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『Afterworld』、情報過多を抑える設計でグランドストラテジーに挑む

2026年09月01日 | #レビュー | Eurogamer

『Afterworld』、情報過多を抑える設計でグランドストラテジーに挑む

Paradoxの新作『Afterworld』は、ポストアポカリプス世界を舞台にしながら、従来のグランドストラテジーにありがちな情報量の多さを抑えようとしている点が注目されます。原文筆者は約45分の試遊を通じて、探索で新たな要素を発見するたびにゲームの仕組みが段階的に開かれていく設計を体験し、これまでParadoxの作品を最後まで理解しきれなかった人でも入りやすい可能性を感じたとしています。

文明の始まりは3つの出自から

本作の舞台は、危険な地形や旧世界の廃墟が広がる、終末後の北米です。プレイヤーは生存者たちの集団を率い、わずかな基盤から大陸規模の勢力へ発展させていきます。古代技術を利用して恐怖で他者を従わせる道もあれば、住民を保護する文明を築く道もあり、サバイバルゲームや街づくりゲームの要素を、Paradox流の大規模戦略に組み込んでいるとのことです。

試遊版では、ゲーム開始時に3種類の出自から1つを選択できました。地下のシェルターで何世代も暮らした人々の末裔であるShelterbornは、特定の方向に偏りすぎない初心者向けの集団です。強力なAncientを崇拝する放浪の狂信者たちは、宗教や思想を重視するプレイスタイルに向いています。もう1つは、かつての監視官と囚人による集団で、軍事力や戦争を重視するプレイヤーを想定した出自です。

出自は単なる初期設定ではなく、それぞれ異なる物語上の背景とプレイスタイルを持ちます。Paradoxは本作を「ストーリー重視」と説明しており、目標や選択、探索中の発見にはイラストや短い物語、世界観を補足するテキストが付随します。Crusader Kingsのように人物の人生を直接演じる仕組みとは異なりますが、自分の集団が独自の歴史を歩んでいる感覚を得られるよう設計されています。

出自を決めた後にも、集団の土台を変える選択が用意されています。食料の配給を節約しやすい性質を選ぶこともできれば、緊急時には通常とは異なる食料源に頼る秘密のカニバリズム集団にすることも可能です。こうした選択によって、同じ出自でも生存方針や物語の方向性が変わります。

探索で世界とシステムを学ぶ仕組み

最初の目標は、シェルターの原子炉が爆発する前に周辺を調査し、新たな居住地を探すことです。プレイヤーが直接指揮するのは、まずRangerという単一ユニットだけです。Rangerを5つの州にまたがって移動させると、これまで見えなかった地域が明らかになり、資源地点や調査対象の「mysteries」が発見されます。

資源地点では、後に定住した集団が狩れるリスや、確保すれば利用できる水場などを見つけられます。一方のmysteriesは、探索中に発生する小さな出来事です。原文筆者は小さな農場を発見し、表示されたテキストを読んだ後、報酬として乗馬を選択しました。この報酬によって、補給のために拠点へ戻らず、手持ちの物資でより遠くまで移動できるようになったと考えられるほか、拡大表示したマップ上でRangerが馬に乗って移動する姿も確認できたとしています。

探索は、単に資源を拾うための行動ではありません。マップ上で見つけたものが、新たな「Ideas」を生み出し、そこで初めて関連するゲームシステムや研究項目が利用可能になります。たとえば川を見つけると、釣りのIdeaが発生し、釣りに関係する選択肢を研究できるようになります。森林、バギー、道路といった複数の要素が組み合わさることで、高速な機動戦につながる可能性もあります。

外交も最初から無条件に使えるわけではありません。外交能力を利用するには、経験値に相当するSurvival Prideを十分に蓄積し、必要なstandingも確保する必要があります。原文筆者が試遊した範囲では、まず世界を探索し、そこから得た発見によって次の仕組みが開かれる流れになっていました。

ゲームディレクターのDan Lind氏は、この設計について「世界の物語を探索するのと同時に、ゲームの仕組みを少しずつ提示できる」と説明しています。Crusader Kingsのように、ゲーム開始直後から大量の用語やルールを提示するのではなく、必要になった段階で情報を見せることで、プレイヤーが一度に覚える内容を抑える狙いです。

拠点建設から集団同士の対立へ

Rangerが初期目標を達成すると、ほどなくしてシェルターの原子炉が爆発します。その後は新たに使える移住ユニットを動かし、次の居住地を探すことになります。候補となる州のタイルでは、食料生産に関係する肥沃度と、低いほど望ましい放射線量を確認できます。道路の跡を利用すれば移動速度も上がり、後に交易路を築けば新たな道路を生み出すこともできます。

原文筆者は食料資源と水へのアクセスを基準に定住先を選び、最初の町を建設しました。町にはランダムな名前が付けられ、試遊時の集落はFalse Hopeと呼ばれていたとのことです。拠点を確保すると、木材の収集や周辺資源の備蓄を担当する作業グループを割り当てられますが、序盤から食料と水が不足しており、長期的な生存にはさらなる探索や研究が必要になる状況でした。

研究にあたるIdeasは、発見した概念ごとにテーマ別のクラスターへ分かれています。持続可能なキャンプを作るためには、木材の収集、廃品回収、植物の栽培などが重要になります。新しい居住地を作った後は、Survival Prideを使ってShelterbornの集団を成長させることもできます。

