『Ace Combat 8: Wings of Theve』のキャンペーンは圧倒的な高揚感でシリーズを新たな高みへ導きます
2026年10月13日 | #レビュー | Eurogamer
『Ace Combat 8: Wings of Theve』は、一部の退屈な任務やむらのある物語を抱えながらも、それを吹き飛ばすほどの興奮を届ける航空アクションです。キャンペーンとオンラインモードを通じて際立つのは、次々と状況が変わる空戦の緊迫感と、絶望的な局面を切り抜けたときの高揚感。2026年のアクションゲームでも、とりわけ息つく暇がなく、気持ちを奮い立たせる1本です。
最後の1発まで勝敗がわからない空戦
本作の魅力をよく表しているのが、11番目の任務です。視界の悪い雲の中で敵機を追うさなか、味方の空母に危機が迫ります。接近する敵は高出力レーザーと広範囲の妨害装置を装備しており、しかもレーザーを放つ飛行船は1隻ではありません。
機体の着氷を知らせる警告が赤く点滅し、ミサイルがすぐそばを通過します。無線では味方の指示や焦りの声が重なり、音楽の弦楽器も切迫感を増していきます。「動いて。考えないで。急いで」。残り時間が読み上げられる中、ようやく最後の飛行船を捉え、長距離空対空ミサイルを発射します。
間に合わなかったと思った直後、無線から「命中」の報告が入り、飛行船が爆発する映像へ切り替わります。その瞬間の解放感は、評者が思わず席から跳び上がり、手にしていたDualSense Edgeまで宙に舞ったほどでした。本作は、こうした極限の緊張と歓喜を何度も生み出します。
作られた英雄を、本物のエースへ変えていく
キャンペーンの中心にあるのは、戦意を支えるために作られた英雄像です。タイトルにもなっている「Wings of Theve」は、戦争の中で希望を求める人々のために、メディアの専門家が生み出した虚構でした。序章で撃墜される先代の撃墜数は、実際には2桁にも届いていません。その後を継ぐよう求められるのが、プレイヤーです。
これは、熟練の戦闘機パイロットになった気分を味わわせるシリーズに、うまくかみ合う設定です。作られた看板を背負っていることを思い出させながら、戦闘では自分がマーヴェリックになったかのような瞬間を与えてくれます。
トップガンとの比較は以前からありましたが、本作では特に、ジョセフ・コシンスキー監督による2022年のトップガン マーヴェリックの影響が強く感じられます。機体を正面から捉えるリプレイカメラや、映画の印象的な構図を思わせるカットシーンだけが理由ではありません。各任務そのものが、ハリウッドの大作映画で最も派手な見せ場を続けて体験するような作りなのです。
一方、その映画的な志向は、戦闘の合間にも長く続きます。物語への力の入れ方は過去作との大きな違いですが、導入は小島秀夫作品を思わせるほど長く、演出に浸りすぎている印象があります。一人称で進む幕間も、無口な主人公を採用した意味を十分には感じさせません。視点移動やズーム、ときどき現れる握手のボタン操作も、体験に大きな価値を加えているとは言いにくいものです。
そのぎこちなさを多少和らげるのが、オビ=ワンの霊のように主人公のそばに残る先代の存在です。内面の声と状況説明を兼ねますが、「海が開いた棺のようにそこにある」といった大仰な言葉を、低くかすれた声でささやきます。その声は評者にはクリスチャン・ベールのバットマンを強く連想させ、深刻な場面に意図しない可笑しさを添えていました。
戦争への問いかけと、英雄として戦う快感
物語は戦争が人々に与える犠牲を繰り返し取り上げます。ただ、脚本がより強い怒りを向けているように見えるのは、SNSの害や、生成AIの時代に虚偽が簡単に広がり、定着してしまうことです。プレイヤーが戦争と宣伝の両方を動かす歯車であることも、明確に示されます。
