『Playable Archive』無料公開、Paramountが中止した『Paranormal Activity』ゲームの試作版をClarke氏が改変して配信
『The Mortuary Assistant』で知られるDarkStone Digitalの創業者Brian Clarke氏が、Paramountの意向で開発中止となった「Paranormal Activity」ゲームのPAX East体験版を作り直し、『Playable Archive』としてSteamで無料公開しました。Polygonのインタビューで、中止に至った経緯や公開の狙いを語っています。
『Playable Archive』の内容
『Playable Archive』は、中止されたゲーム『Paranormal Activity: Threshold』のPAX East体験版から、Paranormal Activityに関する要素をすべて取り除いた完成版です。プレイ時間は約30分で、フルゲームではありません。タイトルは、小島秀夫氏の『Silent Hills』の体験版として2014年にPS4で配信され、2015年に配信停止となった『P.T.』にちなんだものです。
Paramountとの契約が柔軟だったため、Clarke氏は制作した成果物をすべて手元に残せました。Paranormal Activityを取り除くことを条件に、公開の許可も得ています。Clarke氏は「ここにあるのが自分が取り組んでいたものです。残念に思うのも、喜ぶのも自由です」と述べ、自身の中ではすでに気持ちの整理がついており、次に進むために公開すると説明しました。
開発中止までの経緯
企画は2022年、DreadXPの代表がClarke氏にParanormal Activityのゲームを提案しないかと声をかけたことから始まりました。シリーズのファンだったClarke氏は、ファウンドフッテージ映画に登場するような映像を調べる探偵を描くゲームを提案し、Paramountに採用されました。『The Mortuary Assistant』の次の大型プロジェクトとして、制作に専念したといいます。
開発は順調で、今年のPAX Eastに出展した体験版は来場者から好評でした。Clarke氏によると、会場では脚本に関する賞も受けています。ただ、2026年後半の発売予定に向けて、調整、移植、ローカライズなどの作業が残っていました。Clarke氏が2027年2月への短い延期をParamountに相談したところ、返答は「ノー」でした。Clarke氏は、先方は第4四半期の発売を望んでいたようだと推測しています。
延期が認められない以上、品質に不安のある状態で急いで出すか、中止するかの選択になりました。Clarke氏は、大企業の大きなタイトルで出来の悪いゲームが出ても企業にとっては失敗の1つにすぎないが、前作が好評だった個人開発者の自分にとっては打撃がはるかに大きいと考えたと語っています。DreadXPの全面的な支持を得て中止を伝えたところ、Paramountは引き止めず「分かりました」と答えただけでした。Clarke氏は予算を明かしていませんが、100万ドルを大きく下回る規模をほのめかしており、Paramountにとって大きな損失ではなかったとみています。
社内手続きの遅れと企業統合
Paramountが柔軟に対応しなかった背景について、Polygonは社内での大きな変化が関係した可能性を指摘しています。2024年にはParamount GlobalとSkydance Mediaが、評価額80億ドルの合併を発表しました。Clarke氏は、直接の窓口担当者との関係は2年間ほとんど変わらなかったとしつつ、やり取りの進み方には違いを感じたそうです。
Clarke氏は、確認が必要な事項の承認に時間がかかる場面があり、開発の進め方として普通ではなかったと振り返ります。以前在籍したDisneyや、『Warhammer』に関わっていた時期のMythicを思い出させる、承認に次ぐ承認の状況だったとのことです。
個人開発者の「勢い」への不安
中止の結果、Clarke氏は『The Mortuary Assistant』から4年たっても次の作品を出せない状況になりました。何もしていなかったように見えることを心配し、DreadXPのチームから出せるものを公開してはどうかという案が出たといいます。
Polygonは、実際のClarke氏は多忙だったと伝えています。DreadXPの共同ディレクターを務め、今年2月に限定公開された『The Mortuary Assistant』の映画化に助言し、『Creepshow』を題材にした企画にも短期間関わっていました。それでも不安が消えなかったのは、続けて成功を重ねることが、インディー開発者が注目と資金を保つうえで重要だからだと、原文は説明しています。
Clarke氏は個人開発の現実について、「自由といっても、食べられなくなるまでの話です」と冗談交じりに語りました。AIで作品を量産する動きもあり、インディーとは何か、ゲーム開発は芸術かという議論が起きているとしたうえで、芸術であると同時にビジネスでもあり、そこが見過ごされがちだと指摘しています。自由に作れても、そのスケジュールは銀行口座が空になる時期と合っていなければならないといいます。
今後について
『Playable Archive』は無料のため、Clarke氏の収入にはつながりません。それでもClarke氏は、プレイヤーの好みや反応に関するデータを集め、次回作に生かす機会になるとみています。すでに『Paranormal Activity: Threshold』から「いくつかのコンセプトやアイデア」を取り入れた新作にも取り組んでいるとのことです。
『Playable Archive』はSteamで無料配信中です。