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『ONTOS』はSOMAの精神的後継作 倫理的な選択がプレイヤーを追い詰める

2026年09月08日 | #ゲーム紹介 | DualShockers

『ONTOS』はSOMAの精神的後継作 倫理的な選択がプレイヤーを追い詰める

Frictional Gamesの新作『ONTOS』は、銃撃戦や反射神経を競うタイプのSFホラーではなく、月面施設で起きている異常な実験と、そこに関わる人々の真実を自分で見極めていく作品です。gamescom 2026で試遊した原文筆者は、わずかなデモのなかで複数の結末を体験し、自分の判断が正しかったのか分からないまま強い後味を残されたとしています。本作は、SOMA以来となる思考型のSFホラーを求める人にとって、精神的な後継作として注目すべき内容になっています。

SOMAに通じる思考型SFホラー

『ONTOS』を手がけるFrictional Gamesは、2015年にSFホラー作品SOMAを発表しました。SOMAは、実存的な問いやショッキングな展開、恐怖を組み合わせた作品として知られ、クリア後も長く記憶に残るゲームとして受け止められてきたと原文筆者は説明しています。同スタジオはその後、Amnesiaシリーズに約10年取り組んできましたが、本作では再び、プレイヤーの考え方そのものを揺さぶるSFホラーへと軸足を戻しています。

Frictional Games自身も、本作をSOMAの精神的後継作と位置づけています。ただし、見た目から想像されるようなアクション中心のゲームではありません。月面基地を舞台に、ショットガンで異星の敵を撃ちまくるような展開を期待すると、その方向性との違いに驚くことになりそうです。試遊版では、画面上の状況を素早く判断して正確に操作する場面よりも、施設を調べ、手がかりを読み取り、何を信じるかを決める時間が重視されていました。

原文筆者は、試遊開始時にオプションメニューを確認した際、Y軸のカメラ操作を反転する設定が見当たらないことに気づきました。開発チームに尋ねたところ、試遊版には未実装だったものの製品版には搭載される予定であり、そもそも本作は一瞬の反応や高い精度を要求するゲームではないとの説明を受けたとしています。実際のプレイでも、ゲームの緊張感は素早い照準合わせではなく、目の前で起きていることを理解できない不安から生まれていました。

月面ホテルに仕掛けられた実験

プレイヤーが操作するのは、Aditiという人物です。物語の舞台となるのは、月に建てられたホテル「Samsara」。しかし、このホテルは単なる宿泊施設ではなく、Aditiの父親が大きく関わったとされる、奇妙な実験のための場所へと変えられています。外観や空間の一部は一見すると普通の施設のように見えるものの、探索を進めるにつれて、その内部に潜む異常さと恐ろしさが明らかになっていく構成です。

本作では、ドアや引き出しをボタン1つで開けるのではなく、右トリガーで取っ手をつかみ、右スティックを動かして実際に開ける操作が採用されています。単純な環境操作にこの手順を加える必要があるのか、最初は奇妙に感じたと原文筆者は振り返っています。しかし、デモの終盤には、こうした操作が施設に触れている感覚を強め、プレイヤーを世界の内部に引き込む効果を持っていたとしています。

この操作設計は、本作がプレイヤーに快適さだけを提供する作品ではないことも示しています。何かを調べるときも、扉を開けるときも、簡単な入力で結果だけを得るのではなく、自分で対象に触れ、その状況を確かめる必要があります。月面ホテルの不穏な雰囲気と相まって、施設を探索する行為そのものが、少しずつプレイヤーを落ち着かない気分へ導くようです。

試遊できたのは、製品版に収録される16種類の実験のうち1つでした。実験の内容は、脳にプローブを接続された男性と、壁一面に設置された、話すネズミたちをめぐるものです。奇妙な設定だけでなく、誰が話しているのか、目の前にいる人物の意識がどこにあるのかさえ簡単には判断できない点が、この場面の恐怖につながっています。

