2007年秋はゲーム史上最高の豊作期だったとIGN編集者が回顧
2007年秋は、Xbox 360だけを見ても史上屈指のラインナップがそろい、PC、PS3、Wiiまで含めれば今後も再現が難しいほどの大豊作となりました。BioShock、Halo 3、The Orange Box、Call of Duty 4: Modern Warfareなど、後のゲーム業界を大きく変えた作品が、わずか数カ月の間に相次いで発売されています。IGNのRyan McCaffrey氏は、Xboxの25周年に合わせた回顧の中で、この時期をゲーム史上最高のシーズンだと振り返っています。
Xbox 360を中心に並んだ歴史的タイトル
McCaffrey氏は、2007年秋の豊作ぶりを1998年秋や2004年秋と比較しています。1998年にはHalf-Life、ゼルダの伝説 時のオカリナ、メタルギアソリッドなどが登場し、2004年にはHalf-Life 2、Halo 2、Grand Theft Auto: San Andreas、World of Warcraftが発売されました。しかし、本人の評価では2007年秋が最上位です。Xbox 360向け作品だけに絞っても頂点を争えるうえ、PC、PS3、Wiiの作品まで加えると、3〜4カ月の期間としては二度と超えられない可能性があるとしています。
まず8月21日に発売されたBioShockは、海底都市ラプチャーを舞台にした物語重視の一人称視点シューティングです。崩壊したユートピア、恐ろしいビッグダディ、謎めいたリトル・シスターをめぐる物語は高く評価され、終盤の大きな展開も強い印象を残しました。敵の足元にある油へ火を放ったり、水たまりに立つ敵を感電させたりできるプラスミドによって、状況に応じた攻略が生まれる点も特徴です。McCaffrey氏は、弱いラスボス戦を欠点として挙げながらも、それだけで本作を歴代の名作から外す人はいないだろうと述べています。
9月25日のHalo 3は、マスターチーフにとって初めての次世代機向けの冒険となりました。Xbox 360は発売時点で新作Haloを欠いており、初代Xbox版のHalo: Combat EvolvedとHalo 2を後方互換で遊ぶ状況が続いていました。そのため、Halo 2で未解決のまま終わった戦いに決着をつける作品として期待が集中し、実際にその期待へ応えたとされています。最終カットシーンではチーフの物語にふさわしい区切りが描かれ、長大なシリーズとしては珍しく、結末まで成功した作品だとMcCaffrey氏は評価しています。
10月10日のThe Orange Boxは、ValveがHalf-Life 2、Episode One、当時の新作だったEpisode Two、Portal、Team Fortress 2を1つのパッケージにまとめた作品です。通常なら別々に販売されてもおかしくない規模のタイトルを一括収録した内容で、McCaffrey氏は「今後、これほどのパッケージは見られないかもしれない」としています。ValveがHalf-Life 3、Portal 3、Left 4 Dead 3をまとめた新たなパッケージを突然発売する可能性だけは、完全には否定できないとも冗談交じりに記しています。
年末商戦でシリーズの立ち位置が変化
11月5日に発売されたCall of Duty 4: Modern Warfareは、シリーズを第二次世界大戦から現代戦へ移行させました。Infinity Wardにとって3作目にあたる本作は、Treyarchが担当したCall of Duty 3を挟んで登場したタイトルです。強力なキャンペーンとマルチプレイによって、Call of Dutyは大作シリーズの1つから、マリオ、ゼルダ、当時のHalo、Grand Theft Autoと並ぶ最大級のブランドへと急上昇しました。その後20年にわたるシリーズの方向性も、本作のキャンペーンとマルチプレイを土台に築かれています。
11月13日のAssassin’s Creedは、この並外れたラインナップの中では「最も評価が低い作品」に見えるかもしれません。原作筆者は、約4時間分のゲームプレイループを何度も繰り返す構成で、シリーズが本格的に飛躍したのはEzio三部作の始まりとなるAssassin’s Creed 2からだという見方が一般的だと説明しています。それでも、既存の大作続編が集中する年末商戦に新規IPを投入し、シリーズを定着させた点は大きな成果です。社会的ステルスという中核のアイデアが、後に巨大シリーズへ成長するだけの魅力を持っていたことの証明だとしています。
11月20日にはMass EffectとRock Bandが発売されました。Mass Effectについては、McCaffrey氏がXbox 25周年企画の別の記事で詳しく扱っているため、ここではAssassin’s Creedと同じく、大胆な新規アイデアへ大きな賭けをする価値を示した作品として位置づけています。一方のRock Bandは、発売から時間が経っても魅力が色あせにくい作品として評価されています。現在遊ぶ際の問題はソフトではなく、対応する楽器型コントローラーが正常に動くかどうかだといい、原文筆者は記事を書きながらすぐに遊びたくなったと振り返りました。
他プラットフォームにも並んだ大作
当時のOfficial Xbox Magazineでは各デスクにXbox 360が置かれていたものの、スタッフは複数のプラットフォームでゲームを遊ぶユーザーでもありました。その視点から見ると、2007年秋の評価をさらに押し上げたのが、各ハードに登場した独占・専用タイトルです。
Wii向けのSuper Mario Galaxyは11月12日に発売されました。McCaffrey氏が個人的に最も好きな3Dマリオ作品であり、3Dプラットフォームゲームを大胆に作り変えた作品だとしています。発売後には数え切れないほどの賛辞が寄せられ、約20年後にはNintendoとIlluminationによる映画の続編が、本作を軸に描かれるほど大きな存在になったと説明しています。
PC向けには11月13日にCrysisが登場しました。「Can it run Crysis?」というミームが生まれた理由は、当時のPCに高い処理性能を要求する技術的なショーケースだったためです。ただし、原文筆者は本作をグラフィックの見本にとどまらず、初代Far Cryを手がけたチームによる非常に優れた一人称視点シューティングでもあったと評価しています。
PS3向けのUncharted: Drake’s Fortuneは11月19日に発売されました。Naughty Dogを世界有数のゲーム開発会社へ押し上げ、後の映画化にもつながった作品です。また、ジャンルを生み出したともいえるTomb Raiderから、三人称視点アクションアドベンチャーの基準を引き継いだタイトルでもあります。McCaffrey氏は、この作品が、後にPS4をPS2に近い記録的な水準へ押し上げることになる、PlayStationの強力なファーストパーティー独占タイトルの連続の始まりだった可能性も指摘しています。
「最高のシーズン」という評価の根拠
2007年秋は、Xbox 360の歴代最高の時期、PCゲームの最高の時期、あるいは史上最高の11月というように、切り口を変えても高い評価が成り立ちます。Official Xbox Magazineでは、発売ラッシュから数週間後に年間ゲーム・オブ・ザ・イヤーを議論し、Rock Bandを選出したとのことです。McCaffrey氏はその選択を今も後悔していない一方、当時はこの時期の歴史的な価値を十分に理解できていなかったかもしれないと振り返っています。
一つの時期に、物語重視の大作、オンライン対戦、革新的なパッケージ、人気シリーズの転換点、新規IP、技術的な挑戦、各社の看板タイトルが集中したことが、2007年秋の特異性です。個別の作品だけでなく、その後のCall of Duty、Assassin’s Creed、Uncharted、Mass Effectなどの立ち位置まで変えた点を踏まえ、原文筆者はこの時期を「ゲーム史上、議論の余地なく最高のシーズン」だと結論づけています。