ゲーム契約専門の弁護士、AIで作られた納品物を巡る契約トラブルを紹介「注文できても料理人ではない」
2026年10月27日 | #その他 | GamesRadar+
ゲーム契約を専門とする弁護士のHaley MacLean氏が、生成AIで作られた成果物を巡る契約トラブルをBlueskyで紹介しました。依頼を受けたプログラマーが、自分で作ったものを理解しないままAI製のコードを納品したといいます。MacLean氏はVoyer LawでIP弁護士とビデオゲーム部門の責任者を務めています。
納品物は不具合だらけで、報酬は支払われず
MacLean氏によると、契約したプログラミング担当者が、依頼主にマイルストーンの成果物を納品しました。しかし内容は壊れていて問題も多く、受け入れる前に修正を求めたそうです。
担当者は修正はできないと答え、全額の支払いを要求しました。調べたところ成果物はすべてAIで作られたもので、本人も自分が何を作ったのか分かっていなかったとのことです。MacLean氏は、この担当者には報酬が支払われず、依頼主の時間も無駄にしたと述べています。
さらに、担当者はマイルストーンを「作る」ために、ゲームの機密情報をAIツールに入力していました。MacLean氏はこれを秘密保持義務違反にもあたると指摘しています。そのうえで「レストランで注文できるからといって、シェフになれるわけではありません」と語りました。
契約にAI禁止条項を入れる動き
MacLean氏は以前GamesRadar+のインタビューで、ゲーム開発における生成AI利用への法的な反論を示していました。著作権のリスク、評判への脅威、権利の帰属に関する危険性を挙げていました。今回は倫理や創造性の問題を脇に置き、成果物だけを見ても、AIを活用することと考えなしに頼ることには明確な違いがあるという視点から、この問題を示しています。
MacLean氏は、契約にAI禁止条項を盛り込む依頼主が増えていると述べ、法的リスクがあるためこうした保護を勧めています。現在ではほとんど定型文のようになっており、生成AIの条項がない契約に出会った場合は、とくにパブリッシャーもアセットを作る立場なら、条項を求めるべきだとしています。パブリッシャーがマーケティングや移植、QAに生成AIを使わないようにするためです。
ストアやオープンソースに広がるAI製コンテンツへの反発
Steamなどのストアや、移植や再コンパイルといったオープンソースの分野では、AI製の質の低い作品が大量に出回っています。これを受けて、ゲームにおける生成AIの扱い方を巡る議論が激しくなっています。PS3エミュレーターRPCS3の開発責任者は、AIに頼るバイブコーダーに対し「デバッグとコーディングを学び、いなくなった後に人類の役に立つものを残してください」と述べ、多くの人の思いを代弁しました。
一方、Epic GamesのTim Sweeney CEOのように、生成AIを強く支持するゲーム業界のリーダーもいます。ただ、現在主流の形を含め、複数の理由からこの技術に反対する開発者も少なくありません。Epicは新しいUnreal Engineのゲームジャムで、生成AIの利用を一時必須にしたことがありました。これは、新しいEpic Gamesストアのランチャーを「バイブコーディング」で作ったと述べた数日後のことでした。
原文筆者は、バイブコーディングという言葉が、プログラミング言語よりAIへの指示に詳しい人が作ったコードを指すようになり、言葉を汚しているように感じると述べています。
2025年にはValve共同創業者のGabe Newell氏が、AIによって「おかしな状況」が生まれる可能性を予測していました。経験の浅いプログラマーでも、AIツールに長けていれば、価値創出の面で「より効果的」になりうるという見方です。