Newzooのアナリストが語る、Valveが独立企業である限りSteamの牙城を崩すのは難しいという見方
2026年10月29日 | #その他 | GamesRadar+
GamesRadar+は、調査会社Newzooでマーケットインテリジェンス部門のディレクターを務めるEmmanuel Rosier氏に、「Steamを打ち負かせる存在は現れるのか」と尋ねました。Epic Gamesの最近の動きや、同社CEOのTim Sweeney氏の発言、AIに依存したゲームをめぐるValveの対応への注目を受け、PCゲーム市場でこの問いが改めて議論されています。Rosier氏は、現状ではSteamを避けて通るのは難しいとの見方を示しました。
「振り子」で見るPCゲーム市場
SteamにはGOGやItch.io、Battle.netなどの代替が存在します。Rosier氏はアジアで成功している「ローカルランチャー」にも触れています。ただ、Steamの市場でのリーダーとしての地位を脅かす存在はいません。
Rosier氏は、この状況を「振り子」にたとえています。10年から20年前には大手パブリッシャーが独自のPC向け配信プラットフォームを立ち上げましたが、ほぼすべてがSteamに戻ったといいます。EAやUbisoftがその例で、BlizzardもいまではOverwatchをSteamで配信しています。Rosier氏は、大手がSteamから離れて自社プラットフォームだけで展開する動きは、現時点では見えないと述べています。
不確定要素として挙げたのが、Microsoftの次世代機であるXbox Project Helixです。MicrosoftはActivision Blizzardを通じてBattle.netを保有しており、Helixはコンソールとして、PCとのハイブリッドという位置づけです。PCゲームを遊べる見込みですが、Steamを動かせるかどうかは分かっておらず、Microsoftのエコシステムの形はまだ見えていません。
乗り換えを難しくする要因
記事の筆者は、Steamの強みはSteamが支配的であること自体にあり、投資と慣れが積み重なる構造だと指摘しています。Phil Spencer氏が、XboxはPlayStationとの「負けてはいけない世代」に負けたと認めた例を挙げ、他社のプラットフォームにデジタルライブラリが蓄積されるほど、乗り換えは難しくなるとしています。最近では、開発者への分配率や機能面で優れたSteamが登場しても、使い慣れていて資産がそこにあるため、試すのをためらう人は多いという意見も出ています。
Rosier氏も、現在のSteamの強みはネットワーク面にあると話します。フレンドもライブラリもそこにあり、別のプラットフォームでゲームを買ってもらうよう促すのは、プレイヤーに摩擦を生むため難しいといいます。そのため競合には、Steamより良い体験を提供することが求められ、そうでなければ移行させるのは非常に難しいとの考えです。
非上場であることがValveの強み
記事の筆者は、Valveが非上場の企業であることも大きな強みだとみています。株主価値や成長への期待というプレッシャーを避けられるため、ユーザー体験を優先し、人材を維持できているといいます。売上の約30%(小幅な段階的調整あり)を手数料として得ることで、従業員1人あたりの収益は世界有数の大手テック企業をしのぐ水準だそうです。その手数料に見合うサポートや機能をSteamが提供しているのか、収益の少ないゲームには優遇した料率を適用すべきではないかといった点は、激しい議論の的になっています。それでも、このモデルが機能していることは確かだと筆者は述べています。
Rosier氏は、Valveが独立していて上場していない限り、一定の野心はあっても並外れた野心は持たないだろうと語ります。そのためプレイヤー第一の判断を下せる余地があり、それがプレイヤーからの好意につながるという見方です。
筆者は、元Epic Gamesのアニメーションプログラマーによる最近の主張にも触れています。この人物は、Steamの地位はそれほど固く、Valveが大きな失敗をしない限り、実質的に負けることはないと論じています。Rosier氏はこの見方について「良い視点だと思う」と同意しました。