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『Arcana Unleashed』は全クラスに魔法要素を広げる一方、付属冒険は一本道

2026年08月25日 | #レビュー | Polygon

『Arcana Unleashed』は全クラスに魔法要素を広げる一方、付属冒険は一本道

魔法使い以外のクラスにも魔法や使い魔の選択肢を広げる新たなD&D関連書籍『Arcana Unleashed』が登場します。一方、同時収録の長編冒険シナリオDeadfallは、Thayの設定資料が高く評価される反面、展開の一本道さを厳しく指摘されています。Polygonは、2024年版の設計方針である「クラス間の垣根を下げる」方向性が、両書を通じて明確になったと評しています。

全クラスに魔法の選択肢を追加

本作は、プレイヤー向けのサブクラス、呪文、魔法のアイテムなどを収録した書籍です。従来の5eで評価の低かったサブクラスを強化し、各クラスが魔法に関わるキャラクターを作りやすくしています。

Arcana Domain Clericは、ウィザード呪文リストから呪文を得る従来の構成を維持しつつ、レベル5でCounterspellを獲得します。また、Channel DivinityのArcane AbjurationはModify Magicに置き換えられ、呪文の対象に一時ヒットポイントを与えるか、対象のセーヴィング・スローから1d6を差し引けるようになりました。Polygonは、CommandやHold Person/Monsterなどの妨害呪文と組み合わせた場合、後者の効果が強力すぎる可能性を指摘しています。

ウィザードには、Player’s Handbookに収録されていなかったConjurer、Necromancer、Enchanter、Transmuterの4系統が追加され、いずれも5e版から大きく強化されています。Conjurerはテレポート能力をレベル3で習得し、知力修正値に等しい回数だけ使用可能です。レベル6では召喚クリーチャーが一時ヒットポイントと大半のダメージへの抵抗を得ます。

Enchanterは、知恵セーヴに失敗した相手を魅了し、さらに無力状態にするHypnotic Presenceをレベル3で獲得します。Necromancerはアンデッドの召喚と強化に特化し、召喚したアンデッドを敵の前で爆発させて大ダメージを与えることも可能です。かつて弱いサブクラスと見なされていたTransmuterも、Polymorph関連の能力を中心に再設計されています。

一方、武闘派サブクラスのMystic Arts Monkについて、Polygonは限定的な呪文能力と既存のクラス能力との相性に疑問を呈しています。10種類の新背景では、9種類が魔法勢力と関連し、残るFamiliar Trainerは使い魔を連れ歩きたいプレイヤー向けの内容です。この背景と特技Familiar Friendにより、クラスを問わずFind Familiarを取得できるようになります。

クラスの個性を薄める新たな特技とDM向け資料

本作には、1レベル呪文を追加で1つ、2レベル呪文も1つ選べる特技Magic Connoisseurが収録されます。これは、初級呪文2つと1レベル呪文1つを得られるMagic Initiateをさらに拡張したものです。Polygonは、Magic Initiateが強力なビルドを生み出し、ゲーム運営上もっとも頭を悩ませた特技だったとしたうえで、Magic Connoisseurによってクラス間の境界とバランス問題がさらに広がる可能性を指摘しています。

DM向けには、魔法を中心にした世界やキャンペーンの作り方、魔法勢力の設定が用意されています。前者は経験豊富なDMには重複した内容が多いものの、初心者には役立つ資料とされています。魔法勢力は、味方勢力や敵対勢力、世界観の背景として既存キャンペーンに組み込みやすい点が評価されています。新呪文、魔法のアイテム、モンスターも収録され、1980年代のアニメ版Dungeons & Dragonsに登場した悪役Vengerも加わります。

Deadfallは一本道の魔法スパイ劇

付属冒険Deadfallは、レッド・ウィザードの国Thayを舞台にした「魔法による諜報戦」を描きます。地域設定をまとめたThay Gazetteerは高く評価されていますが、冒険本編についてPolygonは、プレイヤーの選択肢とリプレイ性を制限するレールロード型の構成だと批判しています。

プレイヤーキャラクターは、ZulkirのXelnene Thrulから複数の任務を受け、Szass TamによるThay支配の計画を阻止することになります。しかし、筋書きから外れたり、異なる結末に到達したりする余地はほとんどありません。潜入が露見した場合も、基本的には依頼主から叱責を受ける展開に集約され、証拠隠滅のために5,000ゴールドを支払って魔法使いを雇うといった事後処理まで用意されています。

さらに、冒険開始時のキャラクターがレベル11であるため、Greater Invisibility、Scrying、Teleportなどの強力な呪文によって諜報活動が容易になり、スパイ劇に必要な危険や駆け引きが生まれにくいとされています。終盤にはSzass Tamが陰謀を察知し、作戦を壊滅させたうえでThrulを誘拐し、キャラクターがリッチの要塞へ攻め込む展開へ移行します。Polygonは、こうした構造がVecna: Eve of Ruinと似ており、依頼主から任務を受けて最後の大規模な決戦へ進む、定型的な冒険になっていると評しています。

ただし、Deadfallには多数のロケーション、遭遇、短編クエストが収録されており、短い冒険として切り出したり、別のキャンペーン向けに置き換えたりできます。数十年ぶりにThayを大規模に扱った設定資料としての価値もあり、完成済みの長編キャンペーンに期待しなければ有用な製品だとPolygonは結論づけています。