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『Hell Let Loose: Vietnam』大規模戦の臨場感と連携の難しさが同居する戦争シミュレーター

2026年08月28日 | #レビュー | Eurogamer

『Hell Let Loose: Vietnam』大規模戦の臨場感と連携の難しさが同居する戦争シミュレーター

大規模な戦場で数十人のプレイヤーが連携して戦う瞬間に、本作はほかのオンラインFPSでは味わいにくい魅力を見せます。広大なマップ、密林による視認性の低さ、厳格な指揮系統が生む戦術性は非常に印象的です。一方で、意思疎通が機能しない試合では一転して、どこから撃たれたのかも分からないまま倒され続ける不快な展開になりやすく、楽しさが安定しない作品でもあります。

大規模戦とボイスチャットを軸にした設計

『Hell Let Loose: Vietnam』は、100人のプレイヤーがアメリカ陸軍と北ベトナム軍に分かれ、東南アジアの広大なマップで戦う戦争シミュレーターです。歩兵だけでなく、車両や航空機、砲撃などを組み合わせた戦闘を重視しており、派手な演出を連続させるタイプのFPSではありません。敵を遠距離から狙う場面が多く、単独でマップを走り回れば、交戦する前に倒される可能性が高い設計です。

本作で重要になるのが、現代的なボイスチャットを前提にしたコミュニケーションです。6人で構成される分隊には分隊長が付き、分隊長は再出撃地点を設置して部隊を戦場へ戻します。さらに各陣営には司令官がおり、補給物資や航空攻撃などを要請できます。プレイヤーは衛生兵や擲弾兵などの役割を担いながら、敵の位置や攻撃方向を伝え、分隊長や司令官の指示に合わせて動かなければなりません。

この仕組みは、単に「仲間と話すと有利になる」という程度ではありません。会話をしなければ、敵の存在に気付けず、砲撃や航空攻撃の危険も察知できないまま倒されます。原文筆者は、本作のコミュニケーションについて、プレイヤーを自然に会話へ誘う作品とは違い、話さなければ厳しい結果になる仕組みだと表現しています。厳しい導入ではあるものの、連携が成立したときの見返りは大きい設計です。

密林が生む緊張感と陣営ごとの違い

本作の戦場の多くは、密集した植生に覆われています。長い草の中を匍匐しながら、敵の姿ではなく銃声の方向を頼りに位置を推測する場面も珍しくありません。警戒していても、視界の近くまで敵が入り込むまで存在に気付けないことがあります。敵を倒したときの明確なキル表示もないため、相手の悲鳴を聞いたり、倒れる姿を目視したりしなければ、本当に撃破できたのか判断できません。

この仕様は戦闘を慎重にしますが、同時に不安定さも生みます。敵を負傷させたと思って前進したところ、実際には生き残っていて反撃されることがあるためです。密林は敵を見つけにくくするだけでなく、距離によってオブジェクトの細部が変化するLODの影響で、自分が相手からどの程度見えているのか把握しにくい状況も生みます。身を隠しているつもりでも、遠方の敵からは想定以上に目立っている可能性があります。

陣営間の非対称性も導入されています。アメリカ陸軍はヘリコプターを使用できる一方、北ベトナム軍は地下トンネル網を構築し、マップ内を素早く移動できます。組織的なチームで運用すれば、それぞれ異なる戦術を選べる要素です。ただし原文筆者は、こうした違いがあるからといって、プレイヤーが1分ごとに体験する戦闘が大きく変わるわけではないと見ています。本作を前作から大きく変えているのは、陣営差以上に密林そのものです。

マップの作り込みは高く評価されています。木々、田園、集落が中心となる環境から、さまざまな戦闘状況を引き出しています。Thanh Hóa Bridgeは、川の中央を横切る鉄道橋を軸に、両岸の長い射線と橋上の近距離戦が共存するマップです。Huế Outskirtsは山岳地帯と複数の工業区画を含み、高低差が戦闘に大きく影響します。

マップはいずれも広く、比較的狭い戦場を採用する一般的なFPSよりも、兵員輸送車両を使う意味が明確です。司令官も戦術を組み立てるための空間を確保でき、複数地点の同時確保が求められるモードでは、部隊の配置や再出撃地点の位置が重要になります。直線的に進むモードでも、攻撃側が敵陣の背後に再出撃地点を作り、後方から攻めることが可能です。正面衝突だけに頼らない作戦を立てられる点は、本作の大きな強みです。

連携が決まったときの魅力と、崩れたときの問題

原文筆者は、衛生兵として参加したある攻撃戦で、分隊長の正確な指示によって最初の重要拠点を守り切った試合を紹介しています。分隊長は左側面からの敵の攻撃を報告し、擲弾兵に敵装甲車両の破壊を指示し、最後の背後からの攻撃まで予測しました。複数のプレイヤーが同じ情報を共有し、それぞれの役割を果たした結果、敵軍の攻勢を抑え込めたという場面です。

