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マーク・ダラー氏、ライブサービス市場では「2位になる価値すらない」と指摘

2026年10月08日 | #その他 | IGN

マーク・ダラー氏、ライブサービス市場では「2位になる価値すらない」と指摘

元BioWareプロデューサーのマーク・ダラー氏は、ライブサービス市場では首位が注目を集めるため、「2位になる価値すらない」と語ります。バトルロイヤルやヒーローシューターの盛衰をたどりながら、後発作品が先行作の進化に追いつく難しさと、利益を優先する開発方針が生む問題を見ていきます。

バトルロイヤルブームを生んだ先行作

WarzoneやFortnite、PUBGが登場する前の2012年4月、ノルウェーのYouTuber、デニス・ヴァエリデがMinecraftのサバイバルゲーム用サーバーを立ち上げました。映画『ハンガー・ゲーム』に着想を得た形式で、プレイヤーが物資を集め、最後の1人になるまで戦います。

業界に大きな影響を与えたのは、翌2013年にブラジル在住の開発者ブレンダン・グリーンが考案したDayZ向けの改造でした。映画『バトル・ロワイアル』に影響を受けたこの案は、武器の散らばる広いマップで戦い、安全地帯が徐々に狭まる最後の1人まで生き残る形式です。グリーンは数年をかけて構想を発展させ、のちのPUBGにつなげました。

PUBGは2017年3月にSteamの早期アクセスで配信され、同年12月には同時接続プレイヤー数が300万人を超えました。その成功を見たEpic Gamesは、タワーディフェンス作品として始まったFortniteにバトルロイヤルモードを追加します。2017年9月に登場したこのモードは無料で遊べることもあり、2週間でプレイヤー数が1,000万人に到達。1年後には1億2,500万人となり、現在の登録プレイヤー数は6億5,000万人に上ります。

Fortniteはやがて、ゲーム内でアリアナ・グランデやエミネムの公演を行い、映画『スター・ウォーズ』の映像を公開するプラットフォームへと変わりました。バトルロイヤル市場は2025年に112億ドル規模とされ、2035年には約300億ドルに達すると予測されています。こうした成功を追って多くの作品が参入しましたが、競争に残れたものは限られます。

先行作の現在形と競う後発作品

この流行は、数年前のMOBAブームにも似ています。Riot GamesのLeague of LegendsやValveのDota 2に続こうと多くの作品が作られましたが、短期間でサービスを終えたものも少なくありません。バトルロイヤルでも、UbisoftのHyper ScapeやFinal Fantasy VII: The First Soldier、Fallout 76の追加モード「Nuclear Winter」、Epic Games自身が手がけたRumbleverseなどが定着しませんでした。Steamでは「バトルロイヤル」のタグが付いた作品が約2,000本に上り、モバイル市場にも多数の作品があります。

ダラー氏は、ジャンルの上位2作品を追い落とせると信じられないなら、参入すべきではないと指摘します。BioWareが開発したAnthemも、Destinyと競うことになりました。Destinyは発売から5年にわたって開発と改良を重ね、続編も登場していました。Overwatchの初代ディレクター、ジェフ・カプラン氏も、今MOBAを作るなら、登場から5年のLeague of Legendsではなく、現在まで進化した同作と競うことになると話します。後発作品は、先行作の発売時点ではなく、長年の更新を積み重ねた姿を相手にします。

ヒーローシューターでも同じ構図が見られました。Rainbow Six Siegeは破壊可能な環境など独自の持ち味で支持を得ましたが、Overwatchを追ったCrucible、Rocket Arena、LawBreakers、Rogue Companyなどは長続きしませんでした。ダラー氏は、首位が注目を集める状況では2位どころか5位や6位になる意味も薄いと語っています。カプラン氏は、作品によっては宣伝費が開発費を大きく上回ると指摘し、宣伝で新しさを演出する傾向にも触れました。

