『The Mortuary Assistant』開発者の新作ホラー『Playable Archive』がハロウィンに無料配信、中止となった『Paranormal Activity: Threshold』の一部を収録
2026年11月01日 | #発売情報 | Eurogamer
『The Mortuary Assistant』の開発者Brian Clarke氏が、ハロウィンに合わせて約30分から45分遊べる無料のホラー作品『Playable Archive』を公開しました。本作は、DreadXPが手がけ、開発中止となった『Paranormal Activity: Threshold』の一部を、映画のブランド要素を取り除いて遊べる形に整えたものです。Eurogamerが、Clarke氏にその経緯や今後の展望を聞いています。
中止となった『Paranormal Activity: Threshold』の経緯
発端は2022年の『The Mortuary Assistant』発売後です。パブリッシャーのDreadXPから、映画『パラノーマル・アクティビティ』の世界観を舞台にしたゲームの開発に興味はないかと打診がありました。Clarke氏は同作を好きなホラー映画の1つに挙げており、企画書をParamountに提出しました。DreadXPの経営体制が大きく変わる中で契約手続きが進み、2025年11月に『Paranormal Activity: Threshold』として発表されました。
Clarke氏はDarkStone Digital名義で1人で開発を行っています。カメラを奪うような演出より、気づかないプレイヤーもいるような「受け身」の恐怖を重視しており、プレイヤー自身が体験を動かしている感覚を大切にしているとのことです。同作では悪魔にまつわる設定を一から作り込み、映画の内容ともつなげていました。将来的に他のゲームや映画にも使えるようにしたいという狙いもあったそうです。
企画では、新居に越してきた夫婦の様子をシリーズおなじみのファウンドフッテージ形式で描きます。途中で視点が切り替わり、夫婦の不可解な死を調べる刑事の目を通して、古いビデオカメラの映像を見ていたことが明らかになります。完成版では、テープを見つけるたびに2つの時間軸を行き来し、一方で得た情報がもう一方の進行に役立つ構成でした。さらに第3の視点では、この2つの外側で「何かが動き出している」ことが示される予定だったといいます。
開発開始から約2年がたち、今年のPAX Eastで体験版が披露されると、評価は非常に好意的でした。しかしParamountが設定した納期が近づく中、Clarke氏にはまだ作業が残っていました。モーションキャプチャーや音声収録、編集に加え、QA、ローカライズ、各機種への移植も控えており、同時発売に向けて「少しの延長」を求めました。ところがParamountは、おそらく今年のハロウィン発売を見込んでいたため、これを認めませんでした。
Clarke氏は、品質がすべてだと考えています。前半に多くの時間を注ぎ込んだ以上、期限に合わせて急げば後半の出来が見劣りしかねず、それは大企業よりも個人開発者の評判を傷つけると述べています。そのためDreadXPとも話し合い、納期が動かないなら終わらせるしかないという結論に至りました。Paramountもこの提案を受け入れ、Clarke氏は制作した素材をすべて手元に残すことを認められました。
無料公開に至った理由と内容
公開を提案したのは、現在のDreadXPのディレクターであるHunter Bond氏です。作品を「弔う」ような形で世に出そうという考えでした。Clarke氏は大手スタジオで13年間働いた経験があり、開発中止には慣れていたものの、自分1人の仕事だと「より辛い」と話します。それでも「この作品は終わった」と受け入れていたそうです。DreadXPの関係者の中にも、中止に思うところがある人がいたとのことです。公開後については、実際に遊んでもらえて「とても良い気分」だと語っています。
価格は最初から無料の想定でした。本来目指していた完成版ではない以上、お金を求める気にはなれず、DreadXPも同じ考えだったといいます。『The Mortuary Assistant』の発売から4年がたち、収益になる作品を出したい気持ちはあるものの、この作品はそれにふさわしくないという判断です。
PAX Eastで披露された体験版からは、ブランド表記を外したほかにも調整が加えられ、新たな設定も追加されています。完成版の found-footage パートを取り入れて拡張することも検討しましたが、「きれいに組み込む方法がない」と断念しました。1つ追加すれば未完成の部屋のアートを仕上げる必要が出るなど作業が膨らみ、それなら完成版を作り続けた方が早くなるためです。結果として、体験版を磨き上げ、作品の方向性が伝わる形にしたとのことです。
なお、完成版を作らない理由について、Clarke氏は複数の要因があると説明しています。『Paranormal Activity』と結びつけて作った内容を作り直すには膨大な作業が必要になることに加え、2年の開発を経て一度は区切りをつけた作品に戻ることで、前回も苦労した制作の流れに再び入ることにも抵抗があるそうです。単に気落ちしているからではないとも述べています。
新作と『The Mortuary Assistant』の新展開
Clarke氏は、自分のものとして残った着想を使って新しい作品を作る方が価値があると考えています。判断を下してからは、5つほどゲームのアイデアが浮かんだといいます。
『Playable Archive』への反応は非常に好意的で、Clarke氏は「美しい」光景だと受け止めています。長い時間がたつとクリエイターはインポスター症候群に陥りがちなので、自分がまだ分かっているのだと思えて嬉しいとのことです。一方で、完成版を求める声も出ていますが、その衝動には抗わなければならないと話します。それでもプレイヤーが通しで遊ぶ姿を見ると、良い物語だったと感じるそうです。
今後は『The Mortuary Assistant』と『Paranormal Activity: Threshold』の両方から要素を引き継ぐ作品を考えています。『Playable Archive』を作り直すつもりはないものの、ウィジャボードや異なる時間軸といった要素を、より焦点を絞って別のゲームで活かす計画です。特に力を入れたい作品は2本あるとしています。
Clarke氏は、すでに『The Mortuary Assistant』の新作の開発に着手しており、『Playable Archive』の仕組みを取り入れた小さなプロトタイプにも取り組んでいると明かしました。どちらも順調で、開発初期はすべてが楽しい時期だと話します。いくつかアイデアを出したうえで、どれを進めるかを決めたい考えです。
フルプライスの作品を出してから4年が過ぎたことは、Clarke氏も強く意識しています。「完全な作品を作って世に出し、遊んでもらいたい」と語り、近いうちに新作を出したいという意欲を示しました。