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『NeoGeo AES+』発売延期の背景にAI向け半導体需要、メモリ不足で設計変更

2026年09月22日 | #発売情報 | VGC

『NeoGeo AES+』発売延期の背景にAI向け半導体需要、メモリ不足で設計変更

『NeoGeo AES+』の発売が2027年9月まで約10カ月延期された背景には、AIデータセンター向け需要の拡大によって必要なメモリチップを調達できなくなり、ゲーム機とカートリッジの設計をやり直した事情がありました。Plaionの責任者は、部品不足によって発売中止の可能性すらあったものの、カートリッジ側に変換技術を追加することで計画を継続できたと説明しています。

半導体を発注できず、発売計画が大幅に遅延

NeoGeo AES+は、1990年代のNeoGeo用カートリッジとの完全互換を特徴とし、現代向けの利便性向上も盛り込んだ復刻ゲーム機です。年内の発売に向けて予約受付が始まっていましたが、SNKとPlaionは最近、発売時期を2027年9月へ延期すると発表しました。延期期間は約10カ月に及びます。

東京ゲームショウで海外メディアVGCの取材に応じたPlaionのハードウェア・ソフトウェア部門ディレクター、Ben Jones氏によると、延期の直接的な原因は製造に必要なメモリチップの不足でした。予約開始後には想定を上回る反響があり、Jones氏はすぐに製造に必要な部品の調達へ移ったものの、約20年にわたりこの分野で働いてきたなかで初めて、チップの注文そのものを断られたとしています。

Jones氏が部品メーカーから示された理由は、AIをめぐる需要の急増でした。AIデータセンターの建設などによりメモリの供給が圧迫され、さまざまな民生用電子機器で部品価格が大きく上昇している状況が、復刻ゲーム機の製造にも影響した形です。

AES+に必要だったのはParallel NOR flashと呼ばれるタイプのメモリでした。しかしJones氏は、この部品について「基本的に入手できない状態だった」と説明しています。調達の可能性を探るため台湾の企業を訪問したものの、検討してもらえるかどうかが分かるまでに6カ月待つ必要があったとのことです。

カートリッジ側のチップを再設計

このまま部品を確保できなければ、ゲーム機自体を発売中止にしなければならない現実的なリスクがありました。そこで開発チームは、本体ではなく、AES+で使用するゲームカートリッジ側に解決策を求めました。

当初からカートリッジには、メモリチップを扱い、本体へ信号を送るためのASICチップが組み込まれる予定でした。すでに数千個分のチップを用意していたため、Plaionはこの構成を生かし、入手しやすい別のメモリを使えないか検討したとJones氏は語っています。

採用候補になったのはSerial NOR flashです。これはParallel NOR flashと基本的には同系統のメモリですが、AES本体はパラレル方式のフラッシュメモリを使う設計になっていました。そのため、単純に部品を置き換えることはできません。シリアル信号をパラレル信号へ変換し、本体が従来どおり扱えるようにする仕組みが必要でした。

最終的にPlaionは、カートリッジ用チップを再設計し、シリアル信号をパラレル信号へ変換する技術を追加する方針を決定しました。部品の変更だけでなく、再設計後の動作確認や追加のテストも必要になったため、これらの作業が約10カ月の延期につながったとJones氏は説明しています。

開発側は「ほかに選択肢がなかった」

Plaionの最高技術責任者であるBruno Steux氏は、設計変更と発売延期という判断は簡単なものではなかったものの、「ほかに選択肢はありませんでした」と話しています。従来の部品を待ち続ければさらに長い時間がかかり、費用も大きく膨らむ可能性があったためです。

Jones氏も、フラッシュメモリの代替策を見つけられなければ、プロジェクト全体が立ち消えになっていたと思うとしています。台湾へ赴いて複数の企業と話し、利用できる可能性を残らず探る必要があったと振り返り、「この列車を止めない」という姿勢で開発を続けたと説明しました。長年にわたって進めてきた計画だったこともあり、部品不足を理由に諦めるのではなく、解決策を見つけて製品を届けることに集中したとのことです。

今回の対応では、本体の設計だけでなく、対応ソフトを載せるカートリッジ側にも変更が及びます。ただし、記事で説明されているのは信号変換用チップの再設計であり、既存のNeoGeo用カートリッジとの互換性を取りやめるという話ではありません。AES+は当初から、1990年代のNeoGeo用カートリッジを利用できることを大きな特徴として告知されています。

対応タイトルは15本に拡大

東京ゲームショウでは、AES+向けに新たに5本のタイトルも案内されました。追加されたのはZero Wing、Karnov’s Revenge、Magical Drop II & III、Spinmaster、Street Slam / Street Hoopです。これにより、発表済みの対応タイトルは合計15本になりました。

Jones氏によると、今後さらにタイトルが発表される予定です。Plaionはすでに複数のサードパーティー作品と契約しているほか、SNKが持つ大規模なゲームカタログも引き続き活用したいとしています。対応作品を増やすだけでなく、アーケード作品の移植や、既存タイトルに新要素を加えた強化版も検討対象です。

その例としてJones氏が挙げたのがBig Tournament Golfです。同作では、新たにスコットランドのコースをプレイできるようにする構想があるとしています。過去作品をそのまま復刻するだけではなく、新しい内容を加えることで、約35年前のゲーム機を現在も動き続けるプラットフォームにしたいという考えです。