クロムビーをめぐる2つの結末

デモで与えられた目的自体は単純でした。研究室へ向かい、Crombieという男性から先へ進むためのキーカードを回収することです。しかし、キーカードを手に入れる方法は1つに固定されていません。研究室にいたCrombieは、ほとんど植物状態のような姿で横たわり、脳から伸びた配線によって、話すネズミの壁と接続されていました。

研究室に入ると、ネズミたち、あるいはCrombieの意識を名乗る存在が語りかけてきます。その声によれば、キーカードを渡す代わりに、Crombieをこの実験から切り離してほしいとのことでした。一方で、本人の肉体らしきものはうめき声を上げ続けており、そこに別の意識が残っているようにも見えます。ネズミを通じて話す存在は、肉体の反応は実験による症状にすぎないため、自分の言葉を信じるよう求めてきます。

安全に切り離すには、研究室内にあるホワイトボードの記述や手がかりを調べ、脳に接続されたプローブを正しい順番で外さなければなりません。順番を誤れば、Crombieやネズミたちが生き残れない可能性があります。ただし、どの情報を信じるべきなのかは、最後まで明確になりません。ネズミたちの主張が正しいのか、Crombieの肉体に本来の意識が残っているのか、プレイヤー自身が断片的な情報から判断することになります。

原文筆者は最初のプレイで、誰の言葉もすぐには信じず、Crombieの脳につながる主電源のコードを直接引き抜く選択をしました。ネズミの声が「それに触るな」と懇願するなかで電源を切ると、Crombieとネズミたちは死亡し、筆者はキーカードを回収できます。目的だけを見れば達成ですが、そこに正しい判断をしたという満足感はありませんでした。自分で道を選べた一方で、その結果があまりにも不快だったためです。

デモをもう一度プレイした原文筆者は、今度はネズミの声に従い、Crombieを実験から切り離しました。この場合、Crombieを救出したように見えます。しかし、彼は体をけいれんさせ、どこかおかしな話し方を続けていました。電話で連絡を取っていたZikeに状況を伝えると、ネズミたちの意識をCrombieの肉体へ移してしまったのだと説明されます。つまり、Crombieの脳には本人とネズミの集合意識という2つの存在が同居することになったというわけです。

もっとも、Zikeの説明が真実だという保証もありません。彼自身も、それまで信頼できる情報源として振る舞っていたわけではないためです。プレイヤーは、実験の当事者だけでなく、助言を送ってくる人物の言葉まで疑わなければなりません。本作の選択は、単純な善悪の分岐ではなく、不完全な情報をもとに、より悪くない結果を探す行為として描かれています。

見落とした手がかりが別の結果を生む

同じデモ会場にいた別の試遊者に話を聞いたところ、原文筆者が見つけられなかった別の解決策が存在することも分かりました。その試遊者は研究室へ向かう前の部屋で、配線につながれた1匹のネズミを発見し、そこで得た手がかりを使って、Crombieの実験への干渉方法をさらに理解していたといいます。

この出来事は、本作の実験が単なる分岐付きの謎解きではないことを示しています。プレイヤーが見落とした部屋や、調べずに通り過ぎた対象が、後の選択肢や結末に関係している可能性があります。ゲーム側がすべての情報を分かりやすく提示してくれるわけではなく、何を調べ、何を見逃したのかも含めて、結果を自分の判断として受け止めなければなりません。

原文筆者は、今回体験できた2つの結末だけでも、本作の全体像に強く引き込まれたとしています。製品版では16種類の実験が用意され、それぞれが複数の情報と倫理的に曖昧な選択を含むことになります。1回のプレイで正解を見つけるというより、異なる判断を重ねながら、各実験で何が起きていたのかを組み立てていく作品になりそうです。

本作の発売時期は2027年とされており、対応機種はXbox、PC、PS5です。gamescomでの試遊を終えた原文筆者は、別の選択をしていれば結果を変えられたのではないかという疑問が、その後も頭から離れなかったと述べています。恐怖演出や敵との戦闘だけでなく、自分が選んだ行動を後から何度も考えさせることこそ、本作がSOMAの精神的後継作として目指している部分なのかもしれません。