『ICO』や『ワンダと巨像』を手がけた上田文人氏が語る、ゲームの「ぎこちなさ」が記憶に残る理由と、現代のゲーム開発における葛藤とは?
2026年07月03日 | #ゲーム #発売 | GamesRadar+
『ICO』や『ワンダと巨像』、『人喰いの大鷲トリコ』といった名作を手掛けたゲームデザイナー、上田文人氏が、ゲーム内に意図せず生まれたり、時には「ぎこちない」と感じられる要素こそが、プレイヤーにとって記憶に残るものになるとの見解を示しています。これは、同じく著名なゲーム開発者である須田剛一氏との対談の中で語られたもので、上田氏の過去作品に見られる、広大な世界で小さなキャラクターを操作するという体験が、時として困難や不便を伴うからこそ、よりリアルで記憶に残るものになっていると分析されています。
ぎこちない操作感が記憶に残る理由
須田氏は対談の中で、『ワンダと巨像』の特定のシーンについて言及しています。それは3番目か4番目の巨像で、坂を登る途中にワンダを横向きにジャンプさせる必要があり、須田氏自身もこの操作に苦戦したとのことです。しかし、時間が経つにつれて、そういった困難な部分こそが、冒険の記憶として心に残ると語っています。これに対し上田氏は、作り手が意図しなかった「難しい」部分や、多少容赦がなく「ぎこちない」と感じられる要素が、最終的にプレイヤーの記憶に強く刻まれることが多いという考えを示しました。
現代のゲーム開発における課題
一方で上田氏は、もし現在『ワンダと巨像』のようなゲームを開発するとしたら、当時は許容していたような「ぎこちなさ」を修正してしまうだろうとも語っています。プレイテストの結果でプレイヤーが苦戦している箇所があれば、すぐにでも修正すべきだと考えるだろう、とのことです。これは、現代のゲーム開発がプレイヤーの快適性やアクセシビリティを重視する傾向にあることを示しており、意図せざる「ぎこちなさ」がもたらす独自性が失われる可能性を秘めていると言えるでしょう。上田氏とEpic Gamesが共同開発中の新作『Gen Atlas』も、サイズとスケールがテーマのアドベンチャーゲームで、飛行する巨大なメカの頭部を操縦し、様々なロボットの胴体と合体させるというユニークなコンセプトが発表されています。この新作が、上田氏の過去作が持つ「荒削りな魅力」をどのように継承していくのか、期待が集まります。