このように意思疎通が機能すると、戦場全体がひとつの作戦として動き始めます。前線の兵士が敵を発見し、分隊長が進行方向を決め、司令官が支援を呼び、車両や航空機が突破口を作るという流れです。ナパーム攻撃が木々の向こうで発生し、頭上をヘリコプターが飛び、白い煙を引くロケットが空を横切る光景は、派手さを売りにする作品とは異なる形で強烈な印象を残します。

ヘリコプターの初搭乗時に、着陸直後の機体が爆発して乗員全員が死亡するような出来事も起こります。こうした予測不能な事故は、ゲームへの導入映像よりも本作らしい体験になると原文筆者は記しています。うまくいかない出来事でさえ、仲間との会話や試合後の話題になる可能性があります。

しかし、チームの連携が崩れると評価は大きく変わります。実際のスナイパー枠は各チームで少数に制限されていますが、基本ライフルでも中距離から長距離まで十分な威力を発揮し、フルオート射撃も可能です。その結果、ほぼ全員が狙撃手のように振る舞える状況が生まれます。最悪の場合、再出撃地点の周辺で一方的に倒され、どこから撃たれたのか分からないままヘッドショットを繰り返される展開に陥ります。

密林はこの問題をある程度和らげますが、敵を見つけにくいことは自分が攻撃する側にも不利に働きます。連携がなければ、味方がどこを見ているのか、敵がどの方向から近付いているのか分からず、単独行動したプレイヤーが簡単に排除されます。広大なマップと再出撃地点の自由度は戦術の幅を広げる一方、敵陣深くに設置された地点が破壊されないまま、出現直後の味方が狙われ続ける状況も招きます。

シューターとしての操作感とオンライン環境

原文筆者は、純粋なシューターとして見ると、本作は競合作品に後れを取っていると評価しています。移動は重く、反応も滑らかとは言いにくい仕上がりです。敵をはっきり視認できる距離まで近付いて撃ち合っても、命中した感覚が希薄で、戦闘が手応えのないものに感じられる場合があります。

キルマーカーを表示しない方針自体は、本作の緊張感に合っています。敵を撃った瞬間に画面へ結果を表示しないことで、倒せたかどうかを周囲の状況や相手の動きから判断する必要が生まれるためです。ただし、その代わりとなる音や映像によるフィードバックが不足しており、撃破の満足感まで失われています。リアリティを重視した結果として、操作の快適さや射撃の分かりやすさが犠牲になっている部分です。

車両の操作にも慣れが必要で、特にヘリコプターは安全に扱うまでに練習を求められます。いっぽうで、衛生兵は本作の仕組みを覚えるきっかけになりやすい役割として原文筆者に挙げられています。前線で味方を支援しながら、味方の位置や戦況を把握する必要があるため、単独で撃ち合うよりもチーム全体の動きを理解しやすい立場です。

ボイスチャットを重視する設計には、オンラインコミュニティの問題も付きまといます。原文筆者は、親切に連携するプレイヤーにも不快な言動を繰り返すプレイヤーにも遭遇したとしています。個別のプレイヤーをミュートやブロックできる機能は用意されていますが、他者との会話をゲームシステムの一部に組み込むなら、初心者や不慣れなプレイヤーを受け入れやすい環境づくりも必要です。

差別的な発言や、ベトナム人を侮辱するような物まねを聞かされるくらいなら、別のマルチプレイ作品を選べるというのが原文筆者の率直な指摘です。本作の面白さは他者との連携に強く依存しているため、コミュニティの雰囲気がプレイ体験へ直接影響します。これは単なる周辺的な問題ではなく、本作の設計思想そのものに関わる課題です。

戦場の可能性は大きいが、安定した楽しさには届かない

本作は、すべてが噛み合った試合では、一般的な大規模FPSよりも興味深い戦場を作り出します。広いマップを活用した迂回、密林での偵察、分隊長による指揮、司令官の支援要請、車両や航空機の運用が連続して機能すると、プレイヤーの行動が大きな戦況の変化につながります。撃破数だけでは測れない貢献があり、戦場の一員として動いている感覚も得られます。

ただし、その状態に到達するまでの負担は軽くありません。味方が会話しない、指揮が機能しない、再出撃地点が危険な場所に置かれるといった要素が重なるだけで、試合は長時間の移動と一方的な死亡の繰り返しになります。密林の視認性、キル表示の不在、重い操作感、遠距離からの即死が合わさることで、プレイヤーが状況を理解する前に敗北感だけを味わうケースもあります。

原文筆者は、本作がオンラインマルチプレイの長所と短所を同時に体現しているとまとめています。連携が成立したときの魅力は非常に大きいものの、安定して楽しめる作品ではなく、その報酬を得るにはプレイヤー側が多くの努力と不快な体験に耐えなければなりません。戦争シミュレーターとしての個性は明確ですが、手軽に遊べるFPSや、常に派手な展開が続く作品を求める人には向きにくい仕上がりです。