを何度も開いて確認しなければなりません。睡眠後に温室へ戻ると、複数の警告アイコンが一度に表示されることもありますが、それぞれが何を示すのかを把握するには、情報ページを順に調べる必要があります。
成長速度は意外に速いものの、いつ収穫できるのかは予測しづらい設計です。画面に表示される成熟度のメーターは、明確な時間や日数を示さず、条件が悪化した場合に成長が何時間、何日遅れるのかも分かりません。枯れる可能性があるのか、単に成長が止まっているだけなのかも判断しにくく、温室へ入ったら植物が枯れていて、そのまま諦めるしかない場面があるとされています。
バグとカスタマイズ機能の不具合
ゲーム全体は基本的に動作するものの、原文筆者は、発売後の時点でも多くの不具合が残っていると報告しています。店舗で何もクリックしていないのに商品を購入した扱いになるケースや、スキルポイントを消費して取得した強化効果が正しく機能しないケースが挙げられています。
具体的には、特定商品の価格を下げるスキルを取得したところ、最初は効果が現れたものの、翌日になると対象商品の価格が元に戻ったとのことです。プレイヤーが意図していない購入や、使ったポイントに見合わない強化効果は、資金に余裕のない本作では単なる小さな不具合にとどまりません。後述する厳しい経済システムと重なることで、進行そのものを妨げる要因になります。
住居やキャラクターの外見を変更できるカスタマイズも、重要な魅力として紹介される一方で、原文筆者の環境では機能しませんでした。壁紙を変えたり、En-Giや飼い猫Bimbusの外見を変更したりするスキンを店舗で購入できますが、購入後に適用する方法が見つからなかったとしています。
Bimbusやペットベッドを調べても外見変更の操作は表示されず、En-Giに話しかけても同じ会話が繰り返されるだけでした。メニューの隅々まで確認しても別の手順は見つからず、せっかく利益を使って購入したアイテムを利用できない状態だったとのことです。さらに、アパート内の研究室を何週間もかけて解放した後、カウンターに挟まって動けなくなる場面もあり、原文筆者はどの程度の楽しさを期待されているゲームなのか分からなくなったと述べています。
不親切なUIと進みにくい経済システム
チュートリアルは大量の文章を並べず、カジュアルなゲームとしてはすっきりした導入になっています。しかし、新しい機能を初めて使う場面で必要な説明が不足しています。En-Giから断片的な助言を受けたり、最初の栽培時に簡単なヘルプが表示されたりはしますが、研究室を解放した後に実験をどう進めるのかといった重要な情報は示されません。
クエスト関連のUIも不十分です。画面の隅に小さな一覧が表示され、時折、目的地や対象を示すアイコンが浮かぶだけで、達成条件を確認するための手がかりが限られています。必要なアイテムをまだ解放できない段階でクエストだけ先に提示され、何週間も画面の端に残り続けることもあるとされています。
進行状況の数字も分かりにくい要素です。たとえば、10kgのバイオマス堆肥を集めるクエストに「1/6」という表示が付いていても、重量とその数字がどう対応しているのか説明されません。原文筆者は、プレイヤーを助けるための進捗表示というより、仮置きの表記が残っているように感じられると指摘しています。
最大の問題は経済システムです。物語を進めて生活費を稼ぐには、植物を育て、収穫物を料理に加工するか、単品で販売する必要があります。店舗では栽培に必要な設備やアイテムを購入できますが、必需品の価格が極端に高く、販売で得られる利益はごくわずかです。
植物の温度や光を調整するファンなどを1つ買うためにも、大量の作物や料理を売らなければなりません。十分な収入を得る前から設備投資を求められるため、プレイヤーは作物を育てて売る作業を延々と繰り返すことになります。物価が高い理由も明確に説明されず、クエストの解放時期も適切に調整されていないため、基本的な進行が必要以上に遅くなると原文筆者は評しています。
独自の舞台設定や、ミツバチの復活を通じて環境問題に取り組むテーマには、従来の農園シミュレーションとは異なる可能性があります。かわいらしく整理された見た目や、猫を飼って外見を変更できる要素、条件管理を伴う栽培システムにも魅力はあります。しかし、空虚な都市空間、説明不足のUI、機能しない強化やカスタマイズ、極端な物価、進行を止めかねないバグが同時に存在しているため、原文筆者は、本作が本当に成長するには大幅な調整と修正が必要だと結論づけています。