集団を意味するBandsは、それぞれ固有の信条を持つ人々のまとまりです。1つの部族の中に複数のBandsを抱えることができ、各Bandには背景に根ざしたNormsと、より直接的に変更できるCustomsがあります。Normsは簡単には変えられない性質で、試遊時のBandは、出発時の選択によってシェルターを重視する種子保存者となっていました。Customsはアンロック式のアップグレードに近く、集団の価値観へ影響を与えます。

たとえば、搾取に反対する一方で、スーパーソルジャーや核兵器を連想させる「暗黒科学」を好むCustomを選ぶことができます。Bandsを評議会に参加させると、その価値観に沿う形で社会全体が動き始めます。どのBandが有用なのか、どのような文明の物語を描きたいのかによって、優先する集団を選ぶ必要が出てくる仕組みです。

Bandsには健康と士気のメーターもあり、食料や水などの必需品へのアクセスが影響します。序盤は配給を切り詰め、部族の存続を優先する判断が有効ですが、領土を広げて資源に余裕が出れば、住民の生活環境を改善する方針へ切り替えられます。住環境や生活の質に関係する設備はInspirationにも影響し、この数値が下がりすぎると反乱や内戦につながる可能性があります。外敵のいる荒野で内部抗争まで起きれば、勢力の存続そのものが危うくなります。

移動を前提にした戦略と北米の再構成

本作では、1つの拠点を永久に守り続けることが必ずしも最善ではありません。Dan Lind氏は、より良い場所を探して移動し、必要であれば敵から逃げることも求められる、従来とは異なる機動的な体験になると説明しています。原子炉の爆発をきっかけに定住地を変えた試遊の流れも、その思想を示すものです。

原文筆者は探索中に別の部族とも遭遇しましたが、相手は友好的ではなく、保有していた肉を奪われました。その代わりに現地の知識を提供させ、相手の支配地域にある資源を把握しています。外交能力を解放すれば将来的に交易を始められる一方、より攻撃的な方針を選ぶなら、襲撃隊を送り込んで領土を奪うこともできます。

マップ上では、地域の肥沃度や放射線量などを確認できるオーバーレイが用意されています。霧に覆われた地域に点在する壊滅した都市は、物資が多く、探索して回収する価値の高い場所です。町をさらに1つか2つ増やせば、マップの全体像がより大きく開け、政府の改革、法律の制定、文明が重視する価値観の決定といった要素へ進んでいくことになります。そこからは、単なる生存だけでなく、社会そのものを設計する段階に入ります。

冒険の舞台となるのは、核の冬に覆われた北の境界から、超兵器によって生じた灰色の粘体が進路を塞ぐメキシコ方面までの北米です。Dan Lind氏によれば、1つの大陸に焦点を絞ることで、人間に近いスケールの物語やシステムを描きやすくなります。北米は多くのプレイヤーにとって地理的なイメージを持ちやすく、ゲーム開始時点で舞台を把握しやすいことも利点だとしています。

ただし、そこにあるのは現実の北米そのものではありません。カリフォルニアやアパラチア山脈などはおおむね想像しやすい位置にある一方、五大湖は干上がり、ミサイル攻撃の跡が地形を変えています。終末を引き起こした出来事からゲーム開始までの100年間についても独自の歴史が設定され、固有の勢力や物語が存在します。さらに、要素の配置には手続き的な変化が加わるため、プレイするたびに異なる世界を探索することになります。

歴史戦略ゲームのファンには、人々や地域について掘り下げた設定を提示しつつ、Stellarisのような推測的なSFの方向性も取り入れています。SF技術はかなり大胆なものまで登場しますが、チームは現在の科学者が将来可能になると考えている範囲を意識しているとのことです。レールガン、ナノマシン、ドローンなどが候補に含まれます。

Lind氏は第二次世界大戦を例に挙げ、大規模な戦争が木製の複葉機からジェット戦闘機へ技術を押し進めたように、本作の大戦も技術を大きく発展させると説明しています。ただし、社会の全員がサイボーグになるわけではなく、一般の人々はジーンズを身につけ、普通の車に乗る一方、生活の一部だけに非常に高度な技術が広がる世界になるとのことです。

既存の深さと遊びやすさの両立を目指す

原文筆者は、試遊版の短い体験であることを踏まえつつ、本作はParadoxにとって新鮮な方向転換に見えると評価しています。終末世界をカラフルに描くビジュアル、発見に添えられた控えめな物語、集団や社会の価値観が変化していく仕組みが組み合わさり、単なる資源管理とは異なる手触りを生み出しているとしています。

特に評価されているのは、グランドストラテジーらしいシステムの広がりを維持しながら、序盤の情報過多を抑える考え方です。探索した内容に応じてIdeasが解放されるため、プレイヤーは世界を知ることと、ゲームのルールを覚えることを同時に進められます。仕組みを最初からすべて把握するのではなく、必要になった要素をその都度学ぶ構成が、従来作への入り口を狭く感じていた人への回答になる可能性があります。

一方で、試遊の段階では食料や水、資源の不足、周辺部族への対応など、序盤から複数の課題を管理する必要がありました。領土を広げれば外交、軍事、政府改革、法律、住民の価値観が順に関わり、最終的には数千人規模の人々の運命を左右する難しい選択にも直面することになります。遊びやすさを意識した設計であっても、作品の中心にある複雑な戦略性まで失われているわけではありません。

約45分のプレイを終えた原文筆者は、これまでParadoxのグランドストラテジーに惹かれながらも、序盤の情報量に圧倒されて理解しきれなかったと振り返っています。そのうえで、今回の体験では本作の仕組みを把握できそうだと感じ、さらに遊びたいという印象を示しています。