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ゲームDLCは本編の常識をどこまで壊せるか、期待を塗り替えた9作品

2026年09月22日 | #ゲーム紹介 | Polygon

ゲームDLCは本編の常識をどこまで壊せるか、期待を塗り替えた9作品

追加シナリオといえば、本編の延長線上に新しい数時間や装備、ボスを加えるものが一般的です。ところが、世の中には主人公の脳を奪った科学者たちを追いかけたり、地獄で悪魔の結婚式を妨害したり、ゲーム全体をテーブルトークRPGに変えてしまったりするDLCも存在します。海外メディアは、本編の魅力を保ちながら大胆に方向転換し、プレイヤーの予想を大きく裏切った9本を紹介しています。

本編から最も遠くへ飛躍したDLC

Fallout: New Vegasの「Old World Blues」は、政治的な派閥争いと荒涼とした世界を描く本編から一転し、狂科学者によるスラップスティックなSFへとプレイヤーを連れ出します。主人公のCourierは、1950年代風の秘密研究施設Big MTで手術台の上から目を覚ましますが、脳、心臓、脊椎を失っています。臓器を奪ったのは、瓶の中に浮かぶ5人の脳みそ、Think Tankです。

自分たちがなぜ脊椎を持ち去ったのかすら覚えていない科学者たちを相手に、主人公は失った臓器を取り戻すことになります。舞台には会話する家電、顔を掃除することに執着する掃除機のMuggy、浮遊するロボブレインとして潜伏する反逆的な科学者などが登場します。原文筆者は、本編とは異なる馬鹿げた方向性を採用しながらも、脚本の質は本編に匹敵すると評価しています。

The Sims 4のゲームパックStrangerVilleも、日常生活を中心とするシリーズの前提を大きく崩した例です。普段のThe Simsは、家賃や人間関係、料理中の火事といった生活の出来事を楽しむ作品ですが、このDLCでは、隔離された砂漠の町を舞台に政府の陰謀へ巻き込まれます。

町の住民は寄生性のエイリアンによる集合意識に感染しており、体には発光する結晶が現れ、会話まで不気味に同期しています。プレイヤーのSimは、このボディホラー的な事件を調査しながら、食事やトイレといった通常の生活も続けなければなりません。SFミステリーを扱いながらも、あくまでThe Simsとしての生活要素を失っていない点が、このDLCの異質さです。

Red Dead RedemptionのUndead Nightmareは、西部劇の世界にゾンビという別ジャンルを持ち込んだ拡張です。本編が消えゆくアメリカ西部を描く静かで物悲しい物語だったのに対し、こちらではゾンビの疫病がフロンティア全体に広がり、John Marstonがショットガンで死者の群れと戦います。

伝説の動物にはアンデッド化したBigfootまで加わり、町は次々とゾンビに占拠されます。さらに4人で遊べる新たなサバイバルモードも用意されました。登場人物たちは、家畜の争いを扱うときと同じような真面目な態度でゾンビ災害に反応します。世界観そのものは大きく変わっているのに、作品がその状況を平然と受け入れることで、独特のユーモアが生まれています。

悪ふざけとファンサービスを物語にする

Mass Effect 3のCitadelは、銀河規模の危機を何度も乗り越えてきたCommander Shepardに、徹底的な息抜きを与えるDLCです。物語の中でShepardは、自分自身のクローンと博物館で殴り合うことになります。その後は、シリーズ全体の仲間たちを集めた夕食会を開き、彼らが互いをからかいながら過去の冒険を振り返ります。

このDLCには強盗、カジノ、そしてシリーズのファンサービスであることを隠そうとしない展開が盛り込まれています。三部作を通じて終末的な戦いが続いたからこそ、仲間たちが一時的に戦争を忘れて楽しく過ごせる時間が強く印象に残ります。原文筆者は、プレイヤーが望んでいたものをためらいなく提供するDLCとして、この内容を紹介しています。

Saints Row: Gat Out of Hellは、すでに超能力を得た大統領が異星人の帝国と戦っていたSaints Row 4から、さらに現実離れした方向へ進みます。悪魔の王Satanは、異星人の支配者Zinyakと取引し、その条件の一部として主人公であるBossを自分の花嫁にしようとします。