しかし、プレイヤーにはその役割を引き受ける以外の選択肢がありません。結局は、途方もない撃墜数を重ね、故郷の人々を勇気づける伝説のパイロットになっていきます。戦争を憂いながら、その英雄像を存分に楽しませる作りには、都合よく両方を手に入れようとする姿勢も感じられます。
Call of DutyやBattlefieldは、軍事と娯楽の結びつきをめぐる議論にたびたび登場しますが、Ace Combatはそうした話題を巧みにすり抜けてきました。舞台は架空世界のストレンジリアルです。敵が無線でロックを流して登場し、味方が夕暮れの空母で物悲しいギターを奏でる世界でもあります。
それでも実在の航空機は登場し、Gran Turismoが購入した車を披露するときのような敬意を込めて紹介されます。宇宙エレベーターや陸上戦艦、翼幅が1000mにも及ぶ巨大輸送機があっても、戦況には現実を思わせる部分があります。特に破壊された土地の痛ましい光景は、近年のガザやウクライナで見られた映像を連想させずにはいられません。
評者にとっては、任務中の圧倒的な勢いと荒唐無稽な展開が、こうした懸念を忘れさせるほどでした。ただ、今の時期に仮想の戦争を現実からの息抜きとして楽しめない人にとっては、見過ごせない要素です。
美しい空には、戦いを変える仕組みがある
直前の作品やPS2時代のシリーズと比べると、本作は壮大な見せ場をより重視しています。しかし、美しい映像の下には、空戦を支える仕組みもあります。
雲は、2026年のゲームでも屈指と思える空の景色や気象表現を生むだけではありません。視界を遮ることには利点と欠点があり、空戦での判断に関わります。雲に入ると機体の動きに支障が出ることがあり、ミサイルのロックオン距離も短くなるため、出撃前の装備選びが意味を持ちます。
数値の高い新型機をすぐに買いたくなりますが、評者の体験では、ミサイルの射程や有効性を高めるパーツ、失速しにくくするパーツ、耐久性を上げるパーツへの投資が有効な場面も多くありました。機体の選択だけでなく、僚機への指示も予想以上に戦況を変えます。複数の脅威への対応を迫られる場面では、編隊を離れて敵を減らしてもらったり、特殊兵装を使わせたりできます。兵装によっては、自機を支援したり、敵の行動を妨害したりする効果もあります。
視点によって感触も変わります。コックピット視点は狭い操縦席にいるような臨場感を生みますが、回避のしやすさでは三人称視点に分があります。
緊張を切らさない展開は、長さと疲労にもつながる
本作は意図的に、同時に処理しきれないほどの課題を投げかけてきます。無秩序というより、細かく演出された混乱です。僚機の軽口、ほかのパイロットからの警告、各所からの指示や報告、ミサイル警報が重なり、何を優先すべきか見極めにくいこともあります。ただ、それは多くの場合、欠点というより狙った体験に感じられます。英雄として期待に応えるには、重要な情報を聞き分ける必要があるのです。
そのぶん、長時間続けて遊ぶと少し消耗します。比較的ゆっくり進む任務でも、突然、集中を切り替えなければならなくなります。老朽化した輸送機を支援し、対空兵器が並ぶ谷を進む場面では、僚機が携帯式防空ミサイルの存在を何度も叫びます。それらを破壊するだけなら本作ではまだ単純な仕事ですが、やがて敵戦闘機が集まり、制限時間内に全機を落とす切迫した戦いへ変わります。
着陸や空中給油も、必ずしも休息にはなりません。任務完了の表示が出るまで、気を抜けないのです。
ただし、全30任務で予想を覆し続けると、意外な展開そのものが当たり前になります。終盤で最後の脅威が現れたり、倒したはずの敵がまだ動いていたりする展開は、少し多すぎます。むしろ予定どおりに終わったときに、物足りなさを感じてしまうほどです。チェックポイントは失敗時の負担を和らげますが、30分を大きく超える任務の中には、繰り返し遊びたいと思いにくいものもあります。
