PS2エミュレーター「ARMSX2」2.8.3、Mali向けカスタムドライバーの対応GPUを拡大
2026年10月12日 | #ゲーム紹介 | Digital Trends Gaming
オープンソースのPS2エミュレーター「ARMSX2」のバージョン2.8.3で、Mali GPU向けのカスタムVulkanドライバー「MaliSX2」の対応範囲が広がりました。これまで有利とされてきたQualcomm製Adreno搭載機に加え、古いPixelなどMali搭載端末でもエミュレーション性能の向上が期待できます。
Adrenoだけが有利だった状況が変わる
Android端末でゲーム機のエミュレーションを試してきた筆者は、処理能力が高いだけでは限界があると述べています。筆者はRed Magic 11S ProでコンソールエミュレーションやAndroidゲームを試し、GameHubを使ってPC版のGhost of Tsushimaをローカルで動かすところまで進めました。
こうしたことが可能なのは高性能なSnapdragonのおかげですが、Qualcomm搭載機がエミュレーター愛好家に好まれてきた理由はほかにもあります。Snapdragonに搭載されるGPUのAdrenoは、Turnipのようなカスタムグラフィックスドライバーを利用できます。一方、ARMのMali GPUを搭載する端末には、これまで同じ利点がありませんでした。ARMSX2 2.8.3は、この状況を変えるものだと筆者は位置づけています。
MaliSX2の対応GPUが大きく増加
MaliSX2は、Mali向けに作られたカスタムVulkanドライバーです。初期版は2.8.2で「libmali」という名前で導入されましたが、対応していたのはMali-G615とG715だけでした。2.8.3ではこれに加え、G57、G68、G77、G78、G78AEが対応します。
これにより、より多くのスマートフォンやAndroidハンドヘルドで利用できるようになり、古いMali GPUを積んだ機種も対象に含まれます。古いPixel、一部のGalaxy、MediaTek Dimensity搭載機でも、エミュレーション性能の向上が見込めるとのことです。ただし、実際に使えるかどうかは端末のGPUと、十分に新しいMaliカーネルドライバーがあるかどうかに左右されます。
ARMSX2の開発者によると、Mali-G57搭載のテスト機では、標準ドライバーだとエースコンバット4とエースコンバット5が遊べる状態ではありませんでした。それがMaliSX2 0.1.4ではフルスピードに達したそうです。ただし、すべてのタイトルが以前の2倍の速度で動くようになるわけではなく、効果はゲームや端末によって異なります。
ARMSX2の特徴とAndroidエミュレーションの広がり
ARMSX2はPCSX2をベースにしたプロジェクトです。x86からARMへの変換だけに頼らず、ネイティブのARM64リコンパイラーを使っています。開発者はAdreno向けとMali向けに、それぞれ専用のレンダラーバックエンドも用意しています。そのため、MaliSX2のような更新はPS2への懐古にとどまらない意味を持つと筆者は見ています。
筆者は、AndroidスマートフォンがGhost of Tsushimaを動かす姿を実際に見たものの、今年そんな光景を目にするとは予想していなかったと振り返ります。より多くのAndroid向けGPUで低レベルのドライバー対応が進めば、こうした試みに参加できる端末も増えます。特に古いPS2タイトルでは、Mali搭載機での動作がかなり滑らかになると筆者は期待しています。