成功が開発チームにかける圧力

Overwatchは、前のMMORPG企画が頓挫した後、チームに1カ月で新企画を出すよう求められたことから始まりました。カプラン氏は、厳しい状況がチームの創造性を引き出したと振り返ります。発売初週に700万人、5カ月後に2,000万人、1年後には3,000万人がプレイしました。成功後も新しい更新を続ける必要があり、チームの拡大と運営費の増加は、経営側が収益化の見直しを求めるきっかけにもなりました。

カプラン氏によると、経営側からOverwatchを無料プレイに切り替える案が出たこともありました。氏は、どの作品にも同じ方法を当てはめる考え方は開発チームにとって毒になると話します。Overwatch 2の構想をめぐる経営陣との意見の違いもあり、カプラン氏は2021年にBlizzardを離れました。発売した続編は、本人が考えていたものとは大きく異なる形になったといいます。

ライブサービスは発売時の販売だけでなく、長期間の収益を見込む事業です。成功した作品をさらに収益化しようとする動きが、作品を生み出した人々との衝突につながることもあります。

AnthemとConcordに見る流行追いの代償

ダラー氏によると、EAはFIFA Ultimate Teamの成功後、すべてのシリーズに大きな収益を求めるようになりました。BioWareはその方針に合わせてライブサービス作品Anthemを開発しますが、スタジオが得意とするRPGとの方向性は定まりませんでした。企画は「BioWareらしさを保ちながら、まったくBioWareらしくない作品」という説明で売り込まれたとダラー氏は振り返っています。

Anthemは2019年2月に発売され、初月のデジタル売上は1億ドルを超えました。BioWare作品としては、Mass Effect 3に次ぐ速さで売れた作品です。しかし、技術的な問題や設計への批判があり、アップデートでプレイヤーを引き留めることもできませんでした。開発は2021年に終了し、記事執筆時点ではプレイできない状態です。

SonyとFirewalk Studiosが手がけたConcordも、後発作品の難しさを示す例として取り上げられています。記事は、4億ドルの予算を投じたにもかかわらず独自性に乏しく、発売前の宣伝も時期尚早だったと評価します。開発はOverwatchと同じ2016年に始まり、発売は2024年でした。発売後、サービスは2週間足らずで終了しました。記事は、仮に2019年か2020年に登場していれば独自のファンを得る余地があったかもしれない一方、発売時にはOverwatchが約10年の改良を重ねていたと論じています。

記事はまた、Anthemの影響がDragon Age: The Veilguardの開発にも及んだと説明します。当初はAnthemのコードを使ったライブサービス要素がありましたが、Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダーの成功などを受けて方針が変更されました。カプラン氏は、Dragon Ageのように30~40時間の体験を想定した作品を、100時間や1,000時間遊ぶ設計に引き延ばすことはできないと指摘しています。

バトルロイヤルの次に何が残るのか

市場調査会社Newzooの報告では、バトルロイヤルのサブジャンルは27%縮小し、FortniteとApex Legendsもプレイ時間の伸びが約4分の1落ち込んだとされています。記事は、MMO、MOBA、ヒーローシューターと同様に、バトルロイヤルの人気にも陰りが見え始めたと見ています。

一方で、ライブサービスそのものが終わる兆しはありません。マイクロトランザクションを収益源とするマルチプレイ作品は1990年代から存在し、PlayStationの西野秀明CEOはライブサービスへの取り組みを改めて表明しています。Ubisoftはシングルプレイヤー形式を時代遅れとする見解を示し、EAのアンドリュー・ウィルソンCEOもシングルプレイヤーの未来にライブサービスがあると述べました。

ダラー氏は、このままの方向が続けば、世の中に残るゲームが7本だけになるような世界に近づくのではないかと懸念します。カプラン氏はゲームを「芸術、娯楽、ビジネス」の順に積み上がるものと捉え、娯楽にならなければ事業も成り立たないと話します。記事は、成功作の利益だけを追うあまり、この順序を逆転させていないかと問いかけています。