EAがBioWare閉鎖とMass Effect新作の開発中止を発表、業界関係者やファンから惜しむ声
EAは10月21日、開発スタジオと進行中プロジェクトの大規模な再編を発表しました。この中でBioWareの閉鎖と、次期『Mass Effect』の開発中止が明らかになりました。30年にわたり名作RPGを生み出してきたスタジオの終わりに、ファンや開発者から驚きと悲しみの声が相次いでいます。
EAが示した閉鎖の理由
EAが従業員向けに出したメモでは、BioWareの閉鎖はわずか1段落で触れられただけでした。Cam Weber氏(社長兼チーフ・スタジオ・オフィサー)とDavid Tinson氏(社長兼COO)は、「より大きな機会に注力する中で、BioWareの小規模チームがMass Effectの初期開発を進めてきました。この開発を進めないと決定したことで、スタジオとエドモントンの拠点を閉鎖します。BioWareはロールプレイングジャンルの確立に貢献した伝説的なスタジオであり、この決定を軽く受け止めてはいません」と述べています。
BioWare自身もSNSで声明を出しました。「30年以上にわたり、BioWareは単なるスタジオ以上の存在でした」とした上で、BioWareが閉鎖され、次期Mass Effectプロジェクトの初期開発も終了すると明らかにしています。現在は才能あるチームを支えることに集中しているとし、プレイヤーへの感謝も記しています。
Mass Effectのエグゼクティブプロデューサーを務めるMike Gamble氏も、「BioWareでの17年間、皆さんの支えが私にとってすべてでした」とファンに向けて述べました。
ファンの反応
SNS上では怒りと失望の声が目立ち、EAや業界の現状への不満も多く見られます。あるファンは、N7デーや次のMass Effectを楽しみにしていたことや、三部作が生涯のお気に入りであることに触れ、「今は永遠に終わってしまった」と悲しみを語りました。別のファンは、子どもの頃の大きな存在だったBioWareへの感謝を書いています。
また、あるファンは「どうかIPを別の会社に売ってほしい」と訴え、Mass EffectやDragon Ageの遺産をEAに人質に取らせないでほしいと求めました。
開発者たちが寄せたコメント
CD Projekt Redの共同CEOであるMichal Nowakowski氏は、BioWareとの関係を振り返りました。ポーランド、チェコ、スロバキアでBaldur's Gateシリーズのローカライズと販売を手がけた縁で親しくなり、のちに『The Witcher』第1作のエンジンを貸してもらったほか、知見の共有やE3でのブース提供といった支援も受けたといいます。同氏は影響を受ける従業員を気遣いつつ、「伝説的なブランドが消えるのを見るのも悲しい。ゲーム業界にとって良い日ではありません」とコメントしました。
『Cyberpunk 2』でアソシエイトゲームディレクターを務めるPaweł Sasko氏は、BioWareの『Baldur's Gate』1と2が「想像力を形作り、ゲームを作りたいという思いを与えてくれた」と語り、BioWareがなければ今の自分はなかったと感謝しました。
Interplay Entertainmentの創設者で、現inXileのBrian Fargo氏は「まさに悲しい日」とコメントしています。BioWareがまだ小さなスタジオだった頃、Interplayのために『Shattered Steel』を開発したことを振り返り、その可能性を見抜いていたと述べました。その後BioWareは『Baldur's Gate』1と2を生み出し、伝説的な存在になったとしています。
『Baldur's Gate 3』を手がけたLarianのSwen Vincke氏は、閉鎖を「想像もしなかったこと」と表現しました。LarianとBioWareは同時期にゲーム業界で歩み始め、BioWareがRPGを大きな存在に押し上げたと語っています。今後、期待のRPGの話題でBioWareの名前が出なくなることは想像しがたいとし、「皆さんの成果を誇りに思ってください。全員が良い次の道に進めることを願っています」と呼びかけました。
Remedyのコミュニケーションディレクターであるを務めるThomas Puha氏は、この展開は予想されていたものの読むのはつらいとコメントしました。大手パブリッシャーでは小規模なAAAタイトルが十分な収益を生まず、リスクを取りにくくなっていると指摘しつつ、オリジナル作品や新しいフランチャイズは必要だと述べています。
元BioWareのゼネラルマネージャーで、『Star Wars: Knights of the Old Republic』とMass Effect三部作のディレクターを務めたCasey Hudson氏は、BioWareで働いた人々、影響を受ける同僚、次のMass Effectを楽しみにしていたファンのすべてにとって悲しい知らせだと述べました。キャリアをBioWareで始めたことに感謝し、その遺産は関わった人々を通じて受け継がれると語っています。Hudson氏は現在、『KOTOR』の精神的後継作『Star Wars: Fate of the Old Republic』を開発するArcanaut StudiosのCEOを務めています。
買収後のEAの動き
EAにとってこの1年は激動の年でした。8月には、サウジアラビアの公共投資基金(PIF)、Silver Lake、Affinity Partnersからなる投資家グループによる550億ドルの買収を受け、非公開化しています。Financial Timesは、この取引がAIによってEAの運営コストを大幅に削減できるという期待に支えられていたと報じました。投資家グループが同社に積み上げた債務をより適切に管理する狙いがあったとされています。