『Ace Combat 8: Wings of Theve』のマルチプレイは秀逸ですが、70ドルの本編に重なる課金が不満を残します
『Ace Combat 8: Wings of Theve』のオンラインモード「Ace Combat Online」は、今年屈指のマルチプレイ体験になりそうです。実際に飛び始めれば、緊張感のある空中戦と、景色や音楽を楽しむ心地よさが待っています。ただし、そこへたどり着くまでの煩雑なメニュー操作と、70ドルの本編に追加課金を重ねる仕組みには、大きな不満が残ります。今回は、サービス開始後の初期プレイをもとに、このオンラインモードを評価します。
飛び立つまでに手間がかかりすぎます
本編は筆者にとって、今年遊んだゲームの中でも特に優れた1本です。30の刺激的なミッションで構成された約25時間のシングルプレイキャンペーンだけでも、購入価格に見合う価値があります。さらに、ファンが何年も遊び続けられそうな充実したオンラインモードが加わっています。
ただし、本編のレビュー解禁前にオンラインを遊べたのは数時間だけでした。参加者も報道関係者やクリエイターに限られ、入れ替わるプレイリストを駆け足で試す形だったため、十分な評価はできませんでした。本編を予約購入したプレイヤーが参加できるようになった現在は、その長所と短所が以前よりはっきり見えてきています。
最初に戸惑うのは、機能の配置です。キャラクターを作成すると、ほかのプレイヤーや販売員がいる、Destinyを思わせる交流拠点に入ります。ミッションへの参加、チャレンジの確認、機体の編集、装備の購入、部隊の管理がそれぞれ別のNPCに分かれており、何をどこで行うのか覚えるまでに時間がかかります。
一部の機能へ直接アクセスできるメニューもありますが、こちらも不可解なほど複雑です。機体を編集するには、まず格納庫を開き、オンライン用の機体セットを選び、装備構成を選択します。その先には8つの編集項目があり、エンブレムを付けようとすると、さらに8つの配置場所から選んで、ようやくエンブレムの選択画面に着きます。
メニュー内でボタンを長押しすればロビーへ戻れるため、すべての階層を1つずつ戻る必要はありません。それでも、こうした機能を用意していること自体、バンダイナムコも操作の面倒さを認識しているように見えます。
ほかの操作も同様です。チャレンジは4つのカテゴリーに分かれ、報酬をまとめて受け取れないため、それぞれのメニューを開く必要があります。対戦を始めるだけでも、ミッションのメニューからモード選択へ進み、モードを選んだあとに1階層戻って出撃を選ばなければなりません。仲間と部隊を組み、もっと素早く空へ向かえるよう、操作の大幅な整理が必要です。
空に出れば、勝敗を超えた楽しさがあります
準備を終えて飛び立つと、印象は一変します。序盤に遊んだ試合は、オンラインで腕を試せること以上に、飛んでいるだけで楽しい時間でした。美しい空を駆け抜けながら、素晴らしいサウンドトラックの曲を聴いていると、勝ち負けさえあまり気にならなくなります。
現在利用できるモードの大半を試した中でも、特に魅力的だったのが「Co-Op Assault」です。部隊でシングルプレイのミッションに入るような内容で、できるだけ多くの敵兵器を破壊し、侵入してくる敵を退けながら、最終評価の上位を目指します。制限時間との競争が楽しく、素早い判断と、担当を分けて敵を倒す的確な連携が成果につながります。
「Co-op Warfare」は、その戦場に敵部隊が加わる、さらに激しいモードです。筆者がこれまで最も長く遊んだのは、この2つでした。空中戦で最も腕の立つプレイヤーでなくても、チームに貢献できる実感があります。
一方、デスマッチ系のモードは、今のところ満足度が低めです。理由は試合が短すぎることにあります。敵機を撃墜する時間が数分しかなく、追う側と逃げる側が駆け引きを続ける余裕がありません。ラウンドの半分ほどを敵チームへ向かう移動に費やし、到着したころには試合が半ば終わっているように感じられます。継続的に運営されるゲームだけに、今後の適切な調整には期待したいところです。
充実したオンラインに付きまとう、容赦のない課金
継続運営は改善への期待を持たせる一方で、厳しい課金の仕組みも伴っています。
無料のシーズンパス「Ace Pass」では、100段階にわたって報酬を獲得できます。さらに報酬が増える有料のプレミアムパスもあり、購入には10ドルで買える1,000 Ace Coinsが必要です。両パスの有効期間は約2か月ですが、シーズン切り替え時のリセットが具体的にどう行われるのかは、現時点では不明です。
特典をさらに増やす「Premium Pass Plus」は2,500 Ace Coinsです。しかし、2,500枚ちょうどの販売セットはありません。20ドルのセットでは2,300枚しか手に入らず、その次は30ドルで3,500枚のセットになります。この価格設定は実に悪質です。
Ace Coinsの使い道は、パスだけではありません。デカールやパイロットの衣服、機体のスキンも購入できます。無料で集められる通貨を使って入手する報酬もありますが、今のところ、特にふざけた見た目のアイテムは有料のものに偏っているようです。
こうした仕組みは、Fortniteの方式をかなり忠実になぞっており、それ自体に驚きはありません。ただし、Fortniteは基本プレイ無料なのに対し、本作の価格は70ドルです。高い入場料を払って遊園地に入ったあと、中の乗り物でもその都度料金を求められるような感覚があります。
改善に期待しながらも、追加で支払う気にはなれません
これまでのプレイでは、試合で稼いだ通貨を使って機体やカスタマイズ用アイテムを購入できており、有料要素の大半は気にせず遊べています。それでも、後味の悪さは消えません。充実したマルチプレイを得るために、悪魔と取引しなければならないように感じられる現状は残念です。モードが充実するほど、課金も重くなっていきます。
反対に、バトルパスで運営費を補わないオンラインモードは、おまけのように感じられることがあります。今年のStar Foxは継続運営型の課金の落とし穴を避けていますが、その代わり、最新の無料アップデート後も遊べる内容が乏しいままです。Halo 2の全盛期への懐かしさが強すぎるのかもしれませんが、買い切りゲームのマルチプレイに、最初から求めるものが十分そろっていたころのような中間点に戻ってほしいところです。
不満を抱えながらも、Ace Combat Onlineで過ごした序盤の時間は楽しめています。空中での作戦行動には腕を試せるだけの奥深さがあり、同時に、気軽に楽しめる短さもあります。メニューを整理して使いやすくするだけでも、繰り返し遊ぶマルチプレイの定番に大きく近づくはずです。ただし、70ドルを支払ったゲームに、さらに1セントでも追加で払う気にはなれません。