序盤の護衛任務で急に難度が上がることや、空中でのステルスを強制する退屈な任務も気になりました。後者には、評者が最近のゲームで見た中でも特に誤解を招く指示が含まれています。
それでも、最良の場面の手応えは圧倒的です。ある任務の終盤では、敵の飛行隊全体を単独で相手にします。ハンス・ジマーの楽曲を思わせる音楽が何度も力強く盛り上がり、操縦をものにした感覚と映像・音響の迫力が重なります。巨大な陸上戦艦をようやく完全停止させたときの満足感も格別です。こうした瞬間は、単純な英雄願望を満たす遊びが持つ魅力を、冷めた目で見る人にも思い出させてくれます。
オンラインでも味わえる、協力して危機を越える楽しさ
シリーズ最大規模のオンライン要素は、キャンペーンの興奮に届かないのではないかと思われました。しかし、対戦型マルチプレイを特に好んでこなかった評者にも、うれしい驚きがありました。
発売初週の売れ行きが好調で、各モードでは同時に3つのステージを稼働させながら入れ替える仕組みもあり、レビュー時のマッチングは短時間で済みました。待ち時間や出撃前には広い航空基地を歩き、獲得した報酬で機体を購入したり、所有機を強化・装飾したりできます。ナムコの往年のアーケードゲーム4本を遊ぶこともできます。
高価で強化枠の多い機体は、やり込んだプレイヤーに明確な優位を与えます。それでも、キャンペーンと同様に初期機体でも戦えますし、低い等級の機体でしか達成できないチャレンジもあります。
個人戦とチーム戦のデスマッチでは、多くの人が手厳しい洗礼を受けるでしょう。主な魅力は、対人戦とコンピューター相手の戦闘を組み合わせた2つのモードにあります。
Co-op Warfareでは、人間とコンピューターが操縦する敵機の両方を撃墜します。活躍して星を集めるとエースに認定されますが、その栄光は長く安泰ではありません。エースを落とした相手には多くの得点が入るため、今度は自分が狙われます。
方向キーで自分を指定して味方に護衛を求めたり、敵のエースを指定したりできますが、実際の有効性は仕組みから期待するほどではありません。戦闘のテンポが速すぎて、指定しようとした時点で、すでに味方のミサイルが目標へ向かっていることが多いためです。
Co-op Assaultでは、4人ずつの2チームが共通の目標に取り組みます。アルファとブラボーの間で、どちらがより活躍するかという競争はありますが、成績が振るわなくても、全体の達成に何かしら貢献できたと感じられます。
その感覚がさらに強まるのが、4人用のScramblesと8人用のEmergency Sortiesです。発生条件は評者にもまだ完全にはわかっていませんが、AssaultやWarfareを何戦か遊ぶと警報が鳴り、敵航空機や超兵器の撃破へ招集されることがあります。
基本的には、制限時間内に全員で巨大な体力ゲージを削る戦いです。種類もそれぞれ3つしかありません。それでも、繰り返し遊べる形式でキャンペーンの興奮に最も近づいているのは、これらのモードでした。
余分な部分を抱えても、最高の瞬間は揺るがない
本作には十分な遊び応えがありますが、量の多さが常に長所になるわけではありません。弱い任務を外し、いくつかの任務を短くして、キャンペーン全体をもう少し引き締めていれば、文句なく名作と呼べる作品になったかもしれません。
とはいえ、最高の場面だけを見れば、すでにそう呼びたくなる力があります。物語のむらや長い任務には注意が必要ですが、極限の空戦を切り抜ける快感を求める人には、強く訴える作品です。2026年のゲームでも屈指の高揚感を届けるという点では、その任務を見事に果たしています。
本レビューには、Bandai Namco Entertainmentから提供されたゲームを使用しています。