← 最新記事一覧

『Ace Combat 8』はゲーム史でも最高峰のサウンドトラックを備えています

2026年10月04日 | #レビュー | Polygon

『Ace Combat 8』はゲーム史でも最高峰のサウンドトラックを備えています

『Ace Combat 8: Wings of Theve』は、筆者が2026年にプレイしたゲームのなかでも屈指の1本です。隙のない飛行操作、変化に富んだスリリングなミッション、現世代でも最高峰の映像美を備え、長く沈黙していたシリーズを鮮やかによみがえらせています。なかでも最大の驚きは音楽です。筆者の評価では2026年最高のゲーム音楽であり、ゲーム史全体でも最高のサウンドトラックの1つに数えられるかもしれません。

空中戦の興奮と戦争の重みを伝える音楽

シリーズの音楽に親しんできたファンなら、この評価に驚かないでしょう。音楽は以前からシリーズの大きな魅力でした。その一翼を担ってきたのが作曲家の小林啓樹氏です。高揚感あふれるオーケストラ曲によって、空中戦に壮大さを与えてきました。今回はRyo Watanabe氏、Mitsuhiro Kitadani氏とともに、シリーズ最高の楽曲群を作り上げています。

その力を確かめるには、約6分のメインテーマ「Everflow」を聴くだけでも十分です。壁さえ突き破れそうな気分にさせるほどの勢いがあります。

ゲームを語る際に「壮大」という言葉は多用されがちですが、本作の音楽にはまさにその表現が似合います。途方もない規模を感じさせる合唱と、心を揺さぶる弦楽器の響きが、楽曲に圧倒的な広がりを与えています。緊迫したミッションで気持ちを高ぶらせるだけでなく、豊かな感情表現によって、戦っている戦争そのものに重みを持たせます。その響きは、Metal Gear Solidのサウンドトラックが持つ大作映画のような迫力を思わせます。

敵部隊の掛け声が、物語を結びつける旋律に

筆者がとりわけ気に入ったのは、繰り返し登場する旋律の使い方です。物語のなかでは、Sotoa空軍のライバル部隊「Lux Lunae」と何度も遭遇します。彼らは戦闘に突入する際に独特の掛け声を上げるため、その声が聞こえると接近してきたことが分かります。

最初はImagine Dragonsの曲の繰り返し部分のようで、少しおかしくも感じられます。ところが、その単純な声の旋律が、ゲームを通じてより大きな楽曲のなかへ自然に組み込まれていきます。

その積み重ねが結実するのが、驚異的な「Hortus Regis Alti」です。それまで耳にしてきた旋律が見事に生かされ、音楽を通してゲーム全体が1つにつながるような手応えがあります。

Purple Magicのロックとオーケストラが溶け合う

感情豊かなオーケストラ曲だけが、本作の音楽の頂点とは限りません。予想をはるかに超える興奮をもたらす、熱いロック曲もそろっています。

キャンペーンで繰り返し描かれるのが、主人公の部隊による「Purple Magic」への熱中ぶりです。シリーズの世界に存在する、どこか野暮ったいハードロック系のバンドで、仲間たちは気分を盛り上げるためにミッション中もその曲を流します。「Time Are Changing」を聴けば、彼らが夢中になる理由も分かるでしょう。

曲そのものも強烈ですが、筆者が特に惹かれたのは、それらをオーケストラの要素と自然に融合させる手腕です。現代のポップソングを使い、その周囲に映画用の音楽を組み立てていく予告編のような感覚が、本作では見事に実現されています。ゲームのサウンドトラックで、この手法がここまでうまく決まった例を、筆者はほかに思い当たりません。

激しい飛行で酔ってしまい、本作をプレイするのが難しい人にも、サウンドトラックを聴いてみることを強く勧めます。胃が揺さぶられるような横転飛行を体験せずとも、SotoaとUseaの戦争を戦い抜く感情の流れと、この音楽が到達した高みを味わえます。