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『GTA Advance』はシリーズ最悪の一本だが、Rockstarが失敗から学ぶ上で欠かせない作品だった

2026年10月31日 | #レビュー | Polygon

『GTA Advance』はシリーズ最悪の一本だが、Rockstarが失敗から学ぶ上で欠かせない作品だった

『GTA Advance』は、ひどい部分がある一方で、悪評ほど悪くはない不思議な作品です。Rockstar史の中でも欠かせない一本だと評されています。最大の理由は、グランド・セフト・オートの「何がGTAらしさなのか」がまだ固まっていなかった時期に、Rockstarが開発のDigital Eclipseとともに、シリーズが行き詰まりうる点を確かめる機会になったことです。長所はあるものの、プレイの出来は厳しいと言わざるを得ません。それでも、後のより優れた作品への道を開いた「必要な失敗作」であり、今のゲーム業界ではもう許されにくい種類の失敗だというのが、筆者の見方です。

復讐に燃える主人公と、手応えのあるストーリー

本作は『GTA 3』のゆるい前日譚にあたります。舞台は、GTA 3の主人公Claudeが恋人に撃たれる前のLiberty Cityです。ただし、ここで同市のランドマークを見分けるのは難しいとのことです。

主人公のMikeは小悪党で、『GTA 4』のNikoのように、もう犯罪の世界から足を洗いたいと思っています。ところが相棒のVinnieとともに街を出ようとした矢先に、マフィアにVinnieを殺されてしまいます。Mikeは組織への復讐に巻き込まれていきます。賢い選択ではないものの、刺激的な展開です。

ミッションでは、Vinnieを殺した犯人の情報を追います。手がかりをたどるほどマフィアに近づく危険な道のりで、ドット絵ならではの大仰なメロドラマにあふれています。結末には、物語をひっくり返す非常に満足度の高いどんでん返しも用意されています。

筆者は、近年のGTAのストーリーが緩い構成になりがちな点にも触れています。San AndreasのC.J.は復讐を望み、Vice CityのTommyは恨みを抱えて街に残りますが、復讐への思いにプレイヤーが入り込みにくいことが多いといいます。きっかけとなる出来事が自分やキャラクターから遠かったり、ありふれていたりして、強い動機になりきらないためです。むしろ、街の隅々まで探索したい気持ちのほうが、プレイヤーを前に進ませます。Mikeの物語は、ときにGTA 3の二次創作のようになるものの、より切迫感があります。すぐそこにあったより良い生活を、理由もなく奪われたという感覚が伝わるからです。

ゲームボーイアドバンスの限界を超えた野心

ただ、Mikeの苦難よりも、プレイヤーが本作を最後まで遊び通す苦労のほうが前面に出てしまいます。Digital EclipseとRockstarの野心は、ゲームボーイアドバンスの性能を上回っていました。ハードは動作に苦しみ、フレームレートはひどく、操作性も非常に扱いにくいと評されています。Rockstar作品の操作はもともと扱いにくいものが多いものの、必要な操作を少ないボタンと狭い配置に押し込んだことで、不必要に複雑になっているそうです。

3D版を携帯機に持ち込もうとした試み

残念な出来ですが、本作はGTAの「思春期」を知る上で興味深い作品だと筆者は述べます。現代的なGTAとシリーズ伝統の見下ろし視点を融合させようとした、Rockstarらしからぬ迷いの時期の作品です。しかも、小さな紫色の携帯機を手に取った人々は、GTAを買うつもりではなかったかもしれません。

本作は3D版のオープンエンドな作りを、ゲームボーイアドバンスの制約の中で再現しようとしました。Rockstarも3D版の続きとして売り出しています。販促資料には次のようにありました。

「伝説的でルールを破り、ジャンルを打ち破るグランド・セフト・オートが、ゲームボーイアドバンスに登場しました。まったく新しいストーリーと新ミッション、そしてGTAならではのオープンエンドなゲームプレイで、Liberty Cityの街に戻りましょう」

筆者はこれを、Rockstarの希望的観測だったとみています。自由度が残るのは街の探索と、一部のサイドミッションにとどまります。街自体は、同時期の他作品ほど視覚的に驚異的ではないものの、見事に描かれているそうです。Mikeの本筋は一本道です。サイドミッションはVice Cityとそれほど変わらず、ストリートレース、消防、自警といった、現代のGTAに詰め込まれてきた要素が並びます。ただし、ずっと小さくカクついた形で提供され、ラジオ局も見劣りします。こうした細部は些細に思えても、Rockstarは後に、それらがファンにとって非常に重要だと学んだと筆者は指摘します。

失敗する余地が必要な理由

筆者は、『GTA Advance』を遊ぶよりも語るほうがずっと楽しいとしつつ、それでも悪いゲームは必要だと結論づけています。誰も最初から完璧なものは作れないからです。今のゲーム業界には、期待を下回る作品や不完全な作品を受け入れる余地がほとんどなく、ベストセラーですら居場所が乏しいといいます。それでも、改良を重ねる余地は欠かせません。

その例が、Rockstarのその後の携帯機向けGTAです。ニンテンドーDSとPSPで発売されたChinatown Warsは、Rockstar自社開発で、より制約の多い環境にGTAの魂を巧みに移し替えたと温かく評価されました。『GTA Advance』はお粗末なゲームかもしれません。しかし、その粗さと、GTAに何が合わないのかを見極めたことが、シリーズの未来への重要な足がかりになったと筆者は評価しています。