『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』は人物描写が壮大な冒険を支えている
2026年09月27日 | #レビュー | GamesRadar+
『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』は、列車や戦車を使った迫力ある場面だけでなく、登場人物への愛着が強く残る作品です。一本道の進行や戦闘の粗さは気になるものの、人物同士の関係が冒険に意味を与えています。
映画のような演出と、一本道の窮屈さ
冒頭では物語の途中から始まり、傷を負ったネイサン・ドレイクが列車の中で目を覚まします。車両が崖から宙づりになっていると分かるまでの視点の切り替えは鮮やかです。危機の中でも冗談を言うドレイクの姿から、緊迫感とユーモアを併せ持つ人物像もすぐに伝わります。
こうした演出には、映画からの影響が色濃く表れています。俳優による演技を生かした物語作りも魅力ですが、物語を語るために操作が中断される場面はあります。約10時間の冒険は徹底して一本道で、見えない壁に行く手を阻まれる窮屈さも感じられます。
列車での攻防が生む迫力
ドレイクが走行中の列車を進む場面は、本作を象徴する見せ場です。果てしなく続くように見えるジャングルを背景に、車両から車両へ飛び移り、殴り合い、銃を撃つ。その一つひとつに、動く列車の上ならではの不安定さがあります。PS3での印象は際立っており、後にPS4のアンチャーテッド コレクションに収録された際にも迫力を保っていました。
同じ驚きは、ヘリコプターに追われながら屋根を駆ける場面や、山村の家々を戦車が破壊しながら迫る場面にもあります。戦闘では、正確に狙いを定めるより、遮蔽物の間を走り回りながら撃ち合うことになります。照準の扱いは大ざっぱで完璧とは言えませんが、即興で窮地を切り抜けるドレイクには似合っています。
仲間への思いが行動を変える
本作を特別なものにしているのは、激しい場面の合間に育つ人間関係です。列車の事故後、負傷したドレイクを助けるテンジンとは言葉が通じません。それでも、氷の洞窟をともに進み、協力するうちに信頼が生まれます。後に戦車が村を襲い、テンジンの娘が危険にさらされると、戦う理由は仲間を守りたいという思いに変わります。
クロエにも、ドレイクへの好意だけでは決まらない動機があります。自分の利益を見据えて行動するため、魅力的であると同時に先が読めません。一方のエレナは、ドレイクに対して懐疑的な目を持つ強い人物です。2人が終盤に結ばれる展開も、それまでに積み重ねたユーモアと対等なやり取りがあるからこそ心に残ります。
静かな村に残る、本作らしさ
テンジンの村でドレイクが回復した後、住民の間を歩く短い場面があります。普段は格闘に使うボタンで握手や敬礼をし、子どもたちとサッカーを楽しめます。戦う以外の方法で周囲と関わるドレイクの姿は、派手な戦闘に劣らず印象的です。
一方で、これほど人とのつながりを丁寧に描きながら、大勢の敵を倒して進むこととの矛盾は解消されません。それでも本作は、技術による壮大な見せ場と、人を思う気持ちが冒険を動かす場面の両方を描き切っています。