ディーン・ホール氏が無料の開発フレームワークBrutalを公開、Unreal EngineとUnityの「貪欲さ」を批判
2026年10月15日 | #その他 | Eurogamer
『DayZ』などを手がけたディーン・ホール氏は、自身が率いるRocketWerkzが開発したゲーム制作フレームワークBrutalを、ソースコードを公開して無償提供すると発表しました。商用ゲームにも利用でき、必要なのはクレジット表記のみです。開発者が大手企業に作品の主導権を渡しすぎているとして、ホール氏はUnreal EngineとUnityを運営する企業を批判しています。
開発者に選択肢をもたらすBrutal
Brutalはゲームエンジンではなく、ゲームやエンジンを組み立てるためのフレームワークです。単独でゲーム制作に使えるほか、別のゲームエンジンと組み合わせることもできます。RocketWerkzのKitten Space AgencyではBrutalを使っており、RimWorldの開発元Ludeonは自社エンジンWaylithと組み合わせて利用しています。
ホール氏によると、Brutalは商用利用も無料で、ロイヤリティやゲームの売上分配はありません。ただし、利用時にはクレジット表記が必要です。同氏は、誰もが使う万能なツールを目指しているわけではなく、開発者が自分たちの仕組みを作り、必要ならフレームワークを分岐させられるようにすることが大切だと述べています。
Unreal EngineとUnityへの批判
ホール氏は、ゲーム業界は大企業の利益追求と価格競争によって、根本から損なわれていると主張しました。リバースエンジニアリングや高性能なエージェント型の開発手法が広まる前から、業界は持続不可能な方向へ進んでおり、そうした技術が状況をさらに悪化させたとしています。なかでも、開発者が自分の作品に対する大きな決定権を、利害が一致するとは限らない企業に預けていることを問題視しました。
ホール氏は、Unreal EngineとUnityが生成AIに注力する姿勢にも疑問を示しています。人間が操作することを前提にした制作環境を、AIが人間に代わるとされる状況で使う利点は何なのかと問いかけました。必要な開発ツールを自作するコストが下がれば、他社の大規模な制作環境に頼る理由も薄れる可能性がある、というのが同氏の見方です。記事の筆者は説明の一部を理解しにくいとしつつ、ホール氏が指摘する矛盾には引っかかると述べています。
ホール氏は、エンジン会社が性能や安定性、開発現場への影響に十分責任を負っていないとも批判しました。2025年のゲーム開発者会議では、Epic Gamesのティム・スウィーニー氏にUnreal Engineの開発者への説明責任について質問したといいます。ホール氏の説明では、スウィーニー氏は、ゲームを「Unreal製の粗製品」と呼ぶ意見に対抗するため、デモを増やしてSNSで発信することに触れました。ホール氏は、より速く多くのものを作ることが、ゲーム制作を簡単に見せてしまう問題につながるのではないかと反論したそうです。
ホール氏は、Unreal Engineのライセンス基準額を超えたゲーム収益に5%のロイヤリティが課される点も挙げ、開発者はその関係を疑問視すべきだと述べています。同氏は、開発者がUnityやUnrealを一斉に捨てるとは考えていません。一方で、代替ツールを作るコストが大きく下がれば、選択肢となるフレームワークは増えると見ています。
IcarusはUnreal Engine 4を継続
ホール氏とRocketWerkzは、サバイバルゲームIcarusからUnreal Engine 4を取り除く予定はありません。スタジオではUnreal Engineの利用を新規プロジェクト向けに終了していますが、Icarusのエンジン移行には大きな作業が必要です。
ホール氏は、移行すればプレイヤーに大きな影響が出ると説明しました。発売以来、何年にもわたって毎週欠かさずパッチを配信し、プレイヤーとの信頼を築いてきたため、Brutalへの切り替えはその信頼を損なう恐れがあるとしています。