『About Fishing』は釣りに失敗しても苛立ちにくいPS1風ミステリーゲーム
2026年09月03日 | #レビュー | GamesRadar+
釣りを題材にしたPS1風のミステリーゲーム『About Fishing』は、魚をうまく釣れない失敗さえも、苛立ちより落ち着きを感じさせるデモになっていました。Gamescomで約30分プレイした原文筆者は、物理演算とマウス操作を組み合わせた釣りに苦戦しながらも、焦らず手順を学んでいく時間そのものに、独特の心地よさを見いだしています。やがて殺人ミステリーへ発展する物語の入口も用意されているとのことです。
失敗しても焦らず向き合える釣り
本作の中心となるのは、海辺で魚を釣るゲームプレイです。プレイヤーはドット感のある海岸に立ち、短いチュートリアルで基本操作を覚えたあと、自分の判断で魚を狙います。右クリックを押しながら針を投げたい方向へ照準し、マウスを半円状に動かしてからボタンを離すことでキャストします。狙いを定める精度と物理的なラインの動きが重要になるため、単純にボタンを押すだけのミニゲームではありません。
原文筆者は、マウスの感度が高すぎるのか、それとも自分に向いていないのかと感じるほど操作に苦戦したと振り返っています。最初の魚を釣り上げるまでには少なくとも10分かかりましたが、普段なら新作ゲームで下手なことへの不満が膨らむ場面でも、本作では強いストレスを覚えなかったそうです。むしろ、失敗をきっかけに動きを遅くし、焦らず学ぼうとする気持ちになったとしています。
この感覚を生んでいるのは、ゲーム全体の低いプレッシャーと、目の前の瞬間に集中させる作りです。釣果を急かされるのではなく、狙いを外し、ラインを切らし、それでも次の一投を試す。その繰り返しが、うまくいかないこと自体をゲームの一部として受け入れさせます。釣りゲームに必要な忍耐が、後に展開する物語でも役立つ可能性が示されています。
魚との距離とラインの扱いが攻略の鍵
狙った魚の手前に着水してしまった場合でも、左クリックで早めにラインを落とせます。投げすぎることが必ずしも失敗ではなく、あらかじめ魚の位置を確認しておけば、キャスト後に素早く仕掛けを落とす判断ができます。水中カメラでは、その場所にいる魚を水面下から確認できるため、魚と針の距離を見極める際に役立ちます。
一方で、魚はかなりゆっくりとしか針へ近づきません。遠くへ大きく移動して食いつくというより、針が一定範囲内に入ったときに反応する仕組みのようです。原文筆者は、特定の魚を何度も狙ったものの、魚が仕掛けにほとんど寄ってこなかったと説明しています。マウスを少し回して魚と針の位置関係を確認したことで、実際には大きく外れた場所へ投げていたと気づいたとのことです。
岩陰に隠れた魚の群れを狙う場面では、複数の魚がいることが有利に働くように思えます。しかし、食いつかせたあとに大きな岩を避けながら針を動かす操作は難しく、ラインに負荷がかかると赤く表示され、最終的には切れてしまいます。魚の頭の向きを自分のほうへ調整するだけでも簡単ではなく、遮蔽物の裏側から同じ操作を行うのは極めて困難だったとされています。
PS1風の世界に実在の俳優の顔を再現
舞台となるのは、灰色がかった緑色の波が広がる、くすんだローファイ調の海岸です。ポリゴン数を抑えたPS1風のビジュアルながら、登場人物の顔には強いこだわりが見られます。顔のモデルには実在の俳優のスキャンデータが使われていると、パブリッシャーの担当者が説明したとのことです。
最初の魚を釣ったあと、その魚を海岸の先にいる年配の男性へ届ける場面があります。椅子に座った彼は釣りの仕組みを説明し、焦らず、狙う相手を選ぶようプレイヤーに伝えます。原文筆者は、その顔を見て一瞬、元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュに似ているのではないかと感じたものの、実際には別人でした。
作中には、ファイナルファンタジーXVIやClair Obscur: Expedition 33などに出演したBen Starrのカメオも含まれているそうです。実写映画のような完全な不気味さを目指した表現ではないものの、ローポリゴンの環境と、スキャンされた俳優の顔を組み合わせた見た目は印象に残ります。原文筆者は、PS1風の画面のなかで顔だけが独自の存在感を放っている点を、本作の視覚的な魅力として評価しています。
釣りの先に待つ殺人ミステリー
今回のデモでは、原文筆者は釣りの操作を身につける段階でプレイを終えたため、ゲームの謎がどのように展開するのかまでは確認できませんでした。ただし、本作は釣りだけを繰り返す作品ではなく、殺人ミステリーの物語が進行する構成だとされています。暗い水面の下に隠された物語の一端が、釣りを通じて少しずつ姿を現す作品です。
釣りの感触については、喜び、苛立ち、リラックスできる感覚が同時に存在すると原文筆者は述べています。魚の動きが鈍く、狙いを外すと何度もやり直すことになりますが、その遅さが本作の落ち着いたテンポにもつながっています。釣りミニゲームを好むプレイヤーなら、魚との距離を測り、ラインの角度を調整し、無理に引っ張らないという手触りを楽しめる可能性があります。
『About Fishing』はThe Water Museumが開発しており、PCとPS5向けに2026年の発売が予定されています。具体的な発売日はまだ示されていません。短いデモの時点ではミステリーの核心には届かなかったものの、釣りでの不器用さを失敗として突き放さず、プレイヤーに忍耐を促す設計は確認できました。釣りを入口に、静かな海岸と奇妙な人物たちの物語へ進んでいく作品として、原文筆者の関心を引く内容だったとのことです。