『World of Warcraft』などBlizzard労組、1,900人を守る契約を締結
2026年09月09日 | #ゲーム | GamesRadar+
Microsoftが大規模な人員削減を進めるなか、Blizzardの労働組合が計1,900人の従業員を対象とする契約を勝ち取りました。契約には、AI技術の導入に関する協議や、解雇時の補償、別チームへの復帰機会などが盛り込まれています。BlizzCon 2026の開催を目前に控えたタイミングでの合意となり、ゲーム業界では異例の手厚い解雇保護にも注目が集まっています。
AI導入と労働条件をめぐる協議を保証
この契約を結んだのは、Communications Workers of America(CWA)が代表するBlizzardの組合です。対象にはWorld of Warcraft、Overwatch、Diabloの開発チームに加え、ストーリーやフランチャイズ開発を担当する部門も含まれます。CWAのClaude Cummings Jr.会長は声明で、「Blizzardにとって新しい時代が始まり、労働者の力が高まることが、プレイヤーに向けたより革新的なゲームにつながる」とコメントしています。
契約によって、会社が従業員の労働条件に影響するAI技術を導入する場合、事前に組合と協議することが必要になります。導入そのものについて話し合うだけでなく、AIが労働環境に及ぼす影響について組合が交渉できる仕組みです。
World of WarcraftのシニアデザイナーであるPaul Cox氏は、Aftermathの取材に対し、AIについては労使委員会でも定期的に話し合うと説明しています。この委員会ではAIのような大きな問題だけでなく、トイレのドアの隙間が広すぎるといった職場環境への不満まで、会社と組合が継続的に取り上げるとのことです。AIの利用を会社側が一方的に決めるのではなく、現場の労働条件と結び付けて協議できる点が今回の契約の柱となっています。
最低4週間の補償と14カ月間の復帰権
Microsoftは計3,200人規模の人員削減を進めており、Xbox部門でもさらに1,600人が削減される計画です。こうした状況を受け、Blizzardの組合員は解雇に対する保護を契約に盛り込みました。対象者には少なくとも4週間分の退職金が支給され、解雇後14カ月間はBlizzard内の空いたポジションに復帰できる「リコール権」が認められます。
この制度では、あるタイトルのチームが人員削減を受けた一方で、別のチームが採用を必要としている場合、解雇された従業員が条件を満たしていれば別チームへ呼び戻される可能性があります。Cox氏は、たとえばWorld of Warcraftで人員削減が行われてもDiabloが拡大中なら、前者のチームから後者へ移れる仕組みだと説明しています。同氏は、こうした制度はゲーム業界では前例がなく、一般的に見ても非常に珍しいものだとしています。
BlizzCon直前に成立した背景
Blizzardの従業員は、雇用が不安定化するゲーム業界で職場の安定を求め、以前から抗議活動を続けていました。BlizzardのシニアエディターであるAlison Veneto氏によると、数百人規模の従業員がキャンパスにある高さ約12フィートのオーク像の前に集まり、定期的に声を上げていたとのことです。
Veneto氏は、会社側が組合を深刻に受け止める大きなきっかけになったのは、契約なしでBlizzCon 2026を迎えるリスクだったとしています。イベントは9月12日に始まる予定で、組合員の動員が強まるなか、契約を結ばずに開催すれば気まずい状況になり得たという見方です。今回の合意によって、Blizzardの組合員はAI導入と解雇に関する具体的な保護を得ましたが、業界全体の人員削減が続くなか、今後も新たな課題への対応を迫られることになります。