← 最新記事一覧

MMORPGはライブサービスの先駆け、EverQuest共同制作者は新作への投資を正当化しにくいと指摘

2026年10月08日 | #その他 | IGN

MMORPGはライブサービスの先駆け、EverQuest共同制作者は新作への投資を正当化しにくいと指摘

Ultima Online、EverQuest、World of Warcraftに携わった開発者らが、MMORPGの隆盛とライブサービスへの変化を振り返りました。かつてオンラインゲームの中心だったMMORPGは今も続いていますが、新作には巨額の投資と、長時間遊ぶユーザーを集めることが求められています。

共有世界から始まったライブサービス

MMORPGは、ライブサービスという言葉が広まる前から、オンラインで遊ぶ人々に継続的なコンテンツを提供してきました。両者に共通するのは、発売後もゲームを更新し続けることです。サブスクリプションやゲーム内課金が、その運営を支えてきました。

ただし、現代のライブサービスは短時間の対戦ゲームから、大規模なシューティングゲームまで幅広い一方、MMORPGの多くはファンタジーやSFの広大な世界を舞台にします。都市や地域をプレイヤーが行き来し、同じ場所で一緒に冒険するため、ゲームの中に人々の共同体が生まれます。記事は、Apex LegendsやOverwatchのような短い対戦を重ねるゲームと、World of Warcraftのストームウィンドやナグランドのように「帰る場所」として記憶される世界との違いを指摘しています。

MMORPGの前身は、冒険を軸にしたオンラインの仮想空間「MUD」です。1997年に発売されたUltima Onlineは、プレイヤーがログアウトしている間にも変化する世界を実現しました。同作のディレクター、Starr Longは、当時は何千人もの人と同じ仮想世界で遊べること自体が新鮮だったと振り返ります。

Ultima Onlineは月額課金や、実店舗で購入できるデジタル通貨など、後のライブサービスにもつながる仕組みを取り入れました。発売から6カ月で登録者数が10万人に達した一方、予想を超える人気は深刻な処理負荷も招きました。プレイヤーはゲーム内のLord Britishの城に集まり、アイテムを大量に使って周囲を嘔吐物で埋める抗議を行いました。Longは、この出来事を通じて「開発者がゲームを作っていても、世界の主はプレイヤーだ」と気づいたと語っています。

EverQuestとWorld of Warcraftが広げた遊び

Ultima Onlineの成功に続き、1999年にはEverQuestが登場しました。3Dのゲームエンジンで作られた世界は、MMORPGの可能性を大きく広げました。共同制作者のBill Trostは、作り込みすぎず、世界や状況を通してプレイヤー同士がつながることを重視したと説明しています。Longも、運営者はプレイヤーを市民とする政府のような役割を担うと話しました。

EverQuestのギルドで出会ったJeff KaplanとBlizzardのRob Pardoの縁は、KaplanがWorld of Warcraftの開発に加わるきっかけになりました。2004年に発売された同作は、既存のUltima OnlineやEverQuestに加え、EverQuest 2やStar Wars: Galaxiesへの期待も高まる中で登場しました。当時、Blizzardは主に戦略ゲームの開発会社として知られており、KaplanはMMORPGを作ることに疑問を持たれていたと振り返ります。

開発チームは当初、EverQuestに近いクエストの仕組みを考えていました。しかしテストの反応を受け、より多くのクエストが必要だと判断します。地域を巡りながら連続して物語を進める仕組みは、その後のMMORPGにも影響を与えました。World of Warcraftには固有のクエストが1万以上あり、アップデートや拡張パックでは日替わり、週替わりの活動も追加されています。

短いプレイを軸にした現代のライブサービス

記事は、現在のライブサービスがMMORPGのような長い冒険より、短時間で遊べる対戦を中心に発展したと分析しています。バトルパスを採用したゲームでは、「敵を4人倒す」といった課題を達成して経験値を獲得する形式が見られます。物語も、継続的なクエストより、設定の追加やイベントの映像、シーズンごとの演出で語られることが多くなりました。

MMORPGがなくなったわけではありません。Final Fantasy 14は大きな成功を収め、Ultima Online、EverQuest、World of Warcraftも現在まで運営が続いています。Aion 2は発売直後にSteamの最もプレイされているゲームの一覧に入り、Guild Wars 3も控えています。一方、Amazonが大規模な投資を行ったNew Worldは、翌年にサービスを終了する予定です。

長く続くMMORPGに共通するのは、先行作から学びながら新しい要素を加えること、プレイヤーが愛着を持てる世界を作ること、そしてプレイヤーの望みに応えることだと、開発者らは語ります。Kaplanは、優れた作品は何もないところから生まれるのではなく、着想を得て表現を進化させる必要があると述べています。

新作を難しくする開発費とプレイヤーの変化

MMORPGが新作を出しにくくなった背景には、開発に必要な投資の増大があります。Trostは、ゲームファンに認められるための基準が高くなり、投資を正当化するのが難しくなったと指摘します。Longも、映画やテレビと同じように、満たすべき希望が細分化され、特定の層に応えることが難しくなっていると話しています。

プレイ時間の使われ方も変化しました。Longによると、ゲーム市場では過去20年で短いプレイサイクルが広がっています。World of Warcraftの平均プレイ時間は週10〜20時間ほどで、クエストやレイドにはまとまった時間が必要です。現在のライブサービスにも熱心に遊ぶ人はいますが、MMORPGのように長期的な共同体の中で過ごす形式とは、時間の使い方が異なります。

Trostは、かつてゲーム内にあった共同体が、現在はソーシャルメディアにも分散していると述べます。MMORPGでは、同じ都市で待ち合わせたり、特定の地域でクエストに挑んだりすることができました。World of Warcraftでは、レイドの予定を何時間もかけて調整する中で、現実のカップルや夫婦になった人たちもいます。1試合が15〜20分ほどのFortniteでも同様のつながりが生まれることはありますが、記事は、共有世界で育つ関係とは性質が異なると見ています。

プレイヤーが作る世界へ

記事は、現代のゲームを旅先ではなく、さまざまな遊び場へ移動する空港のような存在にたとえます。Call of Dutyのメニューからは別の遊びへ移り、Fortniteではアーティストや大企業のイベントを含むカスタム島が展開されています。Robloxは多数の世界を提供するだけでなく、プレイヤー自身が世界を作り、収益を得られる場にもなりました。1日あたりのプレイヤー数は1億2,300万人に達し、World of Warcraft、RuneScape、EverQuestの過去のピークを合計した規模を大きく上回ると記事は伝えています。

Robloxでは、プレイヤーが小規模な開発チームのように活動し、人気ゲームを再現した世界も作られています。MMORPGの開発者がプレイヤーの自律性を意識するようになった時代を経て、今ではプレイヤー自身が世界を作り、運営する動きが広がっています。Longは、現代のMMORPGがよりニッチになり、幅広い人々の希望を満たすことは難しくなったと話します。新たな世界を作るには資金だけでなく、長く遊び続けてもらえるだけの魅力も必要です。