King's Field へのオマージュ『Queen's Domain』、5時間プレイ時点で今年のお気に入りに入る完成度
2026年11月05日 | #レビュー | Eurogamer
Freshly Baked Gamesが手がける『Queen's Domain』は、1人称視点で遊ぶレトロ風ファンタジーアクションRPGです。FromSoftwareの往年のシリーズ「King's Field」への明確なオマージュとして作られています。Eurogamerの筆者はKing's Fieldを遊んだことがなく、オマージュとしての出来は判断できないとしつつも、約5時間のプレイ時点で今年のお気に入りの1本になったと語っています。その最大の理由は、入り組んだ島の探索と、独特のリズムを持つ戦闘が噛み合っている点です。
浜辺から始まる、冷え冷えとした孤独な雰囲気
物語は浜辺から始まります。主人公のBeriik王子は、謎の島Neasiedへ向かう途中で遠征船を破壊され、岸に打ち上げられました。行方不明になった父のGius Abraon王を探すのが目的です。長い平和の後、邪悪なSiraatsu女王の死者の軍勢が動き出し、死者がよみがえり、伝説の獣が戻り、土地の生き物は凶暴化しています。固有名詞が母音だらけで読みにくいと筆者は冗談めかしていますが、雰囲気については文句のつけようがないとしています。
ビジュアルは、90年代から2000年代初頭のローファイなゲームを思わせる低ポリゴンの角ばった造形、ちらつく低解像度のテクスチャ、ラスター描画の空が特徴です。筆者は、同じ手法を使う『Dread Delusion』に通じるところがあると述べています。ただし、あちらの腐敗した空気とは違い、こちらは緑、灰色、茶色、青の落ち着いた色調による冷たい孤独感が中心です。
サウンドトラックも個性的です。レトロなシンセが、物悲しいアンビエントから重く不協和な響きへ予測できない形で移り変わり、トランペットやアヒルの鳴き声まで取り込んでいます。小さく見えて実は迷路のような島の地形も、探索を進めるほど奇妙さを増していきます。
迷路のような島を探索するパズル
浜辺から内陸に進むと、すぐに道が分かれます。板張りの道、巨大な石の扉、柵のある洞窟、崖の上にそびえる古い塔など、目を引く目印が数多くあり、それが道しるべにも暗黙の目標にもなります。『Queen's Domain』は親切に目的を示すゲームではなく、序盤は塔が有力な手がかりに見えます。
しかし、遠くから見ると筋が通っているように見える島も、目印同士を結ぶ道は非常に入り組んでいます。崖沿いの危険な道を進んだり、森の暗がりに下ったりするうち、テントウムシとネズミ、ニワトリとコオロギのような奇妙な合成生物と戦うことになります。そして最終的に、2つの道が合流していると気づきます。意図的に方向感覚を狂わせる設計により、移動と探索そのものが魅力的なパズルになっています。
最初の本格的な剣を手に入れると、この面白さはさらに増します。この剣は突進するような強力な斬撃を持ち、攻撃手段であると同時に、緊急時の回避にも使えます。さらに移動手段としても働き、突進で以前は越えられなかった隙間を渡れます。探索は地上だけでなく高低差のある立体的なものになり、木々の上を飛び移ったり、壊れた橋の先を確かめに戻ったりできます。筆者は、簡単そうな上り坂が数時間に及ぶ水の神殿の探索につながるなど、先に待つものに何度も驚かされたと述べています。
道が分かりにくい場面も多くあります。毒の瘴気の池に飛び込み、ぎりぎりで前方へ突進して隠れたパイプを伝ったり、届かなかった張り出しを調べて恐ろしい深みへ続く隠し通路を見つけたりします。突然の近道で道が元の場所に折り返すこともあります。筆者は、自由度の大部分は錯覚で、島は大きく逸脱できないよう丁寧に設計されていると認めています。それでも、隠された場所が多く手取り足取りの案内が少ないため、自分で道を切り開いている感覚が得られるといいます。新しい道具を得るにつれてメトロイドヴァニア的な側面も見えてきて、より明確なパズルが加わると、移動のリズムにさらに絡み合います。
慣れが必要だが、やがて引き込まれる戦闘
戦闘は進行の合間に挟まる、ゲームの鼓動のような存在です。ただし、意図的に素朴な仕組みなので、慣れるまでには少し時間がかかります。昔のゲームの戦闘を再現した重たい操作感に加え、一度気づかれた敵はしつこく目の前まで追ってきます。取れる行動も、剣を振る、攻撃の外へ踏み出す、くらいで、専用の回避ボタンすらありません。敵の攻撃パターンは少なく読みやすいものの、それでも失敗して倒されることは避けられないと筆者は述べています。
それでも次第に、フェイントで敵の攻撃を誘い、スタミナの許す範囲で反撃の隙を突く、手堅い駆け引きの戦闘として面白くなっていきます。『Dark Souls』と比べるとずっと大味ですが、独自の心地よいリズムがあります。通常の斬りつけはわずかなダメージしか与えられず、ボタンを押し続けて溜めた攻撃のほうがはるかに大きなダメージを与えるため、慎重さが促されます。複数の敵が迫る中で、最適な瞬間に一撃を放つタイミングの勝負になります。
これはまだ土台にすぎません。やがて、少しずつ補充される投げナイフが手に入り、敵を引き付けながらの攻撃や、遠くの見張りのような敵の撃破に使えます。槍や棍棒には珍しい副次効果があるものも多く、じゃんけん式のダメージ設計とあわせて、特にボス戦で武器を試す意欲を引き出します。仕上げが自動レベルアップのシステムで、キャラクターだけでなく個々の武器も成長し、最終的には進化します。敵を避けず戦うよう促し、手強さゆえに繰り返しが避けられないゲームの中で、着実な進歩の実感を与えてくれます。
『Queen's Domain』はSoulslikeではないと筆者は強調しています。死んでもアイテムを落とさないため、必死の回収は不要です。クリスタルで休んで体力などを回復すると世界がリセットされ、一か八かの冒険を促す要素になりますが、ゲームを独立してセーブでき、息をつく余裕も用意されています。
総評
筆者は『Queen's Domain』を、雰囲気があり、ときにふざけたレトロな回顧作だと評しています。機械的、美術的な制約を自ら課しているにもかかわらず、窮屈さはまったく感じないとのことです。約40時間とされるプレイ時間の5時間ほどの時点で、戦闘、探索、パズルが心地よいリズムに落ち着いており、難しい場面や自身の不器用さによる苛立ちがあっても、また遊びたくなるそうです。King's Fieldのオマージュとして優れているかは分からないとしながらも、少なくとも現時点では、すこぶる楽しい時間を過ごせていると結んでいます。なお、本稿は約5時間時点での印象に基づくもので、スコアは付けられていません。