Johnny GatとKinzie Kensingtonは、悪魔の翼を使って本物の地獄へ向かい、結婚式を阻止しようとします。物語の中ではSatanが、娘の運命を支配しようとする内容の、ディズニー映画の悪役を思わせる大仰なミュージカルナンバーまで披露します。本編の時点で十分に突飛だった設定を、地獄、悪魔の翼、結婚式という要素でさらに拡大した作品です。

Borderlands 2のTiny Tina’s Assault on Dragon Keepは、SFルーターシューターだった本編を、テーブルトークRPGのセッションへと変えてしまいます。爆発物の専門家である少女Tiny Tinaが、自作の「Bunkers & Badasses」キャンペーンを進行し、プレイヤーはその物語を実際に遊ぶことになります。

銃は剣や杖のように扱われ、盗賊はオークへ置き換えられ、Tinaの思いつきに合わせてゲーム内の風景まで会話の途中で変化します。ドラゴンとして登場する存在も、実際にはTinaがその場で作った骨組みのロボットです。ただし、荒唐無稽なファンタジーだけが特徴ではありません。Tinaは友人の死による悲しみを、サイコロや怪物を作る遊びの中に埋めようとしており、DLCはその感情を背景に置きつつ、表面上は奔放な冒険を進めます。

The Witcher 3のHearts of Stoneは、怪物退治や大陸規模の政治を主軸とする本編に対し、ひとりの男が結んだ危険な契約へ焦点を絞ります。Geraltは、呪いを受けた裕福な人物Olgierd von Everecから、実行不可能に思える3つの依頼を受けます。その中には、Olgierdの元恋人の結婚式を台無しにすることや、自分自身の生きた反射と戦うことまで含まれています。

依頼を仲介する商人Gaunter O’Dimmは、単なる契約の仲介人ではありません。彼が扱っているものは、ひとりの男の運命を超えた大きな存在の仕組みへとつながっていきます。本編の広大な政治劇とは異なる、呪い、契約、欲望を中心にした物語への切り替えが、このDLCの特色です。

王や神、そして記憶を失った世界

The Elder Scrolls 4: OblivionのShivering Islesでは、通常の中世ファンタジーであるCyrodiilを離れ、狂気のデイドラ公Sheogorathが支配する領域を探索します。領域は、けばけばしく過剰な歓喜に満ちたManiaと、ねじれた根や腐敗、疑念が広がる暗いDementiaの2つに分かれています。

両方の地域を進んでいくと、プレイヤーはその領域の王座を手に入れ、新たな狂気の神へと変貌します。報酬として与えられるWabbajackも、標的をランダムな生物へ変身させる特異な杖です。羊やカニ、あるいは別の神に変わる可能性すらある武器であり、原文筆者はこのアイテムだけでもDLCを導入する価値があるとしています。

Outer WildsのEchoes of the Eyeは、太陽が消滅するまでの22分間を繰り返しながら古代の謎を追う本編に、隠された新たな探索場所を加えます。太陽の周囲を周回する、目立たない構造物の内部には、住民たちが集団的な罪悪感から自分たちの歴史を消去した、シミュレーション上の村が存在します。

このDLCでは、ほとんど光のない場所を進む場面が多く、光を感知するヘラジカのような鳥の怪物に追跡されることもあります。本編の穏やかで物悲しい宇宙の謎に対し、こちらは暗闇と追跡の恐怖を強く押し出した内容です。原文筆者は、まったく新しい場所を追加しながら、本編の「知ること」を中心とした体験を別の角度から掘り下げたDLCとして挙げています。

最後に、Fallout: New VegasのOld World Bluesとは別の意味で本編の常識を覆すのが、同作の政治性とは無縁の狂気を前面に出した展開です。主人公の臓器を瓶詰めの脳科学者が持ち去るという設定は、通常の追加クエストの範囲を大きく超えています。それでも、本編が強固な世界観と物語を築いているからこそ、こうした大胆な脱線が成立します。

原文筆者は、今回挙げた9本に共通するのは、本編を必要としないほど別物になることではなく、本編が十分に強いからこそ思い切った方向転換を受け止められる点だとまとめています。地獄の結婚式、寄生エイリアンの集合意識、狂気の王座、暗闇で迫る怪物。これらのDLCは単に遊べる時間を増やしたのではなく、プレイヤーがそのゲームに期待するもの自体を一時的に書き換えた作品として記憶されています。