『Anno 117: Pax Romana』ヒッポドロームDLCは建設だけでなく都市全体の連携を強化
中盤向けの追加コンテンツは、序盤や大型拡張の締めくくりに比べて見劣りしがちです。しかし『Anno 117: Pax Romana』のヒッポドロームDLCは、巨大建築物を1つ追加するだけにとどまらず、資源生産や都市設計、スペシャリストの価値まで変える内容になっています。原文筆者は、当初の控えめな期待を大きく上回るDLCだと評価しています。
ヒッポドローム建設が新たな目標に
DLCを導入すると、新しい研究分岐が解放され、記念碑級の建築物であるヒッポドロームを建設できるようになります。古代ローマやビザンツ帝国のヒッポドロームは、貴族と庶民が戦車競走を観覧する場であると同時に、皇帝による式典や国家的な催しの舞台でもありました。本作では処刑などの要素は扱われず、中心となるのは戦車競走ですが、建物の壮大さや社会全体を巻き込む存在感はしっかり再現されているとのことです。
建設は、ほかの巨大建築物と同じく複数の段階に分かれています。各段階では木材やコンクリートをはじめ、膨大な量の大理石とモザイクが必要です。難易度やワールド生成によっては、大理石やモザイク用の顔料を入手できる島が限られるため、単に資材を集めるだけでも大規模な生産網の再編を迫られます。
ヒッポドロームでは、さらに布やアルビオン産の花崗岩も要求されます。布の生産に必要な亜麻はトーガなど別の用途に回すことになり、花崗岩を得るにはアルビオンで採石を整備しなければなりません。原文筆者は、当初アルビオンをローマの上流階級向け消耗品の供給地としてしか重視していなかったため、花崗岩の生産に対応する小規模な社会を急いで整え、新たな島を確保し、ローマまで長距離輸送することになったと説明しています。
建築には大量の労働者も必要です。島ごとの人口計画が不十分だと建設場所そのものが制限されるため、どの島を都市の中心にするか、どこを資源生産に使うかという判断が重要になります。原文筆者は、Prophecies of Ashで追加された大きな島Cinisが存在したことで建設を進められたとしています。中盤以降の目的が薄くなりがちな本作にとって、ヒッポドロームの完成と、それを支えられる社会の構築は、長期的なプレイ目標を与える役割も果たします。
島全体に作用する新たな建物効果
4段階の建設を終えてヒッポドロームが開業すると、DLCの面白さはさらに広がります。ヒッポドロームには威厳レベルが設定されており、島全体に生産ボーナスを与えます。威厳レベルを上げるほど、そのボーナスの効果も強化される仕組みです。
この効果によって、ヒッポドロームは単独で完結する記念碑ではなく、島の建物や生産計画と結び付いた施設になります。通常の建物は収入や火災リスクなど個別の効果を持つものの、ほかの建物との相互作用は限定的でした。もう1つの記念碑である円形劇場も、建設を支える施設は必要でしたが、主な報酬は威信に限られていたとされています。
今回の仕組みは、都市の配置を考える意味を強めるものです。今後予定されているDelta拡張などでも、建物同士の連携や配置による差がさらに掘り下げられることを原文筆者は期待しています。単に生産施設を増やしていくのではなく、島全体を1つの機能する都市として設計する方向性が示されています。
無料アップデートでスペシャリストも拡張
ヒッポドロームDLCと同時に配信された無料のバージョン2.0アップデートでは、「Heroic」クラスのスペシャリストが追加されました。スペシャリストを呼び込むには威信が必要ですが、威厳と威信が高い都市ほど、Heroicクラスを誘致しやすくなります。
新たなスペシャリストには、生産チェーンそのものを省略できるほど強力な効果を持つ者が含まれています。顔料の生産チェーンを完全に不要にして山岳部の限られた建設用地を別の生産に回せる者、青銅を金で代用できる者、鉱山の近くに配置すると大理石とモザイクの生産量を高める者などです。戦車を生産しない場合には用途が限られるものの、木材によって車体の生産を置き換えられるスペシャリストも登場します。
これらの効果は主に終盤向けですが、長期間にわたって同じ世界を発展させる動機を強めます。都市が大きくなるほど、威信や威厳を高めて強力なスペシャリストを集める価値が増し、新しいワールドへ移るよりも現在の都市を繁栄させ続ける楽しみにつながるとのことです。
生産補助の扱いはより慎重に
原文筆者は、こうした生産チェーンの省略やボーナスが、Anno 1800の一部の追加要素よりもバランスよく機能していると見ています。Anno 1800では、サイロのようなDLC要素によって生産工程全体が簡単になりすぎる場合があり、大都市を支える終盤には便利でも、そこへ到達するまでの過程では強力すぎる面がありました。
一方、本作のスペシャリストによる補助は、対象や入手条件が限定され、段階的に都市へ組み込まれていきます。生産を一気に無意味にするのではなく、限られた土地や輸送能力をどこへ振り向けるかという新しい選択を生む点が評価されています。
もちろん、本作には今後も拡張の余地が残されています。それでもProphecies of AshとヒッポドロームDLCによって、ゲーム中盤以降の目的不足や建物同士のつながりの弱さが一部改善され、Ubisoft Mainzが今後どのような展開を用意するのか、原文筆者は以前より強い関心を持っているとしています。